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リスクの観点から「預金を含めた全体設計」を考える
今回は、投資において「リスクを取っただけ、リターンを得られる確率を高める」ための作業を紹介していきましょう。
株式は値段が大きく動くから怖い――そう感じる人もいると思いますが、債券等と組み合わせて分散投資することで、全体の価格変動を小さくすることができます。
また、分散投資する場合は「流動性」も考慮しなければなりません。流動性とは売りたい時に売れて買いたい時に買えるということ。市場規模が小さい資産はマーケットが急変した時に売ることも買うこともできなくなる可能性があるからです。
デフレの時代は価格変動の小さい国債を保有していれば安心でしたが、これからは価格変動が小さいことだけに捉われず、次の二つのポイントを重視して投資を行う必要があります。
①株式などインフレに強い資産を含めて分散投資を行う
②各資産の流動性を十分に考慮し、流動性が低い資産への投資は長期資金のみで行う
これからの時代に投資を考える際には、投資対象を分散することはもちろん重要ですが、資金を色分けして分散することが大切になってきます。ピクテ式投資セオリーは、資金を分散してみる時にリスクの観点から「預金を含めた全体設計」を考えるところから始まります。それを図にしたものが「お金のタマゴ」、下記の図表です。
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具体的には、資金を「預貯金でなければならない資金」「欲張らない投資」「ちょっと欲張った投資」「育てる投資」「スパイス的な投資」に5分割します。5分割した上で、どのような対象に投資すればよいのかを考えることが重要です。ただし「スパイス的な投資」は本当の余裕資金で行うべきなので、必ず必要というわけではありません。また、預貯金は資産運用とは違いますから、運用効率を上げることを考えれば最小限に留めても構いません。
預金を出発点として「投資にあてる資産」を設計
この「お金のタマゴ」のポイントは、出発点の預金を確保した上で、保有目的を明確にしてリスクレベルの違うファンドを組み合わせることです。大切なのは、自分のことを一番よく知っている自分自身が主体的に資産の分割を考えなければなりません。設計にあたって考える順番は図の左から右に限られます。
もし、自ら設計する意識と全体を俯瞰した意識を持たずに「売れ筋ファンドは何か」などと考えてしまうと、左から右ではなく右から左、あるいは右だけ買う、という失敗に陥るのです。
それではここで、これまで述べてきた「左から右」の考え方を、まとめてみましょう。
(1)預貯金でなければならない資金
これはいつでも現金化できる資金を保有しておくということです。人生には急に現金が必要になる場面があります。その時の備えとする一方で、投資の好機が巡ってきたら、資金を他の資産へ移せるように残しておくためのものです。投資期間が2年以上取れない資金もこちらに分類したほうがいいでしょう。
(2)「欲張らない投資」へ振り分ける資金
投資を難しいものと感じる人は、「株式相場をずっと見続けて売買のタイミングを判断しなければならない」と考えていることが少なくありません。それは短期間で大きく儲けようとする投資法です。「欲張らない投資」は、短期間で大きく儲けることは考えません。あくまで物価上昇リスクから資産を保全することを最優先し、低リスク・低リターンの商品で運用する「預金の一歩先」のような投資です。投資期間が2年から5年程度の資金が振り分けられます。
(3)「ちょっと欲張った投資」へ振り分ける資金
「欲張らない投資だけでは満足できないが、株式などの価格変動はちょっと・・・」といったニュアンスで振り分けた資金に適しています。投資期間5年から9年程度の資金に対応した「育てる投資」の一歩手前の投資です。
(4)「育てる投資」へ振り分ける資金
資金を(1)と(2)と(3)だけに振り分けたのでは、インフレに耐えることはできても、資産を増やすことはあまり期待できません。そこで、「欲張らない投資」で資産を確実に守った上で、「育てる投資」が必要となるのです。これは、高リスク・高リターンの資産に投資することで、じっくりと資産を育てていこうという考え方の投資です。投資期間10年以上の資金がこちらに分類できます。
(5)「スパイス的な投資」へ振り分ける資金
(2)(3)(4)を実行し、「余剰資金」を得た人が振り分けるべき資金です。(2)「欲張らない投資」、(3)「ちょっと欲張った投資」、(4)「育てる投資」よりもさらに大きなリスクを取って、資産を大きく増やすことができる投資の資金です。市場の動きを見ながらリターンを追求し、分散投資ではなく単一市場の単一商品に投資することで資金を大きく増やします。一般的に流動性リスクが相当高くなるので、投資期間15年以上の余裕資金をあてることになります。
萩野琢英
ピクテ投信投資顧問株式会社 代表取締役社長
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