※本記事は、2019年8月29日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

1日で40%近く値下がりした先日のアルゼンチン株の急落。これを「対岸の火事」とみるのではなく「自分事」とみることで危機管理能力を高めましょう。

あまり話題にならなかったアルゼンチン株の急落

日本がお盆休みかつ休日だった8月12日、アルゼンチン株が急落しました。アルゼンチンの代表的な株価指数である「メルバル指数」がなんと38%もの急落で取引を終えたのです。

 

あまり話題にならなかったのでご存知なかった方も多いと思いますが、これは個人投資家としてかなりインパクトのある出来事です。

 

アルゼンチンでは株価だけでなく為替レートも急落したため、ドル建てではアルゼンチン株がなんと1日で48%も下落した計算になります。

 

日経平均株価でいえば1日で8,000円の急落です。たった1日で資産が半分になってしまうという想像もつかない状況です。

 

日本株では値幅制限(ストップ安)の制度がありますから日経平均株価が1日で8,000円も下がることはありませんが、数日かけてということであれば可能性としては決してゼロではありません。

ダラダラ続く下げならばどこまで下げても怖くはない

筆者は以前のコラムにて、過去の経験則から言って日経平均株価が1万円割れまで下落してもなんら不思議ではない、と書きました。

 

実は株価が大きく下がったとしても、時間をかけてダラダラと下げる分には全く怖くありません。保有株については移動平均線を割り込めば売却すればよいだけですし、値下がりが続く銘柄については買わずに手を出さなければよいだけだからです。

 

やはり怖いのは、上のアルゼンチン株のように、短期間に大きく下落するようなケースなのです。ダラダラした下げなら移動平均線を少し割り込んだところで保有株を売却できますが、突然の大きな下げの場合、移動平均線もいきなり大幅に割り込んでしまいます。下手をするとストップ安売り気配で、売ることすらできない、という状況に陥ってしまいます。

急落への対策1:キャッシュポジションを多めに持っておく

急落の対策として考えられるのが、1つは「キャッシュポジションを多めに持っておく」ということです。

 

例えば、最近の日本株は、明らかに上昇トレンドの銘柄が少なく、下降トレンドの銘柄の方が多いです。このように買っても利益を得にくい状況では、投資可能資金の大部分を投入することは逆にリスクが高くなります。投資可能資金のうち実際に株式に投資する金額は少量に抑え、キャッシュポジションを多く持っておけば、もし株価が突然大きく下落したとしても、ダメージを小さく済ませることができます。

急落への対策2:プットオプションを買うことで突然の急落に備える

突然の株価急落が、全般的に下げ相場の時期に起きれば上記1のような対策を取ることができます。

 

しかし、個別銘柄の大部分が上昇トレンドで、自身も投資可能資金の多くを株式に投資しているような場合、キャッシュポジションは極めて低くなっています。このような状況で株価が突然急落することもあり得ます。

 

筆者はそんなとき、「プットオプションを買う」で突然の急落に備えています。いわば「掛け捨ての保険」としてプットオプション※を活用しているのです。

 

※プットオプション…ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格(=権利行使価格)で売る権利のこと。株式とは税制が異なり損益通算ができない。

 

株価が短期間に急落したとき、プットオプションは価格が大きく上昇します。プットオプションの利益により、株価の急落による損失をある程度補てんすることができるのです。

 

投資可能資金が小さいと、プットオプションのコストが高くついてしまうのであまりお勧めしませんが、投資可能資金が1,000万円を超える方は、プットオプションの使い方を学んでおくべきと思います。

 

何が起きてもおかしくないのが株式マーケット。本当に急落、暴落が起きた時に、それに対する備えをしっかりとしていた人と、何も対策していなかった人とでは、受ける影響が大きく異なることは明らかです。

 

突然の急落、暴落への備えをしっかりと行い、どんな荒波が来ても生き残れる個人投資家になりましょう。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所

 

※本記事は、2019年8月29日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

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