トランプ大統領の弾劾裁判に向け舵…民主党・ペロシ下院議長

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従来、弾劾裁判に消極的と見られていた民主党のペロシ下院議長が弾劾に舵を切りました。会見でペロシ議長は、大統領の行為を国家安全保障への裏切りと断罪するなど、後戻りできない道を選択したようです。ただ、弾劾までの道のりは険しく、訴追はあっても、罷免の可能性は低いと思われます。

トランプ大統領弾劾裁判調査:ペロシ米下院議長、トランプ大統領の弾劾調査開始を要請

トランプ米大統領が、来年の大統領選挙で民主党の有力候補であるバイデン前副大統領の息子に関する疑惑を調べるようウクライナ政府に圧力をかけたとされる問題が浮上しています。これに対し、民主党のペロシ下院議長は2019年9月24日、連邦議会で会見、トランプ氏の行為が弾劾にあたるかについての調査着手を表明しました。

 

 

疑惑の主な内容はトランプ大統領が今年7月、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した際、軍事支援を背景に民主党のバイデン前副大統領とウクライナ企業との関係に関する調査に協力するよう圧力をかけたとされるものです。

 

バイデン氏は副大統領だった15年、欧米諸国や国際機関が進めたウクライナの腐敗問題への取り組みで、ウクライナの検事総長を解任させようとしました。当時、バイデン氏の息子が役員を務めていたウクライナのガス会社が検察の捜査対象になっていたことから、トランプ氏側は「バイデン氏が息子を守るために圧力をかけた」と批判を強めていました。

どこに注目すべきか:下院議長、弾劾裁判、調査開始、大統領選挙

従来、弾劾裁判に消極的と見られていた民主党のペロシ下院議長が弾劾に舵を切りました。会見でペロシ議長は、大統領の行為を国家安全保障への裏切りと断罪するなど、後戻りできない道を選択したようです。ただ、弾劾までの道のりは険しく(図表1参照)、訴追はあっても、罷免の可能性は低いと思われます。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国大統領の弾劾裁判手続きの主な流れ 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

 

トランプ大統領の疑惑そのものについては、断片的な情報にとどまっているので、今回は弾劾制度を振り返ります。弾劾は、疑惑の内容を下院の委員会などで調査、弾劾対象と判断すれば下院で訴追(下院の過半数)となり、ようやく上院での「弾劾裁判」となります。弾劾裁判で大統領が罷免されるには上院で3分の2(67名)の賛成が必要です。

 

クリントン元大統領など、過去弾劾裁判となった2名の大統領もこの段階で「無罪」となっています。民主党は下院で235議席と過半数を確保していますが、上院では45議席と共和党の53議席を下回っています。仮に下院で訴追が支持されても、弾劾裁判での3分の2獲得は難しそうです。

 

次に、弾劾手続きに必要な期間を見ると、クリントン元大統領の場合、調査開始からで1年程度、弾劾手続きからでも数ヶ月費やしています(図表2参照)。もっとも、調査期間の長さなどにより弾劾裁判全体に必要とる期間は左右されると思われますが、ある程度の長期戦が見込まれます。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]クリントン元米大統領の弾劾裁判の主な出来事 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

逆に言うと、数ヶ月から1年程度という期間は来年の大統領選挙を考えれば効果的(?)なタイミングかも知れません。トランプ大統領に対する弾劾への気運はコミー元米連邦捜査局(FBI)長官の解任や、モラー特別検察官のロシア介入疑惑報告などで盛り上がりましたが、どちらも見送られました。コミー元FBI長官解任の場合、当時の民主党は過半数を割っており、勝ち目が無いことが最大の要因ですが、時期尚早という判断があったのかもしれません。

 

今後の弾劾プロセスが、民主党、共和党どちらに有利に働くかは調査結果など不透明要因が多く、予測は困難です。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ大統領の弾劾裁判に向け舵…民主党・ペロシ下院議長』を参照)。

 

 

(2019年9月25日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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