関西の不動産業者が「違法物件」を売る「車庫転」という裏ワザ

昨今、アパマンショップの爆発事故、かぼちゃの馬車事件をはじめ「不動産業界」の闇が明らかになってきています。巷には、サラリーマンを不動産投資に誘う文句が溢れていますが、まずは業況を知っておきましょう。本記事では、収益不動産を通じ、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている大和財託株式会社の代表・藤原正明氏が、不動産市場の実態を紹介します。

「違法物件」は関西にひしめいている

高利回りの物件が多い地方といえども、実際に安定的・長期的に収益を生む物件を探すことは容易ではありません。一見利回りが高くても、入居付けが難しいエリアであれば空室率が高くなり、収益力が大きく下がってしまいます。

 

一方で地方には、首都圏在住の投資家の方では考えられないような高利回り物件が数多く眠っているのも事実です。例えば関西の物件をポータルサイトでチェックすると、利回りが一般相場よりも高い物件が掲載されていることに気づきます。

 

ところが大阪市内の人気エリアでも12~13%程度の物件が売れずに残っているのです。本当に優良物件であれば、ポータルサイトに掲載されればすぐに売れてしまいそうですが、なぜ買い手が付かないのでしょうか。理由は「違法物件」だからです。

 

関西圏、とりわけ大阪では建ぺい率・容積率がオーバーしている物件が多く流通しています。その多さは半数程度が違法物件ではないかと感じるほどです。現在流通している違法物件は、かつて昭和の終わりごろから平成初期にかけて、収益性を上げる常套手段として関西圏でよく行われていた習慣の名残です。

 

新築物件を建てる際は建築基準法に基づいて設計し、役所に建築確認申請を行います。その時点で不備があれば見直しを指摘されますから、法律に基づいた設計が不可欠です。ところが、建築確認済証が発行されたあと、実際に建物を建築する段階になって設計を違法に変更し、そのまま建ててしまう行為が、大阪を中心とした関西で常態化していたのです。

 

例えば5階建てマンションの1階を車庫、2~5階を住居として申請するとします。その場合、1階の車庫部分は容積率に算入されません(面積の制限はあり)。そして、建築確認済証が出たのち、収益性を上げるために1階の車庫部分を住居に違法に変更し、そのまま建築してしまうのです。車庫から住居に転用することから、関西の不動産業者はこれを“車庫転(しゃこてん)”と呼びます。

 

収益性を上げるための「車庫転」
収益性を上げるための「車庫転」

 

1階の面積が50平米の物件があったとします。1階が車庫だった場合、車は4台駐車可能ですから1カ月の車庫代が1区画1万円とすると、合計収入は4万円です。しかし、これを住居に転用すれば、1室25平米の単身者向け住居を賃料5万円で貸し出せます。すると1カ月10万円の家賃収入となり、1階部分の収益性が2.5倍に上がるのです。

 

車庫転以外にも、部屋を横へ上へと増やしていき、賃料収入を違法に高める方法が採られました。当時は完了検査を受ける意識が薄かったこともあり、そのまま多くの物件が違法建築の状態で登記されていきました。これらの物件は違法な手段で収益性を上げているため、その分、利回りも高くなります。利回り12~13%程度の違法物件がゴロゴロしているのが実情です。

 

私の会社にも、容積率200%の土地に鉄骨造の容積400%の建物がある物件情報などが入ってきています。場合によっては利回り15%以上という物件すらあるのです。

違法物件を購入しても「追加融資」は受けられるのか?

高利回りの違法物件で肝心の融資は引けるのか――。結論から言うと、融資を出してくれる金融機関は存在します。ただし、関西の金融機関とノンバンクに限った話です。

 

一部の信用金庫・信用組合、ノンバンクであれば問題なく融資を認められます。関西の金融機関の立場からすれば、流通している物件に違法物件が多いため、融資対象から外してしまうと貸出先が限定されてしまいます。地元の金融機関は金利面で大手銀行には勝てません。ですから違法物件にも積極的に貸し出しをするのです。

 

ただし、最近はコンプライアンス(法令遵守)の流れを汲み、関西圏でも違法建築物などに対する融資を控える金融機関が増えてきました。とはいえ、違法物件に問題なく融資を出してくれる金融機関は今でも多く存在するのでご安心ください。

 

「違法物件を購入すると、個人の信用毀損になり追加融資が受けられなくなる」

 

当社に面談に来るお客様のなかには、こうした考えを持っている方もいますが、関西の金融機関に関して言えば、違法物件を購入したからといって個人の信用毀損にはなりません。違法物件を購入後に2棟目、3棟目と不動産を買い増していく場合でも追加融資は問題なく受けられます。

 

現に私も、容積率オーバーの高利回り物件を保有し運用していますが、その後も都市銀行から問題なく融資を受けています。信用毀損といった噂が半ば定説のように信じられているのは、不動産投資に関する情報の多くが、東京など関東圏から発信されているからだと思います。

 

ところが、一般的に出回っている関東圏発の諸説は、関西圏には当てはまらないケースが多いのが実情です。ですから、融資の面でもエリアの特性をよく理解することが不動産投資では大切です。

大和財託株式会社 代表

昭和55年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産に特化した事業を展開する武蔵コーポレーション株式会社で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。
平成25年に独立して大阪市内に大和財託株式会社を設立。
収益不動産を通じて、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている。
特に、物件情報をすべて数値化し、資金調達、物件購入、管理運用から売却までを視野に入れた収支シミュレーションに定評がある。
管理物件の平均入居率は98パーセントを誇る。

著者紹介

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