エレベーターがないマンション上層階…好条件で売却するには?

今回は、売却が難しい相続物件の事例として、「権利関係が複雑な物件」「エレベーターのないマンションの上層階」等を取り上げます。※本連載では、一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事、株式会社リライト代表取締役の田中裕治氏の著書、『売りたいのに売れない!困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版)から一部を抜粋し、事例をもとに「困った不動産」の具体的な内容や解決方法について解説します。

権利関係が複雑…一般市場で売却できなかったが?

世の中には権利関係が複雑な物件がたくさんあります。

 

Sさんから「家を売りに出したのですが、なかなか売れないので何とかしてほしい」という相談のあった鎌倉市の物件も、そんな権利関係が複雑な一軒家でした。

 

この物件には、次の2つの問題点がありました。

 

1つ目は、Sさんが売却を予定している建物Aと、Sさんが別に所有している隣接地の建物Bが、登記簿上は1つの建物として登記されていること。2つ目は、隣接地の建物Bの一部が、売却予定の土地に越境してきていることでした。

 

[図表]複雑な権利関係の事例
[図表]複雑な権利関係の事例

 

そこで、私が最初に手をつけたのが権利関係の整理です。まず、登記上、売却する建物Aと、隣接地の別棟の建物Bを分断する登記をしました。次に、境界標の設置に合わせて、越境物(建物の一部)を将来是正するという合意書を作成。この合意書がないと、購入希望者が現れても住宅ローンが組めなくなるからです。

 

さらに、販売時にお客様に気に入っていただくために、内・外装をリフォーム。このとき、もともとの「和」の建築の良さや趣をそのまま活かす形でリフォームを実施しました。

 

当初は大手不動産会社でもなかなか一般市場で売却できなかった物件でしたが、権利関係をクリアにし、諸条件を調整し、リフォームをしたことによって、多数の問い合わせをいただき、無事に売却することができたのです。

 

どこにでも、現状のままでは売れない不動産はあります。特に、権利関係が複雑な不動産は、そのままではなかなか買い手がつかないケースがほとんどです。しかし、何かを少し手を加えるだけで、売却することができようになることは多々あるのです。その「何か」を、不動産会社の営業マンが知っているかどうか。そして、その「何か」をやるかどうか。それが売れる物件と売れない物件の大きな違いなのです。

 

【ポイント】

・権利関係が複雑でも、きちんと整理すれば売れる!

「マンション買取会社」に相談するという選択肢も

売りにくい物件の一つに、エレベーターのないマンションの上層階があります。若い人でも階段で4階まで上がるのは大変なのに、高齢の方となれば、その大変さは想像以上のものがあるでしょう。

 

東京都小金井市のKさんから、「母から相続したエレベーターのないマンションの4階の部屋をどうにかしたい」という相談を受けたのは、今から2年前のこと。Kさんは別のマンションに住んでいて、相続したマンションに住むつもりはないので、誰かに貸すか、売却するかしたいということでした。

 

前述したように、エレベーターのないマンションの上層階は人気がなく、売却するのが難しいため、難航が予想されました。また、貸し出す場合は、築36年の物件ということもあって、リフォーム費用が高額になるという問題がありました。

 

このような問題点を明らかにしたうえで、Kさんと打ち合わせを行った結果、Kさんは賃貸に出した場合の空室リスクとリフォーム費用の回収時期についての懸念から、売却を選択されたのです。

 

ただし、まだ室内に大量の家具等があったため、遺品整理を行った後に売却活動を進めることで合意しました。家具がある状態で売却活動をしてしまうと、家具の影響で部屋が狭く見えてしまう可能性があったからです。

 

遺品整理が完了した後、私は一般市場に販売する前に、独自のルートを駆使して、好条件を提示してくれそうなマンション買取会社を見つけ、そこに打診して購入可能金額のヒアリングを行いました。

 

一般市場に販売した後に、マンション買取会社に購入希望金額のヒアリングを行っても、売り出し価格以上にはならないため、事前にヒアリングを行ったのです。

 

その後、一般市場への販売を行う前に、再度Kさんと打ち合わせを行い、マンション買取会社から提示された条件(1800万円)を伝えました。さらに、一般市場で販売する場合のリフォーム費用を考慮した査定金額は、マンション買取会社から提示された金額とほぼ同じであることも伝えました。

 

そして、いついくらで売れるかわからない一般市場での販売を開始するか、マンション買取会社に売却するかを判断してもらった結果、Kさんはマンション買取会社に売却するという判断をされたのです。

 

このケースのポイントは、一般市場に出す前にマンション買取会社に打診したことです。誰しも不動産を高く売却したいと思うのは当然のこと。しかし、焦ってすぐに情報を公開すればいいというものではありません。少しでも高い金額で、良い条件で売却をするには、焦らず、市場を調べることが重要なのです。

 

【ポイント】

・マンション買取会社に打診する場合は、一般市場に出す前に行うこと!

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一般社団法人全国空き家流通促進機構専務理事
株式会社リライト代表取締役 

1978年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大手不動産会社に勤務した後、勉強のために買取再販をメインとする不動産会社に転職。34歳で不動産会社を設立し独立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけていき、役所の担当者や近隣住民と辛抱強く交渉し、数多くの「負動産」を「富動産」に変えるなど、「困った不動産」を抱えた人たちの悩みを解決してきた。現在も、日本全国の「売れない」と言われて困っているお客様に寄り添い、「売れないはずの物件」を多数売却する傍ら、市役所や区役所、NPO法人などで無料相談員も務めている。人生のミッションは、相続でワケアリ物件を抱えて困っている人を1人でも多く救うこと。著書に『不動産相続対策~貰って嬉しい富動産、貰って損する負動産』(ギャラクシーブックス)がある。

著者紹介

連載売れない、貸せない…「困った不動産」を相続したら?事例で学ぶ“負動産”対策

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ

田中 裕治

ぱる出版

現在、日本には約820万戸の空き家がある。少子高齢化によって田舎の親の家が空き家になる率が高まり、住むに住めず、売るに売れず、管理もできない家を相続した子供にとっては深刻な問題だ。本書では、親から相続した「お荷物…

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