グローバルな観点で「好材料が重なる日」は勝負の時
個人投資家が株式投資の世界で勝ち続けることは難しい。その理由の1つが「相場を予測する」という文句だ。どんなに凄腕のアナリストが優秀と評判の相場予想ツールを用いようとも、相場の未来を完璧に予想することはできない。アメリカの気象学者エドワード・ノートン・ローレンツが100%当たる天気予報は存在しないことを発見して知られるようになった「カオス理論」は、株式投資の世界でも当てはまるのである。
だから「相場は予想できない」ことを知ることが、株式投資の世界で勝つための第一歩となる。そのうえで、いま相場で何が起きているのかを見極めることが肝心となる。またマーケットにいる時間をできるだけ短くすることも重要だ。時間が長くなればなるほど、プロの投資家の動きに巻き込まれるリスクが増えるからだ。
そこで注目すべきが、取引時間スタートの時間帯である「寄り付き」。売買のエネルギーが最も集中する時間帯であり、上昇でもない下落でもない株価に上下の「ゆらぎ」が発生する。「ゆらぎによる株価の変動幅を取る」という手法であれば、1分程度で取引が終わることもある。
このような取引でコツコツと勝ちを重ねていくのだが、特に「地合いが良い」という日が、時々ある。それは、グローバルな観点で好材料が幾つか重なる日だ。具体的に見ていこう。
2019年9月5日(木)はまさにその日であった。日経平均のチャートを見てみよう。黄色の矢印の強い陽線が、9月5日である。
窓(=チャートに空いた隙間のこと)を開けて、+151円で寄り付いた後もグングンと伸びて白い線のレジスタンラインライン(抵抗線)をも一気に突破しており、若干戻されてはいるがほぼ高値引けである。その後の1週間も連日窓を開けて上昇しているのがわかるが、それほどインパクトある材料だったわけである。
9月5日の前日、次のような良い意味で世界経済を前向きにするニュースが流れた。
・米中通商会談を10月上旬にも開催される見通しとの報道。貿易摩擦の懸念後退
・英国の「EUからの合意なき離脱」を阻止する法案が可決されるとの報道
・大規模デモにまで発展している香港の「逃亡犯条例改正案」撤回との報道
当日(日本深夜)のダウ平均は前日比+$372と大幅上昇。上記ニュースと米国ダウの大幅上昇を受け、これまでグダグダであった日経平均は、寄付きから一方的に上昇し、一気にレジスタンラインを突破する買いが買いを呼ぶ展開となった。このように日経平均、東京市場全体が低い位置にいるからこそ、これまで控えられていた資金が株式市場へ流れ込むと相場はお祭り状態となる。
寄り付き前の気配値を確認して大勝負
通常時は寄り付き直前までに①~③の準備をしておく。
① 当日に株価の強い変動(揺らぎ)が起きやすい候補銘柄を次の条件で抽出する
※通常筆者は、おおむね15銘柄を抽出
・東証1部銘柄
※但し、東証2部、ジャスダックでも以下の条件を満たせばトレード可能
・出来高100万株以上
・売買高10億円以上
・株価400円以上
② 日足をチェックする(連騰していないか、高値等のレジスタンラインにぶつからないかを確認する)
③ 寄付き前の気配チェックを行い、トレードする銘柄を絞り込む
トレード対象となる銘柄は良くて3銘柄程、悪い日は全銘柄見送ることがある。しかし、トレードの準備をしていくなかで、前出のような、明らかに「明日は地合いの良い日になる」と確信をもつことのできるニュースが舞い込んでくることがある。
9月5日のように全面高になるような日は、寄付き前気配も通常とは明らかに違ったのである。実際この日は、15銘柄中9銘柄も「買い」エントリーができそうな銘柄がでてきた。監視銘柄のうち、半数を超える銘柄で「買い」気配がでると、日経平均は一方的な上昇となることが多い。
結果は9銘柄すべてで「買い」で勝利を収めることができた。さらに、明らかに「売り」気配が強すぎる1銘柄を除いた残りの5銘柄も4勝1敗となり、全候補銘柄トータルでは13勝1敗となる、まさに全面高といえる展開となった。
このように「寄り付き」に注目するトレードを進めていくと、有意義な「お宝日」に巡り合えることがある。明白に「買い」気配の銘柄が多数出る時は、次から次に買い注文を入れていくか、またはより「勝てる」確証が高そうな銘柄に大きな資金を入れていく。通常時は+0.5%程度で利確するが、このような日は+2.5%~+3.0%程度を狙う。上昇勢いが強ければ終日保有してもいいだろう。