インド法人税減税…プラスへの期待値は財政懸念より高く

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インドのシタラマン財務相が公表した法人税減税は実効税率を約35%から約25%へ引き下げるうえ、新規企業への優遇税制やキャピタルゲイン減税など幅広い対応が見られました。インド経済に成長鈍化が見られる中、景気てこ入れを狙ったもので、株式市場は上昇しました。ただ、財政負担の増大も懸念され国債市場で利回りが上昇するなど、冷静な分析も必要と思われます。

インド財務相:景気刺激策として法人税減税を公表、株式市場は好感

インドのシタラマン財務相は2019年9月20日、インド国内企業に課す法人税率を引き下げると発表しました。国内企業の法人税(ベースレート)は、現行の30%から22%に引き下げると述べました。減税規模は200億ドル(約2兆2千億円)を越えると見られます。

 

市場ではインド株式市場は経済成長への期待を反映して5%以上上昇しました(図表1参照)。一方、インド債券市場では財政負担の増加を懸念して国債利回りが上昇(価格は下落)しました。

 

日次、期間:2018年9月23日~2019年9月23日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インド株式市場と5年国債利回りの推移 日次、期間:2018年9月23日~2019年9月23日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

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インドのシタラマン財務相が公表した法人税減税は実効税率を約35%から約25%へ引き下げるうえ、新規企業への優遇税制やキャピタルゲイン減税など幅広い対応が見られました。インド経済に成長鈍化が見られる中(図表2参照)、景気てこ入れを狙ったもので、株式市場は上昇しました。ただ、財政負担の増大も懸念され国債市場で利回りが上昇するなど、冷静な分析も必要と思われます。

 

月次:2013年1月~2019年8月、GDPは四半期、4-6月期迄、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドGDP(国内総生産)とCPI(前年同月比)の推移 月次:2013年1月~2019年8月、GDPは四半期、4-6月期迄、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

まず、シタラマン財務相が記者会見で公表した減税の内容を振り返ります。

 

法人税は現状ベースレートが30%で、これにサーチャージなどの追加される税率を加えると実効税率は約35%となっています。今回の減税でベースレートが22%に引き下げられたことなどから、新たな法人税の実効税率は約25%になると報道されています(適用対象はインド企業)。

 

シタラマン財務相はこれ以外にも、新規企業のビジネス促進として、19年10月以降に設立され、23年までに生産を開始する新規企業の実効税率を約17%(ベースレートは15%)にすることや、外国人投資家のキャピタルゲイン減税、インド企業の自社株買いなどへの減税方針を表明しました。

 

今回のインドの法人税の切り下げは主に2つの点でプラスと考えられます。まず、インドの法人税はベースレートが30%と、他のアジアの諸国に比べ高水準でしたが、今回の減税により競争可能な水準に引き下げられたと見られることです。

 

 

次に、単にベースの税率が引き下げられただけでなく、サーチャージなどその他の税率も引き下げられました。批判が高いインドの複雑な課税方式に簡易化の方向性が期待される動きと見ることも想定されます。

 

インド経済は4-6月期に成長率が前年同期比5%と6年ぶりの水準に低下しました。利下げをする一方、消費者物価指数(CPI)は依然低水準ながら上昇傾向に転じています。金融緩和の継続は想定されますが、金融政策のみに経済成長を頼ることは、徐々に困難となる事情もありそうです。

 

ただ、インドの財政負担は懸念材料です。公表直後の20日の市場では、インド株式市場は上昇しました。一方、国債市場では年限により異なりますが国債利回りが概ね0.15%程度上昇(価格は下落)するなど警戒感も見られました。

 

今回のインドの法人税減税は大幅で、また新規事業に対する減税により当面新規投資拡大も想定されるなど新鮮で、今のところ財政懸念よりプラスへの期待が高いようです。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インド法人税減税…プラスへの期待値は財政懸念より高く』を参照)。

 

 

(2019年9月24日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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