昨今、様々な業界で技術の応用が模索されている人工知能。投資の世界でも、AI技術を活用したサービスが次々と誕生し、関心が高まっています。本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する株式会社ソーシャルインベストメントの山本弘史代表取締役が、AIによって大きく変わる資産運用の未来について説明していきます。本記事では、寄り付きに注目した「居合抜き1分トレード」の方法を具体的に見ていきます。

「変動率」と「出来高」に注目して2銘柄を抽出

前回(関連記事:個人の株式投資家が、プロと互角に勝負できる時間帯とは?)、「居合抜き1分トレード」の大きな流れと、具体的な作業を解説した。この「居合抜き1分トレード」は、「相場は予想できる」という言葉を信じて大損を経験した筆者が生み出したトレード法である。

 

本連載で何度も繰り返しているが、相場は予想できないのである。相場は予測できるという神話は、個人投資家にそう思わせると都合のいい勢力が、あの手この手で信じさせている、都市伝説のようなものに過ぎない。

 

「居合抜き1分トレード」は、相場は予測できないという原理原則に立ち、生み出した。相場に最もエネルギーが集中する朝の寄り付きを狙い、寄り付き時のエネルギーが解き放たれる瞬間に発生する「相場の揺らぎ」を利益に替えるものであり、相場予測とはまったく別次元の手法である。

 

今回、直近の相場で「居合抜き1分トレード」をやった筆者の結果を振り返ってみよう。トレード日は「7月30日(火)」である。最初に「居合抜き1分トレード」の大きな流れを確認しておこう。

 

1.(前日)「候補銘柄」を選ぶ

2.(当日)「候補銘柄」のなかからどの銘柄でトレードするかを決める

3.(当日)「買い」か「売り」か決める

4.(当日)トレードをする

 

7月30日のトレードもこのとおりに進めて行く。まず行うのは候補銘柄の抽出だが、これは昨晩のうちに「昨日動いた銘柄」を抽出しておいた。具体的には「変動率」と「出来高」が高い「東証1部」の銘柄となる。

 

筆者が抽出したのは「野村総合研究所(4307)」と「富士通ゼネラル(6755)」の2銘柄だった。

 

野村総合研究所の前日出来高は「254万株」であり、過去1ヵ月平均では「100万株」弱だったことから、市場で注目されていることがわかる。また、変動率は「3.2%」と動きも活発であったことから抽出した。

 

一方の富士通ゼネラルの前日出来高は「84万株」であり、過去1ヵ月平均では「40万株」ほどだったことから、こちらも活況な取引が行われていることがわかる。また、変動率は「2.6%」であったことから抽出した。

 

双方、「居合抜き1分トレード」の候補銘柄としては、十分の材料が揃っている銘柄である。この候補銘柄の抽出をもって翌日のトレードは準備完了だ。筆者は食事後の空いた時間に30分ほどをかけてこの抽出作業を行うのだが、明日の跳ね上がりを期待しながらの抽出作業なので、否が応でもワクワクしてしまう(前日の抽出作業は、「居合抜き1分トレード」で勝てるかどうかの重要な鍵を握るので、本来ならば真面目に向き合わなくてはならないのだが、この作業にはどうしてもワクワクが伴ってしまう……)。

 

とはいえ、いつまでもワクワクはしていられない。翌日のトレードに備え、0時前には就寝する。

前日抽出した2銘柄は、どのように推移したのか?

7月30日の当日、まずはいつものように寄り付き前の気配をチェックする。気配チェックは朝の8時40分から行った。このチェックなのだが、早く始めればいいというものでもないが、遅すぎてもいけない。だいたい8時20分から8時40分までには始めよう。

 

当日の日経平均先物は、前日比より、わずかにプラスであった。こういう日経平均先物が若干でも上昇している日は、買い気配が強い銘柄があれば、買いで行くことを優先する。

 

時間の経過とともに気配値が素直に上昇していく。いい気配の推移だ。途中で気配がぶれたりすると、寄り付いたあとも想定外の動きをしたりする。その一方で、やっぱり買っておこうと考えるトレーダーが徐々に増えるような銘柄は、やはり寄り付き後も買いが入りやすい。

 

前日に絞った2銘柄がどのように推移したかをご覧いただこう。

 

野村総合研究所(4307)7/30 寄り付き前の動き
野村総合研究所(4307)7/30 寄り付き前の動き

 

富士通ゼネラル(6755)7/30 寄り付き前の動き
富士通ゼネラル(6755)7/30 寄り付き前の動き

 

これら2銘柄の日足チャートも確認する。両銘柄とも、5日線、25日線、75日線の上にあり、上昇トレンドの最中にある。最終的に8時58分の気配を見て、迷うことなくこの2銘柄に「買い」を入れた。時間は8時59分。寄り付きの直前である。

 

9時になり寄り着くと、見立てどおりに両銘柄ともにグングンと上昇していく。結果、野村総合研究所は「38秒」、富士通ゼネラルは「42秒」という瞬発で利益確定となった。

 

それぞれの寄り付き後の値動きを具体的に見てみよう。野村総合研究所は、前日終値「1,918円」より、少し窓を空けて「1,934円」で寄り付いた。その後、真っ直ぐに上昇して、利益確定ポイント「1,944円」へ、わずか「38秒」で到達した。富士通ゼネラルは、前日終値「1,734円」より、窓を空けて「1,774円」で寄り付いた。その後、真っ直ぐに上昇して、利益確定ポイント「1,783円」へ、わずか「42秒」で到達した。

 

野村総合研究所(4307)7/30 9時直後の推移
野村総合研究所(4307)7/30 9時直後の推移

 

富士通ゼネラル(6755)7/30 9時直後の推移
富士通ゼネラル(6755)7/30 9時直後の推移

 

寄付き前の気配が最も大事なのであるが、そこに地合い(日経平均先物や米国ダウの状況)と日足トレンドを補足的に加味することで、より手堅いトレードが可能となる。

 

改めて「居合抜き1分トレード」の力を感じる1日となった。

 

 

山本 弘史

株式会社ソーシャルインベストメント 代表取締役

 

●本記事は、情報提供を目的として、株式会社ソーシャルインベストメントが監修するものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、株式会社ソーシャルインベストメント、幻冬舎グループは責任を負いません。

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