原油価格は上昇傾向
背景には政情不安や禁輸措置など
■北米の代表的な原油価格であるWTI価格は、今年に入って上昇が続いています。背景には、今年1月より強化された石油輸出国機構(OPEC)加盟国及び非加盟国による協調減産や、産油国リビアの内戦激化やアルジェリアの政情不安などの懸念があります。
■加えて、米国は4月22日にイラン産原油の禁輸の適用除外を撤廃することを発表しました。米国はすでにベネズエラへの制裁も行っており、供給不安への懸念を高める要因となっています。
WTI原油価格と北米のリグ稼働基数
協調減産により生産減が続く
現状のままなら今年はやや需要超か
■4月10日に公表されたOPEC月報の4月号によると、OPEC加盟国の原油生産量は減少が続いています。3月の生産量は日量で前月比▲53.4万バレルの3,002万バレルでした。
■2019年の原油需要見通しは、全世界で前年比+1.2%の日量9,991万バレルと予想されています。需給が均衡するにはOPEC加盟国で3,030万バレルの供給が必要と見られ、現状程度の産油量が続くならば、今年は需要が供給をやや上回りそうです。
世界の原油需給見通し
原油の需給は引き締まりが継続か
■世界経済を見ると、中国での景気刺激策の効果や、米国で金融政策がハト派的な姿勢に転換したことなどから、景気は今後減速から安定的な成長へ向かうと見られます。このため、原油の需要は堅調さが続くと見られます。
■一方、米国のイラン・ベネズエラへの禁輸措置や、産油国の政情不安は当面続くと見られる中、OPEC加盟国及び非加盟国の主要産油国は今年6月末まで協調減産の規模を維持するとしており、今後の主要産油国の動向に注目です。
(2019年4月26日)
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