つみたてNISAのメリットは「自由度の高さ」
Q-6
途中で換金や減額、違う投資信託への乗り換えなどは認められますか。
つみたてNISAのメリットは、自由度の高さにあります。iDeCoとは違って、積立途中でも換金できますし、積立額を途中から減額することも可能です。独身時代は3万3000円をフルに積み立て、結婚して子供が出来てからは少し低めにするなど、自分のライフサイクルに合わせて、自由に金額設定が出来るので、その点では非常に使いやすい制度です。
あるいは他の投資信託への乗り換えですが、これも基本的には可能です。
ただし、注意点がひとつだけあります。それは、今まで積み立ててきた投資信託を全額解約して、新たに乗り換える投資信託に資金をまとめることは認められないのです。なぜなら、つみたてNISAで解約した場合、枠が空いたとしても、それを再利用することが認められていないからです。
たとえば毎月3万円ずつ、ファンドAで積み立てて5カ月が経過したとしましょう。ところが6カ月目に、積み立てる投資信託を変更するにあたって、今まで積み立ててきた15万円を、変更したファンドBにスイッチングし、6カ月目はそれに3万円を上乗せした18万円からスタートすることが出来ないのです。この場合、ファンドAの積立を中止して、15万円を解約するか、もしくはそのまま口座に残して運用し続け、新たに6カ月目からファンドBを積み立てていくという形になります。
乗り換えはできるが、使える枠(年間40万円以下)に注意しよう。
なるべく持続性のある投資信託を選ぼう
Q-7
投資信託の運用が止まった場合、どうなりますか。
もともと長期的な資産形成のための制度なので、金融庁もつみたてNISAで購入できる投資信託の条件を、かなり慎重に見極めていると思うのですが、今後、繰上償還されて運用が止まるというケースは想定されます。
繰上償還とは、あらかじめ決められた償還期日前に、事情があって償還されてしまうことです。信託期間が無期限なのに償還されてしまうというケースも起こり得ます。
なぜ繰上償還されるのかというと、一番の要因は解約による資金流出が続くファンドとか、そもそも設定来販売が芳しくなく純資産残高がずっと小さいままのファンドなどが、受益権口数が目論見書で定められた一定口数を下回っている場合です。多くのファンドは、30億口を下回ると、繰上償還を検討し始めるようですが、いずれにしても、純資産総額の絶対規模が小さく、なかなか増えないようなファンドは、繰上償還のリスクが高いと思って良いでしょう。
繰上償還された場合、その時点で積み立ててきたファンドの資金は全額、返却されます。もちろん収益に対しては非課税ですが、そもそも長期で積み立てることを前提にしてきたのが、その時点で積立終了になるため、予定が大きく狂うことになります。
その意味でも、なるべく持続性のある投資信託を選ぶべきでしょう。その基準としては、純資産総額がある程度の規模を持っていることが前提になります。純資産総額で50億円以上は最低ライン。できれば100億円以上あった方が安心です。
繰上償還といって、解約されて現金になります。
小さな利益をいちいち確定していては、お金は育たない
Q-8
ほったらかしで良いのでしょうか。
長く信頼できる投資信託に投資しているという前提において、それで良いでしょう。日々の価格が気になってこまめに確認すると、どうしても解約したくなるものです。たとえば、自分が持っている投資信託の運用成績は、誰でも気になるところですが、それを毎日のようにチェックしていると、下がった時はハラハラするし、上がった時はウキウキ・・・、結局、下がっても、上がっても、解約したくなります。
実際、投資信託は基準価額がどんどん上昇すると、中途解約する人が増えてくるのです。これは、言うまでもなく利益を確定させようとするからです。でも、これははっきり申し上げますが、小さな利益をいちいち確定させていたら、いつまで経っても資産を築くことはできません。大きくお金を育てるためにも細かく解約することは避けて下さい。
ほったらかしにしてください。
中野 晴啓
セゾン投信株式会社 代表取締役社長