ブラジル年金改革法案、ひとつの節目を通過…市場は堅調

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

今日のヘッドライン5月9日号でブラジルの年金改革を取り上げました。足元、同法案は下院の特別委員会を通過し、年金改革法案は、議員の6割の賛成が必要となる下院、上院に審議の場を移すこととなります。やや遅れ気味ながら概ね想定どおりの進捗度合いを受け、市場にはやや楽観的な見方が台頭していますが、今後も注視は必要です。

ブラジル市場堅調:年金改革法案は節目である特別委員会を通過

ブラジルの通貨、株式、債券市場が昨日堅調な動きとなりました。例えば株式市場(ボベスパ指数)は現地通貨建は過去最高値を更新する動きが続いています(図表1参照)。ドル建ボベスパ指数も2014年の水準を回復しました。

 

[図表1]ブラジルボベスパ指数、現地通貨建とドル建の推移 日次、期間:2014年7月3日~2019年7月3日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ブラジルボベスパ指数、現地通貨建とドル建の推移
日次、期間:2014年7月3日~2019年7月3日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成


ブラジル市場が堅調な背景は年金改革法案の審議が概ね順調に進展していることです(図表2参照)。2019年7月4日には下院特別委員会の暫定採決が可決しました。これにより、7月中の下院採決に希望が残されました。
 

[図表2]ブラジル年金改革に関連する主なイベント 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ブラジル年金改革に関連する主なイベント
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

どこに注目すべきか:年金改革法案、ボベスパ指数、拠出金

今日のヘッドライン5月9日号でブラジルの年金改革を取り上げました。足元、同法案は下院の特別委員会を通過し、年金改革法案は、議員の6割の賛成が必要となる下院、上院に審議の場を移すこととなります。やや遅れ気味ながら概ね想定どおりの進捗度合いを受け、市場にはやや楽観的な見方が台頭していますが、今後も注視は必要です。

 

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ブラジルの株式市場の動向を見ると、現地通貨建は上昇傾向ですが、海外投資家の「実感」は為替換算した動きがイメージに近いと見られます。例えば、ドル建ボベスパ指数を見ると、14年後半から下落し、16年中頃から上昇に転じています。下落の主な国内要因はブラジルの15年の景気後退、16年のルセフ元大統領の弾劾裁判などがあげられます。18年には10月の大統領選挙への不透明感から下落する局面もありましたが、年金改革法案推進を指示するボルソナロ政権の誕生で、株式市場は回復傾向です。


年金改革によりブラジルの懸案である財政問題の解消が期待されています。ブラジル経済省の資料によると、年金改革法案による年金拠出金の変更などで、1兆レアル超(約28.4兆円)が今後10年にわたり節約できるとしています。年金改革法案審議の進捗を見ると、下院の特別委員会をようやく通過しました。やや遅れ気味ですが、ストライキなど国民の反対が根強い中、悪くないペースと見られます。

 

 

今後、下院、上院と年金改革法案の審議が進む中議会通過に必要な賛成(6割)確保ができるか注目しています。


同時に、審議の中で年金改革法案の骨抜きにも注意が必要です。当初予定されていた年金賦課方式から積立方式への移行は見送られています。年金受給最低年齢は大枠で男性65歳、女性62歳で維持されていますが、女性教員は当初の60歳から57歳に引き下げるなど、妥協を迫られた面もあります。市場では今後10年で1兆レアルという政府の支出削減見通しを、最終的に6~8000憶レアル程度に引き下げている模様です。既に公表されている修整であれば、市場は許容範囲と見ているようで、年金改革法案の審議が進行していることを前向きに受け止めている様子です。


ブラジル中央銀行も利下げは年金改革法案審議の進展次第としているだけに、今後の動向に注視が必要です。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ブラジル年金改革法案、ひとつの節目を通過…市場は堅調』を参照)。

 

 

(2019年7月5日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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