英国の金融行為規制機構が、個人投資家向け暗号資産のデリバティブ取引の禁止に関する協議を予定通り終了したことがわかった。2020年の年初にも方針を決定する。The Economistが報じた。

暗号資産デリバティブ禁止案、英国で協議

英国の金融行為規制機構(FCA)が、個人投資家向け暗号資産のデリバティブ取引の禁止に関する協議を、予定通り10月3日に終了したことがわかった。予定では、2020年の年初にも方針を決定する。The Economistが報じた。

 

今後は専門家との協議内容を受け、方針を決定していくとみられる。現時点で、具体的な協議内容や方針は明らかになっていないが、内容次第では市場に影響する可能性もあり、引き続き注視すべき話題となりそうだ。

 

FCAによる禁止措置の提案は、同年7月に発表されたもので、ボラティリティや本質価値の判断から、投資家保護の面で容認できないとされていた。今回の協議は発表当初より予定していたもので、禁止に向けて、専門的な内容を市場関係者と議論した。

 

禁止対象には、先物やオプション取引、差金決済取引(CFD)のデリバティブ商品のほか、上場投資証券(ETN)も含まれる。業界関係者などは、FCAの規制方針が、他国の規制当局にも波及する恐れがあるとして、懸念している。

 

これらの商品には、日本にも同様の取引形態がある。ビットコイン現物の受渡しを行わずに、購入時と売却時、または空売り時と買戻し時の差金決済によって発生する利益と損益を受け取る差金決済取引と類似した「ビットコインFX」もその1つだ。

 

FCAは、これら暗号資産デリバティブ取引を通じて、2018年の暗号資産市場暴落時に4億9200万ドルの損失が英国内で生じたと試算しており、派生商品を禁じることで、最大で年間2億3430万ポンド(約320億円)の損害が回避できると考えている。

 

一方、暗号資産企業などからは、FCAの方針に反対する意見を示す声明が発表されるなど、市場への影響を懸念する見方が相次いでいる。

 

CoinSharesは、協議が終わる10月3日までに、投資家の行動を促すことを目的とした声明を発表した。同社は、今回FCAが発表したデリバティブの禁止方針は、正当化できる十分な証拠がないとし、協議を行うことで、規制当局として禁止すべき裏付けを取ることを怠ったと批判。暗号資産デリバティブに関わる損失についても、都合のいいデータを利用しているとコメントした。

 

暗号資産の本質的を理解するリサーチや他国の規制方針も踏まえた上で、正しい判断を下す重要性を訴えている。

 

※本記事は、2019年10月4日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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