貧富の差がますます激しくなる日本。子どもが将来稼げる人になってほしい、というのは、親にとって切なる願いともいえます。しかし、子どもがお金に困らない生活を送るためには、ただ闇雲に勉強させるのではなく、「北極星(=将来のビジョン)」を見据えて教育をする必要があります。そこで本連載では、公認会計士林總事務所・林總氏の著書『年収1000万円 「稼げる子」の育て方』(文響社)より一部を抜粋し、学歴だけにとらわれずに、令和時代を生きぬく子どもの育て方を解説します。

「なんとなく」の習い事を絶対にやめる

教育費は、会社でいうところの「研修費」にあたります。「こういうスキルを身につけてこんな人材に成長してほしい」という会社の求める人材像が、研修内容には反映されています。自分の子どもにかける教育費も、考え方は同じです。「こういう大人になってほしい」という北極星を達成するために使うお金が、「教育費」なのです。

 

会社で「社員をどういう人材にしたいかよくわからないけど、とりあえずいまの世の中は英語が話せなくちゃいけないらしいから、社員に英語を習わせたい」などと稟議を上げても、通るはずがありません。普通は、「その人の業務に、英語がどう必要なのか」「英語が話せる社員が増えることが会社の将来にどういう利益をもたらすのか」といった短期・中期・長期視点でのプランを提示し、英語を習わせる必要性を示さなくてはなりません。

 

それなのに、なぜか私たち親は、自分の子どもには「なんとなく習わせる、なんとなく塾に行かせる」といった、不合理でおかしなことをやってしまいがちです。「なんとなく」習わせている習い事や塾は、教育費とは呼べません。親の趣味、いえ、親の浪費です。

 

「こういう大人になってほしい」という成果が先にあり、その成果を得るためにお金を使う。それが正しい教育費の考え方です。よく、成長したわが子に対して「あんなに教育費をかけたのに無意味だった……」という親御さんがいますが、それは親がきちんと成果を定義せずに、やみくもにお金をかけてしまったからです。子どもではなく親の責任といえます。

 

わが家では「海外旅行」はレジャー費ではなく、教育費の範疇だと考えていました。単に遊ぶというよりは、外国を身近に感じ、さまざまな国の文化を教養として身につけてほしかったからです。

 

本やマンガの購入費、映画代を、娯楽費ではなく教育費と考える家庭もあります。友だちを招いて頻繁にホームパーティーを開く家庭もありました。自営でお店を経営している親御さんでしたので、「人との付き合い方を学ばせる」ことに重きを置いていたのだと思います。

 

「なぜ習い事をさせるのか」を考える
「なぜ習い事をさせるのか」を考える

収入は限られている…まずは「成果」の定義づけを

教育費を考えるときに、絶対に忘れてはならないことがあります。収入には、限りがあるという事実です。収入は家庭によって違いますし、地域や家族形態によって最低限必要な金額も違います。ただし、有限であるということは、どの家庭にとっても共通しています。

 

あなたがいま支払っている習い事の月謝や学費。これから払う予定である塾代や受験費用。すべて、親であるあなた自身の価値観に基づいた、満足度の高いものになっていますか?

 

子どもが小さいうちは、家計に余裕があるだけに、つい横並び意識もあって、「あそこがやるならうちも」と、習い事を始めてしまいがち。そんなときは、「その習い事の成果は何か」という基本に立ち返るようにしたいところです。成果の定義が先で、行動(支出)はあとです。くれぐれも順番を間違えないでください。

 

〇成果を定義して、行動する

[例]就学前に泳げるようにしておきたいから ⇒ 水泳の家庭教師をつける ⇒ 1カ月でクロールをマスターできた

 

×行動してから、成果を後づけする

[例]5歳になってお友だちがみんな習い事をし始めたからスイミングに通わせる ⇒ 週1回だし人数も多くて水につかっている時間は少なかった。2年通っても泳げるようにならなかったけど、水には慣れたからいいよね

 

note work

●これから検討している習い事や塾などがあれば、始める前に、まずはどういう成果を出したいか書き出してみましょう。

●まだお子さんが小さく、何も習い事をやらせていない人は、まず、教育において出したい成果を定義してノートに書いてみましょう。さらにその成果を出すためにどんな習い事をさせればいいのか、書き出してみてください。

 

 

林 總

公認会計士林總事務所 公認会計士/明治大学特任教授

 

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

年収1000万円 「稼げる子」の育て方

林 總

文響社

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