<用語解説>
※ ネックライン…三尊天井などなら安値を結んだ線、逆三尊などなら高値を結んだ線を指す。トレンドの方向性を読む判断材料になる。
※「買い場」と「売り場」…株価が、底値にあり市場の株を買った方がいい時期を「買い場」、天井にあり手持ちの株を売った方がいい時期を「売り場」という。
※ 失望売り…株価が上昇すると思って購入したものの、業績などの悪化によりこれ以上上昇しないと判断して株を売ること。
「ネックライン」を突破したところが買いのチャンス
株価の動きを描いたチャートの形状からも、「買いシグナル」や「売りシグナル」を見分けることができます。ここでは主なパターンをいくつか紹介します。
まずは強力な上昇パワーを示す「逆三尊(ぎゃくさんぞん)」といわれるパターンで、長らく下落を続けた株価がさらに3回、底値を付けた形です。最初に付いた底値の反発は、戻りが限定的です。再び下落し、2回目は底値を更新したところで反発。最初に戻したあたりまで上がり、そのレジスタンスラインを破れず三度反落します。しかし、この反落は2度目ほど下落することなく反発。2度反発して形成された「ネックライン(抵抗線)」を上抜けしたところから、株価は本格上昇へと向かいます。
最初と2度目の反発で形成された小さな「山」はほぼ同じ高さになります。その2つの「山」の頂点を結んだラインをネックラインといいます。
3回目の反発で、このネックラインを突破できれば「逆三尊」(逆ヘッド・アンド・ショルダーともいいます)が完成し、ネックラインを突破したところが買いのチャンスとなります。逆三尊は長期トレンドのなかの底値圏で現れやすく、その後は比較的長期に渡って上昇トレンドが続きます。
初心者にも見分けやすい「ダブル・ボトム」
底値を付けた証しとなるチャートパターンに「ダブル・ボトム」があります。株価が底値を2度付け、まるでWの字を描くような株価の動きを示します。「逆三尊」より谷が1つ少ない形です。
下落を続けていた株価が、底値を付けたあと小反発します。しかし、少し戻したところで「ここがチャンス」と見た投資家からの売りが再びかさみ株価は下落。最初の底値水準まで反落し、そこで売りが出尽くします。出尽くしによって上値の重石がとれるため、株価の動きは軽くなり、そこから上昇トレンドに移行していきます。最初の谷と2番目の谷は、ほぼ同じ水準か後者がやや高くなります。
最初の安値から小反発し、戻り高値を付けた株価水準がネックラインです。2度目の株価反発でこのネックラインを突破するとダブル・ボトムが形成されたことになります。買いのチャンスも、このネックラインを突破したところになります。このとき、大陽線が現れるケースが多いのは、買い場と見た投資の買いが殺到するためです。逆三尊よりも現れやすく、初心者にも見分けやすいパターンです。
強力な売りシグナルとなる「三尊天井」
逆三尊をひっくり返したパターンを「三尊天井」といい、強力な売りシグナルとなります。株価チャートが3つの山を形成し、そのうち2番目の山が最も高くなります。
上昇を続けてきた株価が高値警戒感から小反落すると、「押し目買いのチャンス」とばかりに買いが入り、再び株価は上昇。直前の高値を更新するまで上昇しますが、再び売り方に押され反落します。そこに直近の安値水準で買いが入りますが、今度は買いのパワーが続かないため、直近高値を更新することなく株価は三度下落します。
2つの谷間を結んだラインがネックラインとなりますが、そこを下に突き抜けたところで「三尊天井」(ヘッド・アンド・ショルダーともいいます)が形成されたことになります。
ネックラインを下に突き抜けるとき、大陰線が現れるケースが目立ち、売り場と判断した投資家からの売りが殺到します。2つ目の天井を高値更新できなかったことによって「失望売り」がかさみ、その勢いに拍車がかかります。株価は長期に渡っての下降トレンドとなり、早めに売却しなければ損失が膨らんでいきます。
「ダブル・トップ」出現時には持ち株を早めに処分⁉
ダブル・ボトムをひっくり返した形を「ダブル・トップ」といい、下落の兆候となります。
長らく株価が上昇を続けたところで一度天井を付けると、「そろそろ売りどころだ」と考えた投資家が利益確定の売りを出します。そして株価が下押しすると、今度は「押し目買いのチャンスだ」と考えた投資家からの買いが入ります。再び株価は上昇しますが直近の高値まできたところが上昇の限界です。買いのパワーが力尽きて下落に転じます。
最初の高値でつかまされた投資家がチャンスと見て、一斉に売りに出ることがダブル・トップの原因です。結果、買いより売りが上回り、下落が続きます。直近の安値がネックラインとなり、この株価水準を下に突き抜けると、下落に歯止めがかからなくなります。
<check!>
ネックラインを突き抜けるときは三尊天井のときと同様に、大陰線が現れやすくなります。売り場と判断した投資家からの売りが殺到するためです。 下値では買いが入らず、売りが売りを呼び、下落のスピードは加速します。持ち株を持っているときは早めに処分したいところです。下落の途中で買いを入れるのも控えましょう。
安恒 理
オフィスミックスナッツ 代表 ライター