韓国FIU、国内の暗号資産取引所を直接管理体制へ
韓国金融情報分析院(FIU<KoFIU>: Financial Intelligence Unit)は、今後、韓国国内の暗号資産取引所を同局の管轄下とし、管理体制を整える方針を明らかにした。
韓国大手メディアBusinessKoreaは、FIUの暗号資産取引所をめぐる管理体制の方針転換について報じた。
同メディアによると、これまでFIUの間接的な管理下にあった韓国の暗号資産取引所が、今後は韓国政府の直接の管轄下となり、暗号資産をめぐる規制が一層強化される方針であるという。
FIUは、韓国国内の暗号資産取引所における管理体制の方針転換の背景として、韓国政府が金融活動作業部会(FATF)のガイダンスに沿い、ライセンス制度の導入を予定していることを明らかにした。これにより、暗号資産をめぐる取引の透明性が高まることが期待されている。
韓国では7月末、韓国国内の大手暗号資産取引所4社(Bithumb、Upbit、Coinone、Korbit)が、6月にFATFが発表した「暗号資産の監督法を明確化するためのガイダンス」に伴い、韓国国内の銀行の登録情報更新を要請されていることが報じられていた。
6月に発表されたFATFのガイダンスは、資金洗浄やテロ資金供与の防止を目標に、36のFATF加盟国に対して暗号資産の規制強化を促す内容となっている。
具体的には、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に関して、各国は暗号資産取引・送金の受益者(受取側)の利用する機関が、それらオリジネーター(送金者)の情報と受益者の情報を受け取り、必要な情報を保持しているか確認をするべきとしている。
韓国国会議員のLee Tae-hoon氏は、「FATFのガイダンスに沿った今回の方針転換を実現することで、暗号資産取引をめぐるマネーロンダリング対策を強化できるだろう」と語っている。
韓国では、過去2年間において、暗号資産取引をめぐる違法行為によって、2兆6900ウォン(約2460億円)もの経済損失が生じていると報じられており、韓国政府が対応を急ぐ様子が伺える。韓国政府による一連の規制強化が、今後韓国国内の暗号資産取引市場へどのような影響を与えるのか注目したい。
なお、日本国金融庁も、韓国金融情報分析院との情報交換の枠組みを構築。両国当局間でマネーローンダリングやテロ資金に関する疑わしい取引の情報共有を行っている。
※本記事は、2019年8月8日に「CoinPost」で公開されたものです。