<用語解説>
※ 利食い…値上がりした株を売却、あるいは信用売りのときは値下がりした
株を買い戻すことによって利益を確定させること。
短期売買でも「長期のトレンド」をチェックすべき
「移動平均線」という相場のトレンドを大まかにつかむための便利なツールもあります。過去の一定期間の株価の平均値を線でつないだもので、例えば「5日移動平均線」(以下5日線)なら過去5日間の終値を合計して5で割り、これを毎日線でつなぎます。平均値を見ることで、株価に1日イレギュラーな動きがあったとしても大きな流れの中で値動きを見ることができます。
移動平均線には短期線(日足なら5日線)、中期線(日足なら25日線)、長期線(日足なら75日線)などがあり、短期トレードなら短期線、長期トレードなら長期線と、チャートと同様、移動平均線も使い分けます。
使用する移動平均線はトレードごとに異なりますが、どの移動平均線も上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと判断できます。ただし短期売買でも、長期のトレンドをチェックすることは大切です。もし長期、短期ともに同じトレンドならその流れは強いといえるからです。
短期線と長期線ともに上昇トレンドなら強気で臨むことができます。短期線は上昇トレンド、長期線は下降トレンドなら慎重に投資するか様子見を決めてもいいでしょう。
移動線の組み合わせで「トレンドの転換」を見極める
長短もしくは中短など期間の異なる2つの移動平均線を組み合わせてトレンドの転換を見極めることも可能です。
株価が下降トレンドにあるときは、おおむね長期移動平均線は短期移動平均線の上に位置します。このとき株価が上昇に転じようとすると、先に短期線が上向き始めます。さらに上向き続け、短期戦が長期線を下から上へ突き抜けると、本格的に上昇トレンドに転じたことを示します。この現象を「ゴールデンクロス」といい、しばらく上昇トレンドが続く可能性が強くなります。
このとき注意したいのは、ゴールデンクロスが現れたときにはすでに株価が高くなっているケースがあるということです。そのため短期線が上向き、ゴールデンクロスが現れそうな状況を予見して投資することが大切です。
ゴールデンクロスと逆のパターンを「デッドクロス」といい、下降トレンドへの転換を示します。上昇トレンドにあるとき、おおむね短期線は長期線の上にあり、2本とも右肩上がりになっています。しかし上昇から下降へトレンド転換するときは、まず短期線が下に向かい始め、そのまま短期線が長期線を上から下へ突き抜けます。これがデッドクロスです。
移動平均線と株価の位置関係から掴む売買のタイミング
株価の動きが激しく、一時的に上げ過ぎると反動で値を戻そうとする動きが出ます。
株価にとって好材料が出て株価が急騰したとしても、一本調子に上げ続けることは珍しく、上げたところで利食い売りが出て反落するためです。
株価が下げ過ぎても同様の現象は確認できます。急激に下げ過ぎたときは、株価を元に戻そうとする投資家の思惑が作用します。この習性をあらかじめ知っておけば、利幅は小さくても確実に利益を得ることができます。
この上げ過ぎや下げ過ぎを計るツールに、移動平均線と株価の位置関係があります。
緩やかに上昇曲線を描く移動平均線に対し、株価が急激に上昇したとき、株価と移動平均線は大きくかい離します。このかい離が大きければ大きいほど、そのかい離を埋めようとする力が働きます。
株価が移動平均線より大きく上にかい離すれば平均線まで下押しし、逆に移動平均線から下方にかい離して下げ過ぎれば、やがて平均線近くまで戻る確率が高いといえます。株価が移動平均線のはるか下を行くようであれば買いのタイミング、上を行くようであれば売りタイミングと判断できます。