実は稼げない⁉ 矛盾だらけの「投資の世界」
前回(関連記事:『投資で負け続きの社長が作ったAI株価解析ソフトの実力とは?』)の通り、筆者はAI株価解析ソフトを開発しているが、投資センスはまったくない。そのような話をすると
「投資がダメな人間が作った投資ソフトなど、信用できるか」
「どこの馬の骨ともわからない男が、なぜ世界初のソフトを作れるのか?」
「投資ツールを販売している会社の社長が『投資スキル0点』というなんて、そんな馬鹿正直に話して本当に大丈夫なのか?」
などとよくいわれる。しかしこれは作戦である。
多くの人にとって筆者は「どこの馬の骨ともわからない男」である。そのような男の話を聞いてもらうために、まずは自分の失敗談を積極的にさらして興味(疑問というほうが適切か)を持ってもらい、そのうえで馬の骨に嘘がないことを理解してもらう。そうすれば、馬の骨の話でも耳を傾けてくれるだろうという狙いがあるのだ。
前置きはさておき、ここで少し考えていただきたい。世の中には、「投資で勝つ」とうたう情報があふれているにもかかわらず、なぜ実際に勝てている人はわずかなのか。
多くの人は、イヤというほど知っているだろう。インターネット上には「投資で簡単に稼げる方法」という情報が、掃いて捨てるほどに溢れている。書店に行けば、つい手に取りたくなってしまうような、魅力的な文句の投資関連の書籍や雑誌が並んでいる。肩書きが立派な講師が伝授する投資セミナーも多数開催され、それを受講すれば明日から自分も稼げそうな気がしてしまう。
しかし、現実は違う。誰もが実感していることだろうが、個人投資家は負けまくっている。
2019年初頭に弊社の登録顧客で投資経験半年以上の方を対象にしたアンケートを行ったのだが、有効回答数792名のうち、投資で勝っている方はわずか47名、割合にして5.9%しかいなかった。あくまでも自社調べではあるが、しかし最低でも半年以上の投資系経験がある登録顧客が対象のアンケートである。どれだけ個人投資家が負けているのかが如実に示された一例といえるのではないだろうか。
世の中には「稼げそうな情報」で溢れ返っている。一方で「稼げていない人」でも溢れ返っている。このような矛盾をはらんでいるのが「投資の世界」なのだ。
投資の世界は「メルヘンの世界」ではない
この矛盾に対する筆者なりの分析はこうだ。
誰もがお金を稼ぐために苦労をしている。会社員であれば、月に一度の給料日までの長い道のりを思い出してほしい。毎朝早く起き、満員電車に揺られ、厳しい仕事に向き合い、ときに上司につめられ、ときに部下の悩みを聞き、人によっては何時間も残業をし、胃の痛い毎日を過ごしている人も多いだろう。しかし投資となると別次元の物語になってしまう。お金を稼ぐということは相応の苦労が伴うことを実体験として知っているにもかかわらず、投資の世界では苦労して稼いだお金を簡単に吐き出してしまうのである。
投資の世界には「自分の想像を超えた仕組み」が存在し、それを使えばいとも簡単に稼げるようになるかも知れない…と安直に考えてしまう人が多いのである。「仕事で稼ぐのは非常に大変だが、投資では簡単に稼げそうだ」と、安直に考えているのだろう。
投資の世界には「何か自分の想像を超えた仕組み」が存在し、それを使えばいとも簡単に稼げるようになるかも知れない…と安直に考えてしまう人があまりに多いのだろう。仕事で稼ぐのはとても大変なことだが、投資ならとても簡単に稼ぐことができそうだ、と。
それは違う。
「仕事で稼ぐこと」も「投資で稼ぐこと」も同じである。決して投資の世界は楽にお金を稼ぐことのできる「メルヘンの世界」ではない。稼ぐためには相応の努力が必要だ。前回の記事で「筆者の投資スキルは0点だ」と伝えた。投資の世界をメルヘンの世界だと考え、インターネットで簡単に稼げそうな情報を収集し、安易な気持ちで投資を行った結果、散々な目にあってしまったのが、何を隠そう筆者なのである。
そう、私は負けるべくして負け続けてきた。
大事な話だから、繰り返す。「仕事で稼ぐこと」も「投資で稼ぐこと」も同じである。厳しいことをいうようであるが、努力をしないで投資で稼ぐことなどできない。しかし、飛躍的に進化している人工知能=AIの存在が、この努力を圧倒的に削減してくれるとすれば、投資家の方はどう思うだろうか。
次回以降、AIが投資の世界に与える可能性について説明していく。