大学受験の明暗をわけるのは「学力」だけじゃない
大卒と高卒では、生涯年収に数千万円単位の差が開くという。それならば何がなんでも大学に進学させてあげたいと思うもの。しかし、親ができるサポートには限界もある。「ウチの子は学力が心配だから、早め早めに塾へ通わせよう!」と体験入学をさせたはいいが、授業料のあまりの高さに怖気づいてしまう……なんてのは、一般家庭ではよくある話だ。
ことお金と学歴の話でいえば、親の年収と子供の学歴の相関関係も指摘されている。当たり前といえば当たり前だが、潤沢な資金を投じれば子は成長しやすい。その逆も然り。
では、塾にすらいけない家庭の子は、進学を諦めるしかないのかといえば、そんなことはない。というのも、大学受験、特に私学の受験の合格可否は、「頭の良さ」のみならず、テクニック的側面を多く含んでいるからだ。
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◆「ビリギャル」の慶大合格は必然
今から5年ほど前、書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』が「ビリギャル」と呼ばれ、世間の話題をさらった。落ちこぼれからのサクセスストーリーに、多くの学生が希望を抱いた。しかし、この物語の背景は、彼女の「戦略的勝利」ともいえる、いくつかの事実がある。
書籍を読んだ人は知っていることだが、まず、主人公が通っていたのは中高一貫の有名お嬢様学校であり、彼女はすでに中学受験を経験済みだ。そして、彼女が現役合格したのは、慶応大学総合政策学部。
一般的に、私学大学文系学部の受験では、「外国語」「国語(現代文、古文、漢文など)」「地歴(日本史、世界史など)」の3科目を勉強する必要がある。しかし、総合政策学部の試験は、「数学または情報」あるいは「外国語」あるいは「数学および外国語」+「小論文」、要は2科目しか受験しなくてよい。
日本史や世界史はいわずもがな、細かい文法を覚えなければならない古文や漢文は、「時間をかけてどれだけ暗記したか」が点数を如実に左右する。一方、受験科目のなかで、これらの配点は総じて低い。費用対効果が非常に悪いのだ。「古文と世界史は完璧だったのに合格できなかった」、逆に「ほかはボロボロだったけど英語が完璧だったから合格できた」という事例は、かなりの確率で起こっている。
つまり、慶応大学総合政策学部を狙うと、上記暗記科目にかかる時間や費用をすべて、数学や外国語、そして小論文に費やすことができる。このコストカットは大きい。
科目数が減る、という事実だけでも結構な驚きだが、受験の形態はほかにもある。例えば、筆記試験はなく、書類選考と面接によって合格できるAO(アドミッション・オフィス)入試。細かい選考方法は大学ごとに差があるが、ざっくばらんにいえば、「やる気」だけで合否が決まるすごい制度だ。導入している大学は多くあるので、誰にも負けないエピソードやアピールポイントを持っているのなら、AO受験を考慮してもいいだろう。
このように、一言で「大学受験」といっても、その方法は様々。受験の結果を見る限り、ビリギャルの物語は、下剋上というよりも、「戦略的勝利」と呼ぶべきなのかもしれない(彼女の場合、他大他学部も受験していたが)。子どもを大学受験させるなら、「勉強しろ!」と頭ごなしに指示する前に、試験形態を把握し、一緒に計画を立てることが第一に求められるのである。
「大学受験」に囚われすぎるのも…
「でもウチは塾にいれたから安心!」というのは、少し気が早い。特に映像授業の場合、1.5倍や2倍速で受講し、爆速でテキストを終わらせ、サボる生徒がいるからだ。加えて、大学生が塾講師をしている場合、先生も生徒も問題が解けないという事態が平気で起きている。
また、勉強漬けのなかにいると、どうしても「合格=ゴール」と捉えてしまいがちになるのにも気を付けたい。例えば高校時代に死に物狂いで勉強し、晴れて憧れの大学に進学できたとする。もちろん素晴らしいことだが、有名大学の場合は、「ここが滑り止めだった」学生も多い。
早慶の場合、東大・京大落ちの学生はザラにいる。また東大・京大には、海外有名大学落ちの人が授業を受けていることもある(大学に通いながらこっそり受験を続けている『仮面浪人』も多い)。彼らと一緒に過ごすなかで、圧倒的な学力の差を感じ、挫折してしまう学生もいる。子どもの性格・家庭の経済状況を冷静に鑑みて、将来に考慮した受験ライフを心がけたい。
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