英ポンド上昇…ユーロとの比較に見る「危機的状況」の推移

英ポンドが上昇中だ。早期のブレグジットを目指し、合意なき離脱も辞さない構えのジョンソン首相に対し「待った」をかける法案が下院で成立。これを市場は好感して、5日現在、1ポンド=1.22ドル半ばで推移している(ユーロ/ドルは1ユーロ=1.10ドル前半である)。これは高いのか、安いのか? 過去の英ポンドの値動きをユーロと比較しながらみていこう。円建てでみるとドルと円の関係でも大きく左右するので、実際の価値の上下を見誤らないため、ドルを中心とした。

2019年7月…ボリス・ジョンソン首相が就任

まず、早期のブレグジットを目指すボリス・ジョンソン氏が首相に就任した月の値動きをみてみよう(数値の出所は全てYahoo!ファイナンスより)。

 

ポンド/ドルの始まりは1.27ドルであったが、終わりは1.21ドルまで下落した。

 

ユーロ/ドルは始まりは1.14ドルから、終わりは1.11ドルで推移。

 

上昇した現在よりも、ジョンソン首相の就任前のほうが高いことがわかる。

2019年5月…メイ首相が辞意を表明

遡って、メイ首相が辞意を表明した月をみてみよう。合意なき離脱を避けるために尽力したメイ首相であったが、最後は「涙の」辞意表明となったことは記憶に新しい。

 

ポンド/ドルは始まりが1.30ドル、終わりが1.26ドルで推移。

 

ユーロ/ドルは始まりが1.12ドル、終わりが1.12ドルであった。

 

ブレグジットの閉塞感が最高潮に高まっていた時期だが、現状と比較するとだいぶ高い。

2016年7月…メイ首相が就任

さらに遡り、メイ首相が就任した月のポンド/ドル、ユーロ/ドルの値動きをみてみよう。

 

2016年7月13日、キャメロン首相の辞任を受け、メイ首相が就任。サッチャー首相に続く、2人目の女性の英首相であった。このときボリス・ジョンソン氏が外相に就任している。ブレグジットを決める国民投票の次月のことである。

 

ポンド/ドルは始まりが1.33ドル、終わりが1.32ドルで推移。

 

ユーロ/ドルは始まりが1.11ドル、終わりが1.12ドルであった。

2016年6月…国民投票、キャメロン首相が辞意

2016年6月23日、英国で行われた国民投票の結果、EUからの離脱(ブレグジット)が決まった。翌日の24日、キャメロン首相が辞意を表明する。最後に、この月の英ポンドの値動きをみてみよう。

 

ポンド/ドルでは、この月の始まりが1.45ドルであったが、1.33ドルまで落ちている。

 

ユーロ/ドルは、始まりが1.13ドルから、終わりは1.11ドルで推移していた。

 

ブレグジットの決定以前では、1ポンド=1.45ドルくらいで推移していた。現在の1ポンド=1.22ドルと比較すると、かなり高い。一方で、離脱される側のユーロに関しては、ドイツ経済の低調などがあっても、対ドルでその価値はほぼ変わっていない。このあたりの値動きから、市場がブレグジットに関して、非常に高いリスクを感じていることがわかるだろう。

 

国民投票の前に戻りたい!?
国民投票の前に戻りたい!?

 

国民投票からすでに3年以上経過しているが、先行き不透明感が漂うばかりである。決着が迫るに連れて、今よりも悪くなることは想像できても、なかなか好転できる状況は思いつかない。だからこそ、昨日のようなちょっとした「英ポンドの上昇」がニュースになるのだろう。

 

もちろん、今の状況下で、このままポンドが上がり続けることは考えにくい。相場であるから想定外のことはまま起こるが、国民投票による「EU離脱決定」は英国の経済にとってやはり「詰んでしまう」イベントとなりうる。早期の合意なき離脱は回避したとはいえ、まだまだ英国の危機的状況は続きそうである。

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

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