今回は、不動産サイト等で、自ら所有する不動産物件をできるかぎり高く売るための物件情報の掲載方法について説明します。※本連載では、一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事、株式会社リライト代表取締役の田中裕治氏の著書、『売りたいのに売れない!困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版)から一部を抜粋し、事例をもとに「困った不動産」の具体的な内容や解決方法について解説します。

物件を紹介する「写真の枚数」が重要な理由

今や不動産もインターネットで買い主を見つける時代になりました。不動産検索サイトも、正確に数えたことはありませんが、おそらく15~20はあることでしょう。

 

そんな数ある不動産検索サイトの中から、自分が売りに出している不動産に興味を持ってもらうには、どのサイトに登録するかも重要ですが、物件の情報をたくさん出すことも非常に重要なことなのです。

 

なかでも重要なのは、写真の枚数です。外観と中の写真が1枚ずつしか載っていない物件よりも、外観の写真から各部屋の写真、玄関、キッチン、バス、トイレ、クローゼット、ベランダの写真まで、たくさん写真が載っていたほうが、買い手が興味を持ってくれる確率が高くなります。

 

実際、サイトのデータを見ても、写真の枚数が多い物件のほうが、閲覧される回数が多いというデータが出ています。そのため多くの不動産検索サイトが物件の写真をたくさん載せることを推奨しており、写真枚数の多い物件が上位表示される仕組みになっているサイトもあるのです。

 

もちろん、文字情報も重要です。建物に関する詳しい情報だけでなく、生活のしやすさ、便利さをアピールするためにも、どれくらいの距離のところに、どんな施設があるのかを詳しく書くことも重要です。

 

スーパー、コンビニ、飲食店、学校、病院、市役所、公園といった施設の情報を載せると、そこでの生活のイメージがしやすくなりますので、ぜひ載せたいところです。

 

また、売り主にしかわからない情報を数多く載せておくこともポイントです。たとえば、「近所の○○スーパーは〇〇時までやっている」、「近くの○○公園は春になると桜が咲くので、お花見ができる」、「徒歩5分くらいのところに安くておいしい焼き鳥屋さんがある」といったお役立ち情報です。

 

写真にしても、文字情報にしても、実際にサイトに掲載するのは不動産会社の担当者になりますので、売り主が何も言わなければ、担当者が撮った写真と、担当者が調べた情報をサイトにアップするだけになります。

 

たまたま優秀な担当者に当たればいいですが、そうでなければ、写真の枚数も少なく、情報も少ないことになりかねません。

 

したがって、不動産会社の担当者に任せっきりにするのではなく、担当者と二人三脚で売っていく気持ちで、売り主のほうから担当者にいろいろと情報提供をし、物件情報を充実させることをおすすめします。

売り主も「販売図面」の作成に積極的に関与する!

不動産会社に行って部屋(賃貸物件)を探したり、売買物件を探したりした経験のある人なら、必ず目にしたことがあると思いますが、物件情報が1枚の紙にまとめられた「販売図面」と呼ばれるものがあります。インターネット全盛の今でも、この販売図面は活用されていて、これが物件の売れ行きを左右することもあるのです。

 

不動産会社に物件の販売を依頼した場合、不動産会社は前述した不動産検索サイトに物件情報をアップするのと並行して、「レインズ(REINS)」にも登録するのが一般的です。

 

レインズとは、「REAL ESTATE INFORMATION NETWORK SYSTEM(不動産流通標準情報システム)」の略称で、国土交通省から指定を受けた全国4か所の不動産流通機構が運営している不動産情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・オンラインシステムです。簡単に言うと、不動産会社だけが見ることができる不動産検索サイトのようなものです。

 

私自身もレインズはよく活用していて、売却を依頼された物件をレインズに登録して買い手を探したり、逆にお客様から「こういう物件を買いたい」という依頼を受けた場合に、レインズを使って物件を探したりしています。

 

そして、お客様の希望に合うような物件が見つかったら、レインズから詳しい物件情報をパソコンにダウンロードし、それをプリントアウトしてお客様にお見せすることになるのですが、このとき出てくる情報が、じつは前述した販売図面なのです。

 

ですので、販売図面に掲載された情報が少ないと、お客様にその物件を紹介してもなかなか良い反応を得ることができません。しかし、販売図面に書かれた情報がすごく充実していると、お客様が実際に物件を見てみたいという確率が上がります。それはすなわち、売れる確率が上がるということなのです。

 

通常、売り主は自分の自宅がどんな販売図面で売られているのかを知りません。もしかしたら、なかなか売れない理由は、販売図面の出来にあるかもしれないのです。

 

実際、ひどい販売図面になると、土地の形状がわからないものや、家の間取りがわからないものもあります。これでは売れなくても仕方がないといえるでしょう。逆に、良い販売図面は、物件のおすすめポイントが書かれていたり、周辺の施設情報が載っていたりするものです。

 

なかなか売れないと、どんどん値下げをすることになり、希望価格よりもかなり安い値段で売ることになってしまうケースがほとんどです。しかし、販売図面が充実していれば、当初の希望価格で売れることも珍しいことではないのです。

 

したがって、少しでも高く売りたいと思うなら、前項の不動産検索サイトのときと同様、売り主も販売図面の作成に積極的に関与して、買い手にとって有益と思える情報を不動産会社の担当者に提供し、販売図面の充実を図るようにしましょう。不動産会社の担当者に任せっきりにしないことが、高く売るためのポイントです。

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

田中 裕治

ぱる出版

現在、日本には約820万戸の空き家がある。少子高齢化によって田舎の親の家が空き家になる率が高まり、住むに住めず、売るに売れず、管理もできない家を相続した子供にとっては深刻な問題だ。本書では、親から相続した「お荷物…

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