米6月雇用統計、景気の底堅さ示す…適度な利下げ姿勢も維持

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

最近やや注目度が低下気味な印象であった雇用統計ですが、非農業部門雇用者数が市場予想を上回り米国景気の底堅さを示したことで、米国債利回りは大幅に上昇(価格は下落)しました。過度な利下げ期待に疑問を投げかける面もありますが、賃金上昇率は緩やかでインフレ圧力を高める懸念は低く、7月のFOMCを控え、適度な利下げ姿勢は維持されるものと見ています。

米雇用統計:非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回り過度な利下げ期待に疑問も

米国労働省が2019年7月5日に公表した、6月の非農業部門雇用者数は前月比22.4万人増と、市場予想(16.0万人増)、5月(7.2万人増と速報値7.5万人増から下方修正)を上回りました(図表1参照)。

 

[図表1]米国雇用者数と米ISM製造業雇用指数の推移 月次、期間:2014年6月~2019年6月、雇用者数(左軸)は共に前月比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国雇用者数と米ISM製造業雇用指数の推移
月次、期間:2014年6月~2019年6月、雇用者数(左軸)は共に前月比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

家計調査に基づく6月の失業率は3.7%に上昇し、市場予想(3.6%)前月(3.6%)を上回りました。平均時給は前年同月比3.1%増と、市場予想(3.2%)を若干下回り、前月比では0.2%増と、市場予想(0.3%増)、前月(0.3%増と速報値の0.2%から上方修正)を下回りました。

どこに注目すべきか:非農業部門雇用者数、労働参加率、利下げ

最近やや注目度が低下気味な印象であった雇用統計ですが、非農業部門雇用者数が市場予想を上回り米国景気の底堅さを示したことで、米国債利回りは大幅に上昇(価格は下落)しました。過度な利下げ期待に疑問を投げかける面もありますが、賃金上昇率は緩やかでインフレ圧力を高める懸念は低く、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、適度な利下げ姿勢は維持されるものと見ています。

 

今回の雇用統計は次の点で米国経済の底堅さが示されています。

 

まず、市場予想を大幅に上回った非農業部門雇用者数です。6月までの過去3ヵ月の平均で見ても約17万人と、労働力人口の増加を上回るペースでの伸びと見られます。

 

6月雇用統計の公表の前々日に公表された給与明細作成代行会社(ADPリサーチ・インスティテュート)が発表した給与名簿に基づく雇用者数(雇用統計の目安)が市場予想を下回っただけに、雇用統計の下ブレも懸念されていましたが、結果は反対となりました。

 

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失業率は3.7%と上昇し、数字だけ見れば悪化ですが、これは労働参加率が62.9%と上昇したことに伴う「質の良い」失業率の上昇と見ています。

 

7月のFOMCについて、セントルイス連銀のブラード総裁が0.5%の利下げに否定的な見解を表明していますが、今回の雇用統計でも裏付けられたと見ています。

 

 

ただ、雇用統計にやや気になる面も見られます。例えば、非農業部門雇用者数で製造業は回復しましたが、部門別に見ると電子機器や機械など堅調な部門がある一方で、家具や繊維など軟調な部門も見られます。好調時に見られる幅広い部門の回復とは言いがたい状況です。また、平均時給は前年同月比で3.1%と、市場予想を下回っています。低水準というわけではないものの、賃金が物価上昇圧力となる懸念は低いように思われます。過度な利下げの可能性は遠のくも、既定の利下げ路線に変更は無いと見られます。過去の当局者の言動などから、市場は7月の利下げ幅を0.25%と見込んでいる模様です。

 

[図表2]米雇用統計、主な製造業部門の雇用者数の変化 月次、期間:2019年5月~2019年6月、表示は前月比 出所:米国労働省(BLS)のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米雇用統計、主な製造業部門の雇用者数の変化
月次、期間:2019年5月~2019年6月、表示は前月比
出所:米国労働省(BLS)のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米6月雇用統計、景気の底堅さ示す…適度な利下げ姿勢も維持』を参照)。

 

(2019年7月8日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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