トランプ大統領、追加関税引き上げへ

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

9日からの劉鶴副首相率いる中国代表団と、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官ら米国側との通商協議は、初日の協議の結果、追加関税が実施されました。米中通商協議は一段と深刻となりましたが、これまでのところ、市場は冷静に事態の推移を見守る反応となっています。

米中通商協議:米国、対中追加関税率を引き上げ、中国は報復せざるを得ないと表明

米国は東部時間2019年5月10日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)、中国からの輸入品2000億ドル相当への追加関税率を従来の10%から25%に引き上げました。今回の追加関税の対象は、2018年9月に「第3弾」として発動した約5700品目となります。

 

 

中国は直ちに商務省が声明で、追加関税に遺憾の意を示すと共に、米国に報復せざるを得ないと表明しました。ただ具体的な報復内容は現段階で明らかにしていません。

 

米国が追加関税の引き上げを正式に公表した直後、開いていた主な市場である中国、日本では株式市場の下落(図表1,2参照)が見られましたが、比較的落ち着いた動きにとどまりました。

 

[図表1]中国人民元(対ドル)レートと上海総合指数の推移 日次、期間:2018年5月8日~2019年5月8日(日本時間午後1時) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国人民元(対ドル)レートと上海総合指数の推移
日次、期間:2018年5月8日~2019年5月8日(日本時間午後1時)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

図表2:日経平均株価指数と円(対ドル)の推移 日次、期間:2018年5月8日~2019年5月8日(日本時間午後1時) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
図表2:日経平均株価指数と円(対ドル)の推移
日次、期間:2018年5月8日~2019年5月8日(日本時間午後1時)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:米中通商協議、人民元、関税、首脳会談

 

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9日からの劉鶴副首相率いる中国代表団と、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官ら米国側との通商協議は、初日の協議の結果、追加関税が実施されました。米中通商協議は一段と深刻となりましたが、これまでのところ、市場は冷静に事態の推移を見守る反応となっています。

 

まず、ここまでの市場の動向を振り返ると、淡い期待もむなしく追加関税実施を受け、アジアの株式市場は小幅ながら下落しました。為替市場では、今後の景気が懸念される中国の人民元はオフショアも含め人民元安が進行しました。一方、リスク回避通貨と見られている日本円は円高が進行しましたが、109円台を確保しています。

 

市場の反応が冷静な背景は、米中共、交渉を続ける意向と見られることです。例えば、追加関税は実施となりますが、米中通商協議は10日午前に再開する予定と伝えられています。逆に言えば、9日の関税引き上げを受け、協議打ち切りとなれば事態を深刻に受けとめたと見られます。

 

また、両国の対応も今のところ冷静です。例えば、中国は追加関税の1分後に報復すると警告していましたが、売り言葉に買い言葉の対応は、今のところ控えられています。

 

米国も、トランプ大統領が協議の前に、中国の習近平国家主席から「素晴らしい書簡」を受け取ったとし、習主席と恐らく電話で会談することになると表明していました。

 

では、今後のポイントは何か?まずは、米中首脳によるトップ会談実現の可否が、当面の注目点と見られます。今回、結局追加関税が回避されなかったことからも、米中の対立に深刻な問題点が残されていることは明確です。すでに閣僚級の協議は、10日が残されるも、中国の劉鶴副首相のコメントなどから、事態打開の鍵は首脳同士の話し合いとなりそうです。その意味で、10日の協議では首脳会談実現の橋渡し役が期待されます。

 

時間も大切な要素です。打開策の模索に時間がかかれば両国の経済コスト負担が重くなることや、交渉の成り行きにより関税項目をさらに拡大させるなど、米国が新たな圧力を加えることも懸念されるからです。市場は目先、様子見かもしれません。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ大統領、追加関税引き上げへ』を参照)。

 

 

(2019年5月10日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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