みずほ銀行のシステム統合が完了…手放しでは喜べないワケ

「あっ、また、みずほが使えない」。みずほ銀行のATM休止に困ったことのある人は多いのではないだろうか。しかし、今後は、休日の大事なときにお金をおろせない「みずほトラップ」に引っかからずに済むかもしれない。利用する側からすると、いつ完成するか見当もつかず、サグラダ・ファミリアのようだ……と揶揄されていたみずほの基幹システムだが、ついに「新システムへの移行(統合)が完了した」と報道されたのだ。

なぜ、そんなに時間がかかったのか?

なぜ、みずほ銀行は、基幹システムの完成までに、そこまで時間を要したのか? Googleで「みずほ」を検索しようとすると、「みずほ銀行 atm 休止」とサジェストされるほどで、みずほ銀行と言えば「ATMが使えないときが多くて困る」というイメージがある。

 

みずほ銀行の前身である第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行では、それぞれ富士通、IBM、日立、と異なるシステムを使っていた。どこかのシステムに合わせて統合すればもう少し簡単な話であったのだが、結局は各システムを生かすかたちでの統合を目指した。「Oneみずほ」の旗の下、顧客の全資産情報を確認したうえで、最適解を提案できる。しかし、銀行が取り扱っている顧客データは、非常に繊細であり、とてつもなく大きい。志は高かったが、現場は混乱した。

 

「同じ“みずほ”でも、第一勧銀のシステムを使っている支店と富士のシステムを使っている支店がありました。まったく違うシステムなので、人事異動の際も同じシステムの支店へ、という状態が長く続いていました」(元みずほ銀行員)

 

「銀行の事務は“システム”が使えるかどうか。合併で他の銀行のシステムが導入されれば、エース級で活躍していた人間が“ど素人”になってしまいます。教えてください……と頭を下げざるをえません。それで序列が決まってしまうわけですから、簡単な話ではありませんよ」(みずほ銀行関係者)

 

2002年と2011年にはシステム障害により、金融庁の「立ち入り検査」、「業務改善命令」も受けている。その後も何度もメンテナンスを繰り返し、ユーザーには「使えないことが多い」イメージも定着してしまった。

「完成」は素直に喜べない?

「17年越し」とも「20年越し」とも報じられる今回のシステム完成。時事通信の報道では「システム一元化により、ITと金融が融合したフィンテックを活用した事業連携に加え、利便性の高い次世代金融サービスの提供が容易になるという」と結ばれた。未来を感じさせる表現ではあるが、ついに実現された「Oneみずほ」への言及はどこにもない。

 

17年前にしろ、20年前にしろ、システム統合のプロジェクトがスタートした時代に比べれば、銀行を取り巻く環境は激変している。近年の動きだけ見ても、みずほ銀行の親に当たるみずほフィナンシャルグループは、丸紅との資本提携や、LINEとの新銀行設立など、様々な新戦略を打ち出している。以前の銀行ならまず考えられない、行員の副業を認める制度まで発表した。

 

「Oneみずほ」を号令に、不可能とも思えるようなシステム統合を目指したみずほ。ようやく完成してみれば、まったく時代が変わっていたのである。いつできあがるのか分からないということで、一時期はサグラダ・ファミリアと揶揄する向きもあった新システムだが、完成した途端に「レガシー」と化している恐れはないのか。その答えは、これから明らかになるが、少なくとも、連休のたびにATMが止まるという事態がもう起こらないことを期待したい。

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