投資家の行動を読み解く「テクニカル分析」とは
将来、買った株が値上がりするかどうかは結果が出るまでわかりません。「この株は値上がりするだろう」と予測して買っても、逆に値下がりして損失を被ることも珍しくありません。そこで株価予測の精度をできるだけ高めるために大きな威力を発揮するのがチャートを使ったテクニカル分析です。
テクニカル分析ではチャートに表示された過去の価格、出来高、時間軸などから、未来の価格を予測します。テクニカル分析を学べばローソク足の形状や、複数の組み合わせから投資家の行動を読み解くことで、チャートの「買いシグナル(※1)」「売りシグナル(※2)」を発見して売買のタイミングを見極められるようになります。
※1 この先、株価が上昇する確率が高い株価の動き、ローソク足。
※2 この先、株価が下落する確率が高い株価の動き、ローソク足。
チャートとは過去の株価の動きをグラフ化したものです。[図表1]は、ローソク足チャートといって一般的なチャートの1つです。
ローソク足では「高値」「安値」「始値 」「終値」の4つの株価を記しています。陽線の場合は胴体の上部が終値、下部が始値になり、陰線の場合は終値と始値が入れ替わります。このようにローソク足は胴体やヒゲの形状によって、複数の価格を示しています。
株価が動きづらい「保ち合い」の状況を示す十字線
1つ1つのローソク足は、その形状によっていくつかの種類があります。例えば、胴体部分の長短によって「大陽線」「小陽線」「大陰線」「小陰線」にわけられます。
大陽線は胴体が長く、目安として始値から終値まで5%ほど上昇したときに現れたローソク足のことをいいます。また大陽線と小陽線には明確な線引きがなく、およそ上昇幅が3%以下のローソク足を小陽線といいます。
大陽線は一般的に相場が強いシグナルとなり、今後も株価が上昇することを示唆しています。ただし高値圏(※3)と底値圏、上ヒゲ下ヒゲの有無や長さで意味合いが異なってきます。大陰線と小陰線も同様の区別になります。
※3 前相場を一定の期間で見たときに、その間で一番高い金額に近い価格帯。上値が重くなり、株価が下落しやすい状態といえる。
始値と終値が同じ価格だったときに現れるローソク足を「十字線」といい、株価が動きづらい「保ち合い」の状況を示しています。十字線で重要なのはヒゲの長さです。長い下ヒゲは、株価が大きく下げたもののその後急反発したときに現れ、株価がそのあとも上昇しやすい状況を示します。
逆に、上ヒゲの長い十字線は株価が大きく上昇したものの急落したために現れたもので、株価が下落しやすい状況といえます。
柱部分が長い「大陽線」は上昇が続くシグナルだが…
チャートから株価の動きを予測し、買いのタイミング、売りのタイミングを見つけましょう。株価が上昇するとき、あるいは下落するときには、いくつかのシグナル(予兆)が現れます。まずは、1つのローソク足が示す状況を把握しましょう。
陽線が続けて現れれば、株価は上昇局面にあると見ていいでしょう。特に柱部分が長い「大陽線」は先行き上昇が続くシグナルです。ただし、長らく上昇が続き、すでに高値圏にあるときは反落の兆しとなるケースもあるので注意が必要です。大陽線の次に出るローソク足に注目しましょう。
反対に陰線は下落のシグナルですが、長らく下落が続いたあとに現れる「大陰線」は反転上昇の予兆となるケースもあります。
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下ヒゲや上ヒゲの長さにも注目しましょう。底値圏で長い下ヒゲが現れたときは反転上昇のシグナルとなりやすく、逆に高値圏で長い上ヒゲが現れたときは、反落のシグナルとなりやすいのです。