不公平な相続か?兄には実家、弟には「別荘と一千万円」を…

※本記事では、一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事、株式会社リライト代表取締役の田中裕治氏の著書、『売りたいのに売れない!困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版)から一部を抜粋し、事例をもとに「困った不動産」の具体的な内容や解決方法について解説します。

相続した異なる不動産の評価額が同じであればいいが…

相続が発生したときの揉め事の中で、いちばん多いのが不動産に関するものです。

 

相続財産が現金だけであれば、相続割合に応じて均等に分けることができますので、揉めることは少ないのですが、不動産が絡むと均等に分けることが難しくなるため、揉めることが多いのです。

 

たとえば、子供たちが相続する不動産が、親の住んでいた家だけとしても、

 

「その家を誰が相続するのか?」

「誰が住むのか?」

「共有にするのか?」

「売却するのか?」

「誰かに貸すのか?」

 

といった問題が発生しますので、話し合いがまとまらなければ揉めることになります。

 

しかし、それ以上に揉めるのが、不動産がいくつもある場合です。

 

両親の自宅のほかに、田舎に土地があったり、別荘があったり、マンションがあったりする場合、誰がどれを相続するかで揉めるケースがほとんどです。兄弟が2人いて不動産が2つあった場合、2つの不動産の評価額が同じであれば、揉めることは少ないでしょうが、そういうケースはまれです。

 

たいていの場合は、不動産の評価額に差が出ますので、不動産を1つずつ相続した場合は、必ず評価額の低いほうの不動産を相続する人から不満が出ることになります。

 

このとき、差額分を補てんする現金があればいいのですが、それがない場合は揉めに揉めて、最後には不動産を全部売って現金に変えて均等に分けようという話になることもあるのです。

 

したがって、不動産がいくつもある場合は、親が元気なうちに、誰にどの不動産を相続させるかを決めて、子供たちに言い含めておくか、遺言書に書いておく必要があるでしょう。

 

そうしないと、相続が「争続」になり、それまで仲の良かった兄弟姉妹が相続を機に険悪な関係になることがよくありますので、できるだけ不満が出ないように、親が決めておくことが重要なのです。

親が元気なうちに「不動産の実勢価格」を調査すべき

相続が発生した場合、不動産の評価額は路線価を基準とした相続税評価額で計算し、それをベースに相続財産を決めるのが一般的です。

 

たとえば、都内にある50坪の自宅の相続税評価額が3000万円で、地方の300坪の別荘の相続税評価額が2000万円だった場合、この金額をベースに財産の分け方を決めるわけです。

 

ところが、じつはこの相続税評価額が実勢価格(実際に売れる価格)と合っていないケースがほとんどで、これが「争続」の火種となるのです。

 

先ほどの例で言うと、相続税評価額3000万円の自宅を兄が相続し、弟が相続税評価額2000万円の別荘を相続し、差額分の1000万円を弟が現金でもらったとします。

 

これで2人とも納得するわけですが、弟が別荘を販売しようとして不動産会社に査定してもらったときに、問題が表面化するのです。

 

というのは、別荘は相続税評価額よりも実勢価格のほうが低いからです。場所にもよりますが、近年、別荘の値下がりが激しく、弟が相続した別荘の実勢価格も500万円くらいです。

 

さらに言うと、兄が相続した都内の自宅は、実勢価格のほうが高いケースがほとんどで、実勢価格は3500万円くらいです。

 

つまり、実勢価格で比較すると、2人が相続した不動産には3000万円もの差があったというわけです。そして、このことがわかった瞬間、2人の兄弟の関係は最悪になるのです。

 

では、このようなことが起こらないようにするためには、どうすればいいかというと、相続の際に不動産の評価を、相続税評価額ではなく、実勢価格で計算することです。そのためには、不動産会社に査定してもらうことです。

 

税理士は、相続税評価額は出せますが、実勢価格はわかりません。不動産鑑定士は、鑑定理論に基づいて不動産の価値を正しく算定できますが、それが実勢価格と合っているかというと、一概にそういうわけでもありません。

 

ただ、なかには不動産業をやっている不動産鑑定士もいますので、そういう人に頼めば実勢価格がわかります。

 

不動産の実勢価格は、相続が発生してから不動産会社に査定してもらってもいいですが、できれば親が元気なうちに、所有している不動産の実勢価格を調査しておくことをおすすめします。

一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事
株式会社リライト代表取締役 

1978年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大手不動産会社に勤務した後、勉強のために買取再販をメインとする不動産会社に転職。34歳で不動産会社を設立し独立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけていき、役所の担当者や近隣住民と辛抱強く交渉し、数多くの「負動産」を「富動産」に変えるなど、「困った不動産」を抱えた人たちの悩みを解決してきた。現在も、日本全国の「売れない」と言われて困っているお客様に寄り添い、「売れないはずの物件」を多数売却する傍ら、市役所や区役所、NPO法人などで無料相談員も務めている。人生のミッションは、相続でワケアリ物件を抱えて困っている人を1人でも多く救うこと。著書に『不動産相続対策~貰って嬉しい富動産、貰って損する負動産』(ギャラクシーブックス)がある。

著者紹介

連載売れない、貸せない…「困った不動産」を相続したら?事例で学ぶ“負動産”対策

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

田中 裕治

ぱる出版

現在、日本には約820万戸の空き家がある。少子高齢化によって田舎の親の家が空き家になる率が高まり、住むに住めず、売るに売れず、管理もできない家を相続した子供にとっては深刻な問題だ。本書では、親から相続した「お荷物…

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