金融政策に大きな期待はできない

グローバル

ピクテ投信投資顧問株式会社
金融政策に大きな期待はできない

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

投資家は、中央銀行の巨額の金融政策に期待しすぎている

 

金融緩和政策がスタートしています。これは、グローバルの景気見通しが悪化した時に、いつも株式市場が期待していることです。

 

しかしながら、今回は株式の投資家の期待に応えるために、主要な中央銀行は名目的な金融政策を実施しているのに過ぎないかもしれません。

 

ピクテのモデルによると、S&P500株価指数の現段階のバリュエーションは、今後12ヵ月において1兆5千億米ドル相当の金融緩和政策が実施されることを示唆していて、これは全世界の国内総生産(GDP)の2.5%に相当します※1

 

※1 ピクテの流動性モデルは、景気サイクル、バリュエーションおよび市場のテクニカル要因を勘案しつつ、マルチアセットのポートフォリオを構築するために、グローバル市場の環境を評価する基礎となるものです。中央銀行の流動性は、今後6ヵ月間の中央銀行のネットの流動性の供給量を、世界のGDPに対する比率として計算します。この場合の世界のGDPは、米ドル建てで、米国37.9%、中国24.5%、ユーロ圏23.6%、日本9.0%、英国5.0%の比率で算出しています。想定される流動性は、S&P500株価指数のグローバルの流動性に対する回帰分析によって算出されます(出所:ピクテ・アセット・マネジメント)。

 

もし投資家が正しいとするならば、このバリュエーションの水準は、現状とは相容れないものとなっています。中央銀行が新規に提供した流動性は、過去6ヵ月においてGDP比で0.5%に過ぎないからです。

 

それでもなお、投資家が期待しすぎている可能性があります。これは、GDPに対する流動性の比率の、期待される水準と現状との間に大きな差があり、ここ10年間で最大となっているからです。

 

名目GDP比 濃い緑:米国、緑色:中国、薄い緑:ユーロ圏、黒色:日本、灰色:英国、赤色:合計、主要5カ国の中央銀行:FRB、英中央銀行(イングランド銀行、BOE)ECB、日本銀行、中国人民銀行 出所:ピクテ・アセット・マネジメント
[図表]主要5カ国の中央銀行の流動性の推移 名目GDP比
濃い緑:米国、緑色:中国、薄い緑:ユーロ圏、黒色:日本、灰色:英国、赤色:合計
主要5カ国の中央銀行:FRB、英中央銀行(イングランド銀行、BOE)ECB、日本銀行、中国人民銀行
出所:ピクテ・アセット・マネジメント

 

主要国の中央銀行は、再び金融緩和政策を推進すると見ていますが、市場が期待するよりもはるかに小さな効果しかないかもしれません。

 

 

欧州中央銀行(ECB)の大規模な債券買い入れは、今年の9月に発表される見通しですが、6千億ユーロが新規の景気刺激策として投入されると見ています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後4回政策金利を引き下げる見通しであり、これは2千億米ドル相当の流動性の供給に相当します。またスイスの中央銀行は、過去4週間において、100億スイスフラン相当のユーロ債を購入することによって、為替市場に介入しています。このように、各国の中央銀行は投資家の強い期待に応えるために、様々な金融政策を実施しています。

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

 

このような状況を勘案すると、投資家は今後期待するほどの金融緩和政策が実施されない可能性について、備える必要があるかもしれません。

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金融政策に大きな期待はできない』を参照)。

 

 

(2019年9月6日)

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/7開催】ABBA案件の成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【5/8開催】使わない理由はない!?
金融資産1億円以上の方だからできる「新NISA」活用術

 

【5/8開催】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?!
2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

【5/9開催】認知症対策だけじゃない!
数世代先の相続まで見据えた資産管理・承継ができる
「家族信託」活用術

 

【5/9開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を海外に作るメリットは何か?

 

【5/11開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【5/12開催】良い案件を見つける3つの方策とは?
「日本型オペレーティングリース」投資の基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録