家族内で所得を「分散」させることが重要
アパート事業を成功させるには、物件を取得するための仕組み作りを事前に考えなくてはなりません。具体的には、税金に関する知識を深め、どのスキームで物件を取得・運営すれば手取りの収入を最大化できるかという視点で仕組みを構築します。手取り収入とは、連載第2回のキャッシュフローから税金を控除した後の収入(現金)のことです。
筆者の会社では、「家族内」での手取り収入の最大化を目指す仕組み作りをお客様に提案しています。つまり、家族内における所得の分散という考え方です。このポイントが資産形成上、非常に重要となります。
日本という国は、諸外国と比較した場合、決して税率が低い国ではありません。また、収入がアップすればするだけ、多くの税金を支払わなくてはいけない「累進課税制度」が敷かれた国です。世帯主であるご主人一人に所得が集まっているようなことがあれば、その分、多くの税金がキャッシュアウトしてしまいます。
法人の設立等の工夫で「手取り収入」を最大化する
たとえば、年収1億円のご主人と専業主婦の奥様(収入ゼロ)のご夫婦の場合、ご主人の個人名義で物件を取得すれば、所得税、住民税を合わせて税率は50%となります。この場合は奥様名義で取得するか、もしくは資産管理会社を立ち上げ、その法人で取得するというスキームが有効です。
法人で取得する場合には、奥様に法人の役員に入っていただき、奥様が役員報酬を取るスキームを構築します。会社の出資者はご主人です。
この仕組みを作ることで、家族という単位での手取り収入(税引き後収入)を最大化することができます。
アパート事業を始めるには明確なゴールを設定し、そのゴールから逆算した道筋を立て、資産形成を行う必要があるため、場当たり的に物件を取得するのではなく、取得する際の仕組みを構築することが重要になります。