飼い主に選ばれる動物病院になるためには、近年、病気や治療方法等を詳しく説明する「インフォームド・コンセント」の実施が必要です。今回は、その理由を見ていきます。

飼い主は病気や治療方法等の詳細な説明を求めている

引き続き動物病院を繁盛させるためのポイントを見ていきます。

 

【16】インフォームド・コンセントを徹底する
獣医療の世界においても、近年、病気や治療方法等を詳しく説明してくれる「インフォームド・コンセント」が厳しく求められるようになっています。そしてまた飼い主の側でも、動物病院選びの基準の一つとしてインフォームド・コンセントを強く意識する傾向が強まっています。

 

たとえば、ナビスペース株式会社(現コムオンライン・マーケティング・ソリューション株式会社)が平成21年8月に行った「獣医療に関するアンケート」中の、「動物病院を選ぶとき、次の中から選ぶ基準を三つ以内で選んでください」という設問に対しては、以下のような結果が示されています。

 

【動物病院を選ぶ基準のアンケート結果】

料金の安さや交通の便以上に重視されている実態を知る

この中で注目すべきは「病気や治療方法等を詳しく説明してくれる(インフォームド・コンセントがしっかりしている)」という回答が、「診療料金(安い、適正と感じるなど)」や「交通の便がよい、近所にある」「休日や夜間も診療してくれる」よりも上位にランクしていることです。

 

つまり、ペットの飼い主は、料金の安さや交通の便以上に、インフォームド・コンセントが徹底されているか否かを、病院を決める際の選択材料として重視しているわけです。

 

飼い主としては、「大切な愛犬、愛猫の命にかかわるのだから、どのような治療が行われるのかをしっかりと知っておきたい」と思うのは当然のことです。そのような思いにどれだけ誠実に応えられるのかが、一人でも多くの飼い主に選ばれる動物病院になれるか否かの大きな分かれめとなるはずです。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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