今回は、新たな建物を建てることができない「再建築不可物件」を再生し、相場の値段で売却した事例を見ていきます。※本連載では、一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事、株式会社リライト代表取締役の田中裕治氏の著書、『売りたいのに売れない!困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版)から一部を抜粋し、事例をもとに「困った不動産」の具体的な内容や解決方法について解説します。

リフォームして住み続けることは可能だが…

「再建築不可物件」という言葉を聞いたことがある人は少ないと思いますが、世の中にはこの再建築不可物件が意外と多いのが実情です。

 

再建築不可物件とは、法律上、現在ある建物を壊して新たな建物を建てることができない物件のことです。具体的には、建築基準法上の道路(幅員4m以上)に2m以上接していない敷地に建てられた家がこれに該当します(図表を参照)。

 

[図表]再建築不可物件の事例
[図表]再建築不可物件の事例

 

このような土地に建っている家を壊さずに、リフォームして住み続けることは可能なのですが、壊して建て替えようとすると、建築基準法に抵触するため、建物は建てられないというわけです。

不動産会社が再建築不可物件を「扱いたくない」ワケ

「相続した家の売却を地元の不動産会社に依頼したら、断られてしまった」ということで、私のところに相談してこられた埼玉県のHさんも、そんな再建築不可物件を相続された方でした。

 

Hさんの話によると、親から相続した家を売りに出そうと地元の不動産会社に依頼したところ、「この家は再建築不可物件なので、うちでは扱えない」と言われたとのことでした。

 

実際、不動産会社の中には再建築不可物件を扱いたくないという会社も多いのですが、その理由は再建築不可物件は相場の10分の1くらいでしか売れないため、手数料収入が少ないからです。

 

Hさんからの依頼を受けた私は、早速、現地調査に向かいました。すると、やはり道路に接している間口が1m80㎝しかなかったのです。

 

そこで、私はHさんに隣の人から間口が2m以上になるように土地を購入するよう提案しました。そうすれば、再建築不可物件ではなくなるので、相場の値段で売れるようになるからです。幸い、Hさんは隣の家の人と仲が良かったので、事情を話して、間口が2m以上になるよう土地を購入させてもらうことができました。その結果、相場の値段で売却することができたのです。

 

Hさんの場合、隣の家から土地を購入する形での対応となりましたが、ほかにも隣の人と土地を交換して間口を広げる方法や、自分の宅地内に2m×2mの空地を作る方法など、さまざまな方法がありますので、詳しく知りたい方はご相談ください。

 

再建築不可物件だと言われたとしても諦める必要はありません。再建築可にする方法はいくらでもあるのです。ただし、多くの不動産会社は再建築できるように変える方法を知りませんので、相談する場合は再建築不可物件に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。

 

【ポイント】

・再建築不可物件でも諦めなければ相場の値段で売る方法はある!

 

田中 裕治
株式会社リライト 代表取締役

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