財産の評価方法は国内と国外で変わってきます。では、相続税対策として国内不動産と海外不動産ではどちらが有利なのか? 今回は、このテーマについて考えます。

相続税法では「財産の取得の時における時価」と規定

海外不動産は相続税対策として役に立つのか、という疑問も生じると思います。その点についても解説していきたいと思います。

 

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相続税は、個人が被相続人(亡くなった人)の財産を相続、遺贈などによって取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される税金です。相続税法では、財産の価額とは、「財産の取得の時における時価」と規定されています。財産の時価の評価方法は、国税庁の通達で示されています。

 

例えば、路線価が定められている地域の宅地は、路線価を基に評価します。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、地価公示価格の80%程度になるように定められています。

 

また、国内にある家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額とされています。一方で、国外にある土地の評価は、原則として、売買実例価額、地価公示価格及び鑑定評価額等を参酌して評価します。

 

なお、課税上弊害がない限り、取得価額または譲渡価額に、時点修正するための合理的な価額変動率を乗じて評価することができます。この場合の合理的な価額変動率は、公表されている諸外国における不動産に関する統計指標等を参考に求めることができます。

国外の土地・家屋は、原則として市場価格で評価される

また、国外にある家屋については、原則として、売買実例価額、鑑定評価額等を参酌して評価することになります。なお、外国の固定資産税評価額が日本国内の固定資産税評価額と類似している場合には、その金額によって評価しても問題ないと考えられます。

 

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日本国内にある土地については、市場価格の80%で評価(路線価方式の場合)されるのに対し、日本国外にある土地は、原則、市場価格で評価されることになります。

 

日本国内にある家屋については、固定資産税評価額で評価されるのに対し、日本国外にある家屋は、原則、市場価格で評価されることになります。このように見てくると、タックスメリットの観点から、相続財産としての海外不動産は国内不動産に比べて財産評価上、有利とはいえないのかもしれません。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

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杉本 俊伸+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

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