8月の投資環境
8月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で下落しました。
世界の株式市場は、7月末の米国の利下げ後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受け米国の追加利下げ期待が後退したことや、米トランプ大統領が9月1日より中国からの輸入品に対する追加関税賦課を発表したことなどを受け月初から大きく下落しました。その後、中国による人民元安定化のための動きやドイツが財政出動を行うとの報道などがプラス要因となる一方で、米中貿易摩擦の激化に対する懸念などがマイナス要因となり、株式市場は下旬にかけて上下する展開となりました。月末には反発したものの、月間では下落となりました。
業種別では、公益や生活必需品が上昇、ヘルスケアは市場平均よりも小幅な下落にとどまりました。一方、エネルギー、素材、金融などは市場平均よりも大きく下落しました。こうした中、水関連企業の株価(現地通貨ベース)は市場をアウトパフォームしました。
上下水道ビジネスセクターは、アメリカン・ウォーター・ワークスやアメリカン・ステーツ・ウォーターなど米国の規制下の水道公益事業銘柄のパフォーマンスが良好だったため、小幅な下落に留まりました。弱まるマクロ経済環境や株式市場のボラティリティの高まりが米長期国債金利の低下をもたらしましたが、このような環境下で投資家は、インフレ・ヘッジとしての機能や魅力的な配当成長が期待され、また、債券代替としても見られる銘柄が注目され、上述の銘柄が大幅に上昇しました。
一方で、サンパウロ州基礎衛生公社は軟調となりました。過去1年に渡り良好なパフォーマンスが続きましたが、グアルーリョス(サンパウロ市郊外にある都市)へのサービス統合にかかる費用計上により第2四半期の収益が未達となったことがきっかけとなり、利益確定のための売却の動きとなりました。しかし、議論が進められている新しい公衆衛生規制や民営化の恩恵を受け大幅に上昇する可能性があると見ています。
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環境マネジメント・サービスセクターもまた、小幅な下落となりました。一方、装置製造エンジニアリングセクターは最も下落しました。市場が産業部門の最終市場の弱気な見通しを織り込み、収益期待が低下したため、ザイレムなどが下落しました。
今後の見通し
足元では、貿易問題や米国の金融政策、地政学的リスクなどマクロ経済見通しを不透明にする多くの要因があり、世界の経済成長に対してプラス、マイナスの両方に作用しています。不透明な環境は、米国など数少ないエリアを除き、世界全体の製造業景気指数が弱気な見通しを示すなどビジネス・センチメントに影響しています。グローバルな2019年の企業業績は2018年より緩やかなペースで成長すると予想されていますが、GDP成長率見通しは2018年並みとされています。
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。
記載のデータは、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年8月の水関連株式市場』を参照)。
(2019年9月9日)
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