大やけど続出…金融機関が勧める「高金利通貨投資」の危険度

円預金では利息がほとんど付かない現状、ある程度の資金をもつ人は、少しでも有利な資産運用を考えていることでしょう。そんななか注目されているのが、高金利の外貨建ての金融商品です。金融機関で勧められるケースも多く、「高金利だからお得」という言葉を信じて購入する人は後を絶ちません。しかし、高金利通貨のリスクについては、営業担当者が正しく理解できていない場合もあり、購入者は十分な注意が必要です。本記事では、株式会社リンクマネーコンサルティング代表取締役で、顧客に多くの富裕層を抱えるメガバンク出身FPの高橋忠寛氏が、高金利通貨投資の危険性と資産運用にまつわる注意点を解説します。

「金利が高い=有利」という理屈はわかりやすいが…

「円預金だと利息も付かないし、外貨で運用した方が金利も高くてお得ですよ」

 

「円高になっても、確実に高い利息がもらえるから損するリスクは小さくなりますよ」

 

「経済成長の期待できない日本の円より、今後も成長が期待できる新興国の通貨で運用すれば大きな値上がり益も期待できますよ」

 

こんなセールストークを受けて高金利通貨での運用商品に投資して、結果的に損失を抱えている投資家が多くいます。

 

外貨預金や外国債券、投資信託だけでなく、銀行や外資系生命保険会社が数年前から販売に力を入れている外貨建て生命保険を提案する場面でも、よく使われるセールストークです。

 

「金利が高いほうが有利」というのは非常に分かりやすいロジックなので、そのままセールストークを信じてしまい、高金利通貨で運用する金融商品を買ってしまう人が多くいます。しかし、それは本当にお得なのでしょうか?

 

円預金では利息がほとんど付かない状況のなか、外貨建ての金融商品が引き続き注目されています。日本の金利に比べて高い金利水準の国、オーストラリアやニュージーランド、トルコや南アフリカ、ブラジルなどの通貨で運用する商品です。

 

確かに、金利水準だけを見れば、日本に比べてこうした高金利国の通貨の方が有利に思えます。何しろブラジルレアル建ての債券になると、3、4年後に満期を迎えるものでも年10%を超える金利が得られました。2016年のオリンピックが開催される予定も決まっていた2015年前後はブラジル関連の金融商品がたくさん販売されていました。

 

日本の個人投資家に最も人気のあるオーストラリア・ドルについても、現在の長期金利は2%前後ですが、5年前は3.5%を超えていました。その間もずっとほぼゼロ金利の日本とは比べものになりません。今でもオーストラリア・ドルで運用する外貨建て保険商品はよく売れています。

 

しかし、残念ながら「高金利だからお得」というのは誤解なのです。

 

「高い金利が受け取れるので、為替のリスクがあっても利息をもらい続けることで損しにくくなる」と考える人もいるかもしれませんが、これも正しくありません。

「長期的には下落しやすい」というのが専門家の常識

為替市場の動向ですが、短期的には2国間の金利の影響を受けやすいのは事実です。例えば、A国の政策金利が引き上げられると、日本との金利差が広がり、A国の通貨が上昇し円安が進みやすくなります。しかし、それは「高金利だから長期的に上昇し続ける」ということではありません。

 

新興国など金利が高い国の経済は、物価上昇のペースが速く、そのペースを抑えるためにあえて金利を高く設定しています。

 

物価上昇、つまりモノの値段がどんどん上がってしまうと、同じ金額で買えるモノの量が減っていきます。それは通貨の価値が下落していることを意味します。

 

したがって、金融の専門家の間では、むしろ「長期的には、高金利通貨は下落しやすい」という考え方が常識です。

 

それにもかかわらず、金融機関の営業担当者によっては、「高金利通貨は人気があるので、金利収入だけでなく、為替の上昇も期待できますよ」と話す人もいます。銀行員などにも高金利通貨での運用が有利だと勘違いしている人も多くいるため、高金利通貨での運用提案には用心しなくてはならないのです。

 

そして、金融機関の営業マンが高金利通貨での運用を勧めるのには理由があります。

 

外国債券の販売や外貨建て保険の販売から獲得できる手数料は他の金融商品に比べて圧倒的に大きいのです。

 

もちろんタイミングによっては高金利通貨への投資で大きなリターンを得られることもありますが、基本的には「高金利の国の通貨は価格が下がりやすい」、つまりいくら金利がたくさん受け取れても、通貨の下落によって最終的には儲からないことが多いという結論は多くの人が知っておいたほうがよいでしょう。

では「長期的に価格が上がりやすい」投資対象とは?

では、「長期的に価格が上がりやすい」投資対象はないのでしょうか。

 

それは世界中の幅広い企業の株式に分散投資するインデックス・ファンドを利用することです。

 

株式は有価証券と言われるように価値がある資産です。しかも、価値が増加していく仕組みになっています。企業は利益を上げると一部を配当金として株主に支払い、残りは内部留保として株主資本に加えられ、株式の価値が増加していきます。

 

ただし、特定の企業の株式しか保有していないと、運悪くその会社が倒産してしまうかもしれませんし、継続的に利益を稼いでいけるとは限りません。

 

そこで、世界中の企業の株式に幅広く分散して投資しておく必要があります。

 

世界中の幅広い企業の株式に投資した場合のリターンは長期的にはGDPの成長に連動していきます。世界経済はゆっくり成長しています。世界の人口は増えていますし、発展途上国や新興国の人々の生活も確実に良くなっています。世界的にはインフラ投資が起こり、イノベーションも進み新しい商品やサービスが次々と生まれています。したがって、一時的に経済成長が減速することはあっても成長が止まってしまうということは考えにくいのです。

 

もちろん短期的には価格が大きく変動することもありますが、コストの安いインデックス・ファンドを使って長い期間投資を継続することによって世界の経済成長と同程度の収益が得られるはずなのです。

 

大手金融機関の営業マンはほとんど手数料収入を獲得できないので紹介してくれませんが、ネット証券を使えば驚くほど低コストで世界中の8000社程度の株式に分散投資することも可能です。

 

リスクばかり大きくて長期的に儲かる可能性の低い高金利通貨で運用するよりも、短期的に価格変動はあっても長期的に成長が期待できる低コストの海外株式インデックス・ファンドを利用することが資産運用の王道になります。

 

 

高橋 忠寛

株式会社リンクマネーコンサルティング 代表取締役

 

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株式会社リンクマネーコンサルティング 代表取締役

1980年東京生まれ。2004年上智大学経済学部卒業後、東京三菱銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)に入社。法人営業拠点にて、事業性資金融資業務やデリバティブ商品の販売に携わる。
その後、個人富裕層を対象とする不動産関連融資や相続ビジネスを経験し、さらに本格的なリテールビジネスに取り組むため、2007年10月シティバンク銀行に転職。個人富裕層に対するコンサルティング業務に従事し、証券仲介や保険商品、住宅ローン・不動産投資ローンなど、幅広い個人向け金融商品を販売。高い営業実績を残し、社内全営業スタッフの上位約20名が任命されるリレーションシップマネージャーとして活動。顧客向けセミナーでは講師も務め、資産運用の基礎について解説。
2014年9月、株式会社リンクマネーコンサルティングを設立し独立。金融教育ビジネスや資産運用コンサルティング事業を展開。金融商品の販売には関わらない完全に独立した立場で資産運用や保険、相続について総合的なアドバイスを提供している。投資助言代理業者 関東財務局長(金商)第2855号

<保有資格>
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会会員 (CFP®認定者)
日本証券アナリスト協会検定会員 (CMA)
宅地建物取引士
行政書士
住宅ローンアドバイザー
第一種証券外務員

著者紹介

連載【GW特集】平成の世に「富裕層から滑り落ちた」情報弱者たち~彼らが失敗した理由

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