協調減産に加え、禁輸措置や政情不安が上昇圧力

年初から上昇が続く原油価格(2019年4月)/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
協調減産に加え、禁輸措置や政情不安が上昇圧力

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

原油価格は上昇傾向

背景には政情不安や禁輸措置など

 

■北米の代表的な原油価格であるWTI価格は、今年に入って上昇が続いています。背景には、今年1月より強化された石油輸出国機構(OPEC)加盟国及び非加盟国による協調減産や、産油国リビアの内戦激化やアルジェリアの政情不安などの懸念があります。

 

■加えて、米国は4月22日にイラン産原油の禁輸の適用除外を撤廃することを発表しました。米国はすでにベネズエラへの制裁も行っており、供給不安への懸念を高める要因となっています。

 

WTI原油価格と北米のリグ稼働基数

(注)データは2017年1月6日~2019年4月25日。ともに週次データ。リグ稼働基数は2019年4月19日まで。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注)データは2017年1月6日~2019年4月25日。ともに週次データ。リグ稼働基数は2019年4月19日まで。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

協調減産により生産減が続く

現状のままなら今年はやや需要超か

 

■4月10日に公表されたOPEC月報の4月号によると、OPEC加盟国の原油生産量は減少が続いています。3月の生産量は日量で前月比▲53.4万バレルの3,002万バレルでした。

 

■2019年の原油需要見通しは、全世界で前年比+1.2%の日量9,991万バレルと予想されています。需給が均衡するにはOPEC加盟国で3,030万バレルの供給が必要と見られ、現状程度の産油量が続くならば、今年は需要が供給をやや上回りそうです。

 

世界の原油需給見通し

(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。  (注2)単位は百万バレル(日量)。  (注3)2017年、2018年は実績。2019年はOPECによる予想。ただし、2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。  (注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。  (出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注1)需給バランス=供給-需要。▲は需要超過。
(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2017年、2018年は実績。2019年はOPECによる予想。ただし、2019年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

原油の需給は引き締まりが継続か

 

■世界経済を見ると、中国での景気刺激策の効果や、米国で金融政策がハト派的な姿勢に転換したことなどから、景気は今後減速から安定的な成長へ向かうと見られます。このため、原油の需要は堅調さが続くと見られます。

 

■一方、米国のイラン・ベネズエラへの禁輸措置や、産油国の政情不安は当面続くと見られる中、OPEC加盟国及び非加盟国の主要産油国は今年6月末まで協調減産の規模を維持するとしており、今後の主要産油国の動向に注目です。

 

 

(2019年4月26日)

 

関連マーケットレポート

2019年4月23日 2019年5月の注目イベント
2019年4月17日 持ち直しの兆しがみられる中国経(2019年4月)
 

あなたにオススメのセミナー

    ●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
    ●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
    ●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
    ●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
    ●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
    ●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
    ●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ