日本企業の社員に蔓延る「会議アレルギー」…改善の方法は?

ゼネコン、工務店、設備会社など多数の顧問先の経営改善に取り組んできた中西宏一氏の著書『粗利「だけ」見ろ 儲かる会社が決して曲げないシンプルなルール』より一部を抜粋し、「会議アレルギー」を改善させる方法について解説します。

粗利の状況を確認する場が必要

経営者の皆さんにとって重要なのは、必要粗利額を見る目を持ち、目標とする必要粗利額をしっかり稼ぐ意識を持つことです。それができたら、あとは着々と粗利の稼ぎ具合を確認します。

 

具体的には、現時点でいくら粗利が取れているか確認し、足りない分を期末までに確保する施策を考えます。その話し合いの場となるのが「粗利確認の会議」です。会社の会議には種類があります。例えば、「現状の各部署の状況報告」がもっともポピュラーな会議であり、ほかには新商品開発のためのブレストや、人材確保のための意見収集のために行うこともあるでしょう。

 

そういった会議も大事かもしれませんが、経営改善を考えるなら、まず「粗利確認の会議」です。細かな施策をどうするか考える際に、まずは経営の根幹である粗利の進捗を見ることが大事です。目標の粗利額に対し、今いくらまで取れているか、あとどれだけ必要かを認識します。その上で、どのような施策で不足分を補うのかを考え、議論します。

 

野球を例に考えてみます。今が何回で、何点差かによって作戦は違ってくるでしょう。点差が大きいか小さいか、回はまだ浅いか終盤かなど、その時々の状況によって取るべき作戦は変わります。粗利獲得の作戦もそれと同じだと思うのです。

 

ただ、現実がどうなっているかというと、経営の枝葉末節を決める会議ばかり多く、各種会議が、おおまかな結果や状態を確認し合っているのみの会社がかなり多いといえます。経営会議をしている会社でも、その多くは売上について議論する場となっており、利益について議論する会議がほとんど行われていません。まずはその状態を変えましょう。

 

そのために重要なのは、まずは社長を中心とする経営陣が粗利を見る重要性を強く認識することです。そして、その意識を徹底し、共有した上で、粗利確認の会議を行うことです。

何も決まらない会議では意味がない

ところで、世の中には「会議が嫌い」という人が多いようです。

 

「ああ、退屈だった」

「結局何も決まらなかった」

 

会議が終わり、そんな感想を漏らしたことがある人も多いことでしょう。書店に会議をテーマにした本がたくさん並んでいるのも、「良い会議をやろう」「会議を活性化しよう」といった雑誌の記事をよく目にするのも、世の中のあらゆる会議が形骸化し、時間の無駄になっていることの表れなのだと思います。

 

私が経営改善をスタートする会社でも、最初に会議の様子を見学させてもらうことが多く、かれこれ60社以上の会議を見てきました。しかし、控え目にいっても良い会議をしている会社はほとんどありませんでした。

 

会議を見学して感じるのは、まず「長い」ということです。また、長い割には何も決まりません。たいてい、話し好きな社長や重役などが一方的に話し、参加者はただ聞いているだけです。特に問題なのは、何も決まらないという点でしょう。

 

先日見学させてもらった会議では「人が足りない」という課題を話し合っていました。「ハローワークに出したらどうだ」と、社長が言います。「出しました。それでも人が来ません」と、人事担当者が答えます。それに対する社長の答えは、「それは困った」であり、「なんとかしないといけないなあ」です。

 

別の会社では「新商品がなかなか売れない」という課題を話し合う会議を見せてもらったこともありました。「初動で見込んだ販売数の半分しか売れていません」と、担当者が言います。それに対する社長の答えは、やはり「なんとかしないといけないなあ」だけでした。

 

ある時、会議終了後に「こういう会議に何か意味はあるのか」と聞いたことがあります。社員に聞くと「うちはずっとこういう会議なんです」と、もはや諦めている感じでした。社長に直接聞いてみたら「やはりダメですか」とうなだれました。薄々、自分たちの会議が生産性の低い会議であることに気がついていたのでしょう。そして「なんとかしないといけないなあ」とつぶやいたのです。

 

冗談みたいな話ですが、あらゆる会社に「なんとかしないといけないなあ」で終わるパターンが根付いています。「なんとかしないといけない」と分かっていながらも、結果として何もせず、そのままの状態で放置してしまうから、会議は常につまらないものになり、経営課題も放ったらかしになってしまうのです。

 

なかには、方向性などが決まる会議もありますが、その場合も、誰が、いつ、どんな風にしてやるかといった具体的な部分までは詰めません。次の一歩を、どの方向に踏み出すか決めるのが会議の役割であるにもかかわらず、世の中の会議の大半は、課題や問題の報告会で終わってしまっているのです。

話し合う内容を決め、短時間で終わらせる

もちろん、社長も社員も、延々と長い会議が良いとは思っていません。方向性を決め、具体策を出さないといけないとも思っています。しかし、それができないのです。その理由は、何を決める会議なのかが決まっていないからでしょう。会議をする目的が分からず、なんのために開くかが理解されていないため、表面的な報告と行方の分からない薄い話し合いになってしまうのです。

 

粗利確認の会議は、そこが違います。というのは「必要粗利額を稼ぐ」「そのために何をするか考える」という明確な軸が決まっているため、何を話すかが分かりやすく、どうすれば良いかという方向性や具体策も議論しやすいのです。

 

私が通常行っている粗利確認の会議は、現状の粗利獲得状況を確認し、期末に向けた施策を考える場ですので、話し合うことはシンプルです。この2点しか議論しませんので、長時間延々と続くことはなく、たいてい1時間以内で終わります。粗利管理という経営の根幹に関わる大事なことであっても、1時間くらいあれば議論でき、結論が出せるということです。

 

まずはその点を社長や幹部が認識し、月1回の粗利確認の会議を定例化することが大事です。「また会議か」と思う会議アレルギーの社員もいるかもしれませんが、1時間で終わるものだと分かれば向き合い方も変わります。

定例会議で粗利を見る習慣を根付かせる

粗利確認の会議で重要なのは、定期的に開くという点です。というのは、粗利の獲得状況は常に変わるため、期初から期末にかけて都度きちんと状況を把握する必要があるからです。

 

会社の中には、「関係者が集まれるときにやる」という曖昧なスケジュールで会議を開いているところもあります。業績が良くない中小企業にこのパターンが多いのですが、それはやめましょう。また、社長などのスケジュールに合わせ、月に数回会議をしたり、しない月があったりする会社もあります。これも良くないパターンです。

 

粗利確認の会議をするということは、粗利を見る経営を確立させるということです。粗利確認の会議は、そのために不可欠なパーツともいえます。そのため、経営改善の仕組みを整えるという視点を持って、会議をスケジュール化することが必須です。

 

毎月開く。時間は1時間以内。参加者を決める。共通の資料を使う。そういった基礎を固めることで、経営改善の基礎も固まっていくのです。

 

私が支援している会社では、毎月定例の粗利確認の会議を必ず行っています。当然、私も参加しますし、ほとんどの会社では私が司会進行をします。会議の参加者は会社によって異なり、社長を中心とする重役が集まる会議があれば、社長や重役のほか、営業や製造現場の責任者が参加する会議もあります。

 

また、全国に拠点を持つ会社では、各拠点の支店長や営業所長などに集まってもらい、それぞれの拠点でどれくらいの粗利を確保できているか報告してもらうこともあります。誰を参加者に選ぶかは会社の規模や拠点数などによって変わるでしょうが、人選のポイントは次の3つだと私は思います。

 

・現状の粗利獲得状況をしっかり把握できている人

・目標額と進捗状況に過不足がある場合に、その原因を説明できる人

・不足している粗利をいかに獲得するかの方法を講じている人

 

この3つを押さえているということは、日々の業務でも粗利や粗利獲得の背景などをしっかり意識できているということです。そういう人たちを中心にすることが経営改善で重要なポイントになります。3つのうち1、2つしか押さえていない人にも参加してもらうのであれば、まずはこの3点を伝え、会議で発言できるようになってもらう必要があります。

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昭和42年石川県金沢市生まれ。法政大学文学部卒業。地元大手商社の営業部長、大手コンサルティングファームで金沢支社長を務めた後、平成20年にk・コンサルティングオフィスを個人開業。平成27年法人化。建設業界の業績改善に大きな強みを持つコンサルタントとして、ゼネコン、工務店、設備会社など多数の顧問先の経営改善に取り組んできた。社員全員と面談を行うなど、顧客に深く入り込むコンサルティングを強みとし、顧問企業の90%以上は2年以内に業績が大幅改善するという圧倒的な実績を残す。2年で利益が80倍になった例もある。

著者紹介

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中西 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

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