失敗したことをいかにスピーディーに改善させていくか
私は「挑戦=結果を出す」という考え方です。「結果を出せ」という言葉は、当社の社員にもよく言っています。ただ、これは「数字を出せ」「良い結果を持ってこい」という意味ではなく、「自分がやっていることの結果が○か×かを、きちんと出してほしい」という意味なのです。結果が○であれば、そのやり方が正しかったという証拠になりますし、×だったなら、それを失敗として捉えずに、またすぐ次のアクションを起こしていけば必ず成功に近づきます。結果を出さずにぐずぐずしているほうが、よほど失敗に近いのです。
お客様とお話ししていても、「あいつはがんばっているんですよ。いろいろ考えていて」という言葉をよく聞きます。
「どのくらい考えているのですか?」
「失敗しないようにめちゃくちゃ考えているんですよね」
「何カ月くらい考えているんですか?」
「もう2カ月くらいかな」
「…それって、何もやっていないってこと?」
いつまでも結果を出さないことのほうが失敗により近く、その人の成長を止めてしまっています。
仕事には、「失敗」はつきものです。失敗を避けるよりも、失敗したことをいかにスピーディーに改善させていくかがポイントです。そして、改善のためにサポートすることが「応援」なのです。
仕事上で成功するも失敗するも、その人が行動しているという現れなので、実は両方OKなのです。あきらめや無力感から何もやらないということが、一番の失敗です。
「本当の失敗」か「成功へのステップ」となるか?
数値的に考えてみると、何か行動を起こした際の失敗と成功の確率は50:50。そこで失敗して、「もういいや」と次に進むのをやめてしまう社員もいますが、なるべく早く次のアクションを取らせたら、次の失敗確率は50の半分、つまり25:25になります。もしそこでも「しまった」となったら、25の半分ということで、次の失敗確率は12.5:12.5になる。失敗しても、またすぐ次のアクションを取らせてあげれば、次の失敗確率は6.25:6.25です。失敗からのアクションを3回繰り返したら、成功率は90%以上になっているということになります。
若手社員の失敗が「本当の失敗」になってしまうか「成功へのステップ」となるかは、経営者や上司の関わり方次第です。まずは「振り返り」を行いながら、たとえ失敗したとしても、そのあと3回は次のアクションが取れるように「応援」してください。そうすれば、間違いなく成功するようになります。
ここで大事なのは、失敗を失敗と思わせないこと。次のリアクションについて、すぐに一緒に考えてあげることが大切です。
「じゃあ、次はこのやり方でいこうか。ここはどうやろ?」
「お客様はこうおっしゃっていました」
「ということは、こういうことかな」
「そうですね!」
などのコミュニケーションを通じて、最初の一歩が出やすくなるよう、実際のやり方を少し教えてあげることも大切です。そのように「応援」しながら、最終的には一段上がらせてあげて、一緒に「振り返り」をします。
「結局、1回目で成功した人に比べて、4回うまくいかなくて4回アイデアを出した。だから、ものすごく深みがあるんだよ、この成功には」
「ということは、次やったときは最短距離でそこまでいけるということなんだよ」
というように、本人が体験したことを肯定してください。このようにして、いろいろな体験を積ませてあげることが大切なのです。「失敗は成功のもと」「失敗する人のほうが伸びる」といわれるのは、そういうことなのではないかと思っています。