貧富の差がますます激しくなる日本。子どもが将来稼げる人になって欲しいというのは、親にとって切なる願いともいえますが、「会計士になれ」「医者になれ」などと、闇雲に伝えるだけではいけません。そこで本連載では、公認会計士林總事務所代表・林總氏の著書『年収1000万円 「稼げる子」の育て方』(文響社)より一部を抜粋し、令和時代を生きぬく子どもの育て方を解説します。

これからの時代は「副業」を始めるほかない

◆収入のパイプをたくさん持つ

 

売り上げの柱がたくさんあるほど、商売は儲かります。そう考えると、年収1000万円を稼ぎ出す子どもになってほしいなら、収入のパイプを複数持つことのメリットを、親が身近な例をとって示してあげるのがいちばんの近道です。

 

いまはまだ副業を認めない会社も多いのですが、正社員の平均賃金が下がる一方という状況もあり、これからはダブルインカムを認める会社が増えていきそうです。副業NGの会社に勤めている場合は、手始めに興味がある分野の人たちと交流をもったり、週末を利用して手に職をつけるべくスクールに通ったりするのもいいでしょう。

 

私は最初に勤めた外資系監査法人を辞した後、先輩の紹介で中堅の監査法人に移ったのですが、そこは副業OKだったため、夜に専門学校で教え、ダブルインカムを実践していました。

 

その後、仲間とコンサル会社を設立しました。ひとりで開業する選択肢もありましたが、難しい案件のときに、私とは違う角度から意見してもらえる仲間の存在はありがたく、一緒にやることで自分の専門性も磨け、難易度が高いぶん報酬もいい仕事に恵まれました。

 

いまはコンサルタントをやりながら、原稿執筆や大学院での講義などもおこなっているので、場合によってはダブルインカム、トリプルインカムになっています。収入のポケットが増えると、稼ぎそのものが増えるのはもちろんのこと、ひとつの仕事・収入に固執せずにすむため、さまざまなことに挑戦しやすくなります。

 

また、最近では共働きが増えていますから、おのずとダブルインカムになっているご家庭もあるはずです。片方に何かあった場合のリスク分散になりますし、もし夫が「大学院で勉強したい」と言ったときには、妻が家計を支えることも可能です。

 

親がダブルインカム、トリプルインカムを実践し、挑戦し続ける姿を見せることが、いちばんの手本になります。

 

子は親の背中を見て育つ
子は親の背中を見て育つ

「医師」や「弁護士」でも油断できない時代に

◆知識労働で一歩先を行くために

 

近年、「難関資格を取っても食えない時代になった」とよく言われます。そんななかで、資格取得をすすめるのは「時代錯誤」と思われるかもしれません。

 

確かに、司法制度改革によって弁護士の数が増え、競争が激しくなったことにより、食えない弁護士が急増しています。街の歯科医院なども同様の理由で、つぶれるところが増えているそうです。税理士事務所も、クラウド会計やフィンテックの登場で仕事を奪われています。

 

さらに、数十年後にはホワイトカラーの仕事は人工知能(AI)で置き換えることができるともいわれています。

 

医師や弁護士、会計士といった専門職も例外ではありません。すでに、専門医でも原因を特定できなかった60代女性がん患者の病名を人工知能が見抜き、治療法を変えるよう医師に助言。結果、適切な処置がなされ、女性は一命をとりとめたという事例も報告されています。

 

つまり、AIに置き換えがきかない「知識労働」で人より一歩先を行かないと、人より少し多く稼ぐことができない時代が到来しつつあるのです。

 

「知識労働で人より一歩先を行く」とは、コンピューターにプログラミングできないものを提供し、そのなかで生産性を上げていくことです。ほかの誰にも置き換えがきかない「自分にしかできない仕事」ができる存在になれるかどうかが、年収を左右します。

 

その最たるものが、芸術家です。アーティストや映画監督、脚本家、俳優は、替えのきかない唯一無二の存在であるほど報酬が高くなっていきます。

 

医師、弁護士、会計士など、超難関の上位の国家資格というのは、芸術家より希少性という点では劣っているかもしれませんし、以前より食べていくのも大変になってはいます。とはいえ資格がもたらす専門性そのものの希少価値は、まだ効力を完全には失ってはいません。

 

何も武器を持たない人よりは、はるかに競争が少ない世界であり、活躍できる領域はとても広いのです。

 

 

林 總

公認会計士林總事務所 公認会計士/明治大学特任教授

 

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

林 總

文響社

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