山梨の公示地価の平均価格は、東京の平均の約25分の1
東京都にマイホームを持ちたい、しかも戸建てで…! そんな夢をお持ちの方もたくさんいらっしゃることでしょう。ファイナンシャルプランナーである筆者の元にも、このような相談が多数寄せられます。そのたびに、なんとかしてお客様の夢の実現のお手伝いをしようと、必死にプランニングを行います。
しかし、プランニング中にしばしば思うことがあります。「生活費をギリギリまで切り詰め、借入れ金額をギリギリに設定し、なんとか東京都で戸建の所有を実現しても、はたしてその後、幸せな生活を送れるのだろうか?」と…。
もちろん、豊かな収入と十分な貯蓄がある一部の富裕層の方なら問題ありませんが、「どうにかやりくりして、東京に戸建てを!」と考えている方は、一度、発想を転換してみてもいいかもしれません。
<東京都地価事情>
多くの方が認識されているとおり、東京都でのマイホーム購入には大金が必要です。理由は明確で、「東京都はほかの地域に比べて地価が高い=土地が高い」からです。
東京都の2019年公示地価は、平均109万6445円/㎡。坪単価では362万4612円/坪となっています。公示地価ランキングでは47都道府県の中で1位です。さらに、東京都の市区町村別で見ると、
★1位 中央区……821万9777円/㎡
★2位 千代田区…633万0721円/㎡
★3位 渋谷区……423万4271円/㎡
★4位 港区………361万1975円/㎡
★5位 新宿区……326万3794円/㎡
となっています。
単純に、東京都で100㎡(約30坪)の土地を購入しようとした場合、公示地価平均の109万円で計算すると、109万円×100㎡=1億900万円となります。実際は、その土地代にプラスして住宅の建築費が必要ですから、さらにお金がかかります。この金額を考えれば、東京で一戸建てを手に入れるのは、夢のまた夢となりそうです。
もちろん、東京都のなかにも公示地価の平均価格が低い地域もありますので、その地域の土地購入を視野に入れれば、夢はより現実に近づきます。たとえば、足立区・葛飾区であれば、公示地価平均は36万円/㎡台、八王子市であれば15万円/㎡台となってきます。
<山梨県の地価事情>
東京都の公示地価の平均価格が、ほかの地域より高いことはわかりました。では、山梨県の公示地価平均はどうなっているでしょうか?
山梨県の2019年公示地価は、平均4万2999円/㎡。坪単価にすると、14万2146円/坪です。そして、山梨県の市区町村別のランキングを見ると、
★1位 上野原市…6万7633円/㎡
★2位 大月市……5万8140円/㎡
★3位 甲府市……5万7362円/㎡
と、なっています。
地理がよくわからない方もいると思いますのでご説明しますと、1位の上野原市と2位の大月市は、山梨県内のなかでも東京都寄りに位置する市町村で、東京都への通勤も可能です。東京都への通勤圏内であることは、地方移住を提案する要素としてとても重要であり、筆者が山梨県への移住を勧める理由のひとつとなっています。
移住者・定住者に補助金制度を用意している市町村も
<地方移住の補助金事情>
地方移住のメリットとして第一に挙げられるのは「土地価格の安さ」ですが、メリットはそれだけではありません。ご存知のように、現在では地方の市町村は人口の減少問題に直面しています。そのため、移住して定住してくれる人に、住宅購入資金を補助する制度を設けている市町村もあります。
都心に近い山梨県では、移住・定住促進に力をいれています。
上野原市は、移住・定住の政策として、市内に住宅を取得等する移住者にたいし、住宅ローンに応じた補助金を交付する、移住者住宅取得等補助事業を行っています。市内に永住、または5年間以上居住することなどの要件がありますが、要件をクリアできれば、住宅取得に対する借入金額の残高証明額の5%の額で、上限150万円までの補助を受けることが可能です。
こういった補助事業を行っている市区町村は年々増えていますので、興味のある方は、希望の移住地にこのような制度がないか、確認してみることをお勧めします。
また、地方移住は新しい街づくりにも一役買っています。上野原市のJR中央線「四方津」駅前の高台に、「コモアしおつ」という名称で、開発総面積約80万㎡の大規模永住プロジェクトを展開・街づくりが行われています。
街の大きな特徴は、駅からコモアしおつまでを結ぶ「コモアブリッジ」です。ガラスドームに包まれたエスカレーターとエレベーターで、住民の足となっています。これらを利用して街の入口まで登り、住宅街で生活する、未来の地方移住像をイメージしているとのこと。宅地分譲価格も200㎡弱で400万円台からとリーズナブルです。
筆者がファイナンシャルプランナーとして家計の見直しを行う場合、相談者の方には家計を3つにわけて見直しをすることを提案しています。1つ目は住居費、2つ目は教育費、3つ目は食費等の1と2以外のもの、です。この3つのうちの「住居費」を削ることができれば、その費用をそのまま貯蓄や資産運用に回すことができます。住居費の抑制は、家計改善のいちばんのポイントといっても過言ではありません。
次回は地方移住住居編の続編として、住居費を減らすもうひとつの選択肢としてマンションにスポットをあてて検証していきます。
たまねぎFP
奥山 茂仁
ファイナンシャルプランナー(AFP)