米中通商協議…中国人民元の値動きへの影響は?

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

楽観的な見方が支配的であった米中通商協議ですが、報道では中国が産業補助金などを巡って態度を硬化、交渉の先行きに暗雲が漂っています。トランプ大統領の警告以降、市場の反応を見ると株式市場は下落、小幅な人民元安が見られました。現段階は9~10日の米中閣僚級通商協議の結果待ちとなっています。

米中通商協議:協議の進展遅いとトランプ大統領、中国製品への関税引き上げを警告

トランプ米大統領が2019年5月5日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税率を現行の10%から25%へと引き上げる考えをツイッターへの投稿で示してから、米中通商協議の先行きに不安が高まっています。

 

最終段階と目されている9日から10日の米中通商協議開始を前に中国に警告を発した格好です。通商協議の先行き懸念を受け、市場では人民元安(図表1参照)や、株安が見られました。

 

[図表1]人民元(対ドル)レートの動向と主なイベント 日次、期間:2018年5月7日~2019年5月7日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]人民元(対ドル)レートの動向と主なイベント
日次、期間:2018年5月7日~2019年5月7日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:米中通商協議、人民元、外貨準備高、9日

楽観的な見方が支配的であった米中通商協議ですが、報道では中国が産業補助金などを巡って態度を硬化、交渉の先行きに暗雲が漂っています。トランプ大統領の警告以降、市場の反応を見ると株式市場は下落、小幅な人民元安が見られました。現段階は9~10日の米中閣僚級通商協議の結果待ちとなっています。

 

人民元の過去1年の推移を見ると、米中通商問題の影響を受けています。最初に人民元の動向を振り返ります。

 

まず、18年中頃から人民元安が進行しました。トランプ政権は中国からの輸入分に対する関税引き上げ(第1弾)を18年春頃には示唆していました。しかし、6月に関税品目500億ドルのリストを公表したことから貿易戦争が本格化し、中国景気への懸念に伴い人民元安が進行しました。

 

なお、中国の外貨準備高の動きを見ると足元安定的です(図表2参照)。15~16年の頃の人民元安の時期に外貨準備高が急減していた当時とは対応に違いが見られます。

 

[図表2]中国の外貨準備高の推移 月次、期間:2015年6月~2019年4月、米ドル 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の外貨準備高の推移
月次、期間:2015年6月~2019年4月、米ドル
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

18年後半も、トランプ政権が2000億ドル相当の中国輸入分に対する関税を25%に引き上げる構えであったこともあり、緩やかながら人民元安傾向が続きました。

 

ただし、1ドル=7人民元という節目が、政治的な思惑から意識されたことや、18年12月の習近平氏とトランプ大統領の間の米中首脳会談で交渉中の関税引き上げ見送りで合意し、25%への引き上げは見送られたことから、人民元高に転じる動きとなりました。

 

次に、足元の人民元の動向を見ると、楽観的であった想定に反し米中通商協議が難航している様子から再び人民元安となっています。

 

ただ、よく見ると4月の中頃から人民元安に向かっていました。これは中国当局が中小企業向けに借入コスト引き下げや融資拡大を目指す方針を表明した時期と重なります。この頃のトランプ大統領のコメントは「通商協議はうまく行っている」というトーンでした。

 

現段階の市場の大方の認識は、米国が10日からの関税引き上げを表明したことは、通商協議が深刻な局面であると見られる一方で、①協議を9~10日に設定したことで、少なくとも9日に交渉の余地が残されたこと、②中国の劉鶴副首相が予定通り訪米することから何らかの妥協案(そうでなければキャンセルしていた?)の可能性に希望をつないでいると見られます。市場はある程度協議決裂のリスクを織り込むも、何らかの妥協を期待して9日を待つ姿勢と見られます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米中通商協議…中国人民元の値動きへの影響は?』を参照)。

 

 

(2019年5月8日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

→毎日読むのが楽しみ!「幻冬舎ゴールドオンライン」無料メルマガ登録はこちら​

 

 

幻冬舎ゴールドオンラインの主催・共催・協賛セミナーをいち早くお届けする、

LINE@アカウントを始めました!お友達登録はこちらからお願いします。

 

友だち追加

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・ヘッドライン

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧