ハワイ不動産「価格安定」の理由は「供給の少なさ」
ハワイの不動産価格にもアップダウンがありますが、5年から10年のスパンで見れば購入時より大きく値下がりする確率は低く、非常に安定しているといえます。その最大の理由は、アメリカの中では珍しく利用可能な土地が少ないということです。
ハワイの島々は基本的に火山の噴火によってできており、土地の広さが限られています。ワイキキがあるオアフ島は東京23区くらいの広さですが、そのうち軍基地が25%、農地が15%、開発済みの土地が25%を占めており、その他は山岳地帯です。新たに開発できる余地が限られているそんな島に、100万人近くが住み、アメリカ本土と同じように広い道路、広い家をつくっています。
もうひとつの理由は、年間800万人もの観光客がやってくることです。ハワイへの観光客で一番多いのはアメリカ本土のカリフォルニアからで200万人。続いて日本から150万人ほど。最近は中国や韓国からも増えていて、それぞれ年間30万から50万人です。土地が少なく、ホテルやコンドミニアムもそれほど増えない中、夏と冬のハイシーズンは観光客が大挙して押し寄せます。そのため、ハワイの不動産マーケットはいつも堅調で、失業率はアメリカ本土より低くなっています。
かつて、スーパーマーケットのダイエーが買収したアラモアナ・ショッピングセンターという大きな商業施設がワイキキにありますが、ここは周辺に競合施設ができないため、坪当たりの売り上げがずっと全米トップクラスです。2008年のリーマンショックでも、ハワイの不動産価格の下落はアメリカ本土よりも小さかったといわれます。
それは、市場が狭いのでサブプライムローンを扱う会社が少なかったことと、世界各国の富裕層が現金で不動産を購入していたため、投げ売りが少なかったからです。ハワイの不動産市場には地元の人だけでなく海外からの投資家がいて、いつの時代でも買主の幅が広く、層も厚いのです。今後、中国やインドの成長にともない、そうした国々の富裕層もハワイに観光に来て、不動産投資を始めるでしょう。そうなれば、ますます底固い不動産市場となるはずです。
アメリカの不動産市場は、成熟度と透明性が極めて高い
ハワイ不動産の大きな魅力のひとつは、市場の透明性が高く、取引の手続きなどもよく整備されていることです。外国人だからといって不利になることはありません。例えば、ハワイの不動産市場ではMLS(Multiple Listing Service)という不動産の情報ネットワークがあり、市場で売り出されている中古物件は基本的にすべて登録されています。
しかも、MLSには売り出し価格だけでなく成約した価格についても記載されるので、最近の相場水準や過去に遡っての価格の動きまですべて分かります(情報をすべて閲覧できるのは地元の不動産協会に加盟している不動産会社に限られますが)。
また、売買にあたってはエスクローといって、中立的な第三者が売主と買主の間に入り、代金の受け渡しと登記手続きを確実に行ってくれるので、ほとんどトラブルがありません。日本語の分かる現地のエージェントに依頼すれば、日本にいながらでも手続きができます。
圧倒的強さの観光産業がハワイ経済を支えている
ハワイはアメリカ合衆国の50ある州のひとつで、現在のところ一番最後、50番目に州となったところです。太平洋のど真ん中に浮かぶハワイ島、マウイ島、オアフ島、カウアイ島、モロカイ島、ラナイ島、ニイハウ島、カホオーウェ島の8つの島とその他の小さな島々からなり、面積は約1万6600平方キロメートル。日本でいうと岩手県よりちょっと広いくらいです。
人口は2013年7月1日で約140万人おり、白人系が約25%なのに対し、アジア系が約40%も占めます。そのうち、日系人は18万5000人でフィリピン系に次ぐ存在です。ハワイの主要産業は観光と農業、そして軍関係の公共投資です。
特に観光はハワイ最大の産業で、州内総生産の約4分の1を占めます。2014年の観光客は年間979万人に達しました。うち、アメリカ本土の西部からが320万人、日本からは151万人、カナダからが52万人、などとなっています。
ハワイはもともと火山が噴火してできた島で、平地はごくわずかです。食料をはじめ生活物資の多くをアメリカ本土から運んでいるため、平均物価は州としては全米一高く、全米平均のおよそ1.5倍すると言われます。
不動産相場は30年スパンでも堅調に推移
そんなハワイの不動産市場ですが、アメリカの中では珍しく開発可能な土地が少ないだけに、非常に底堅いものがあります。ハワイでは、不動産市場の相場を見る場合、「中間価格(Median Sales Price)」というデータを重視します。中間価格とは、一定の期間に売り出された物件を安い方から高い方へ順に並べ、そのちょうど真ん中にあたる物件の価格を指します。
この中間価格を見ると、1985年から2013年までの29年間、一戸建て(Single Family House)で年平均4.98%、コンドミニアム(Condo)は年平均4.61%の上昇となっています。
ハワイの消費者物価は1994年から2013年まで年平均2.4%上昇しており、不動産価格の上昇は消費者物価の2倍程度になります。つまり、ハワイ不動産は米ドルベースであれば十分なインフレヘッジになっているのです。