仮想通貨ブームの終焉、中央銀行デジタル通貨発行・導入の模索

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

仮想通貨のブームは去りました。変動が大きい仮想通貨では通貨(マネー)の基本的な機能である価値の保存や交換尺度を満たしていないとの考えが広まっています。一方で、暗号資産とは異なり、中央銀行が発行する、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は発行を模索する動きや、導入の検討が続けられています。

中央銀行デジタル通貨:バハマが来年中央銀行デジタル通貨導入の可能性を示唆

報道によると、カリブ海の島国であるバハマは2020年にも中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)の導入を検討する方向であることが明らかになりました(図表1参照)。

 

[図表1]英国ポンド(対ドル)為替レートの推移 日次、期間:2016年4月11日~2019年4月11日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]英国ポンド(対ドル)為替レートの推移
日次、期間:2016年4月11日~2019年4月11日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

バハマ中央銀行は19年3月に、中央銀行デジタル通貨の発行に必要な会社を選定しています。「サンド・ドル・プロジェクト」と名づけられたプロジェクトにより、通貨が幅広く使用されることを目指しています。

 

 

どこに注目すべきか:仮想通貨、バハマ、金融包摂、CBDC

仮想通貨(最近は暗号資産と呼ばれる)のブームは去りました。変動が大きい仮想通貨では通貨(マネー)の基本的な機能である価値の保存や交換尺度を満たしていないとの考えが広まっています。一方で、暗号資産とは異なり、中央銀行が発行する、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は発行を模索する動きや、導入の検討が続けられています。

 

まず、CBDC導入の動向を簡単に振り返ります。

 

冒頭ご紹介したバハマは約700の島から成るため、「現金」を銀行窓口やATMを通じて流通させるコストが高いという問題があります。バハマは幅広い現金の流通という問題克服に向けデジタル通貨導入を本格化させる意向です。

 

バハマ中銀のサンド・ドル・プロジェクトの資料には、バハマ全ての住民が公平に、デジタル通貨にアクセスできることを目指していることがうかがえます。最近、時々耳にするようになった「金融包摂(すべての人が、経済活動に必要な金融サービスにアクセス、また利用できるというイメージ)」の概念がバハマ中銀の考え方に見られます。

 

最近では暗号資産と呼ばれるようになったビットコインなどの「仮想通貨」は数多くありますが、中央銀行の対価(負債)として発行されず「資産」と呼ばれます。暗号資産は通貨というよりはコモディティにイメージが近いと見られます。

 

一方で、中央銀行が法貨として発行したCBDCの例は限られています。例えば、エクアドルはデビッドカードのような性格と見られています。2000年にドル化(独自通貨を放棄)したエクアドルでは米ドルが決済に使われていましたが、不十分なドルを補うのに使用された位置づけです。

 

より本格的なのはウルグアイで、法定デジタル通貨が発行されました。ただ、ウルグアイも1万人を対象に、半年という期間限定で、試験的な導入にとどまっています。

 

バハマの中央銀行デジタル通貨がどのような通貨なのか詳細は不明のところもあります。仮に全ての国民に行き渡ることを念頭にするならば、本格的なCBDCの導入となりますが、内容については今後の発表を待つ必要があります。

 

先進国でも、英国、カナダ、そして有名なところではスウェーデンがCBDC導入を検討しています。特にスウェーデンはキャッシュレス化が進んでおり、GDP(国内総生産)に対する流通現金額は1%台に落ち込んでいます(図表2参照)。ただ、反対に言えば、他の先進国も、CBDC導入の検討を進めてはいるものの、現金比率の極端な低下は見られません。

 

[図表2]英国のEU離脱に関連した主な注目イベント 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]英国のEU離脱に関連した主な注目イベント
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

既に国全体に現金が行き渡っている先進国と、新興国にはCBDCに対する姿勢に違いも見られます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『仮想通貨ブームの終焉、中央銀行デジタル通貨発行・導入の模索』を参照)。

 

(2019年4月16日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・ヘッドライン

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧