会社のルールとなる「定款作り」は法人設立の第一歩
「株式会社の設立を自分でやってみよう!」と検討している不動産投資家もいるのではないでしょうか。そのなかには「設立書類のなかで必要となる定款について、どのような内容を書いたらいいのか」と悩まれている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、司法書士の立場で株式会社の根本規則である定款についてまとめたので、自分で株式会社設立を検討している方は、ぜひ読んでください。
そもそも定款とは?
定款は、
●株式会社の目的(事業内容)
●組織(この株式会社には、取締役会があるなど)
●運営(事業年度は何月何日からなど)
などを記した会社のルールブックです。定款を作成するという行為自体が、株式会社を設立する行為であり、必要な書類であると覚えておきましょう。
定款にどんな内容を記載する? 必須項目とは?
続いて、定款に記載する内容を順番に紹介していきます。
(1)絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項であり、以下の5事項です。
①目的(事業内容)
②商号(会社名)
③本店の所在地(会社住所)
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(最初の出資額)
⑤発起人の氏名又は名称及び住所(株主の情報)
(2)相対的記載事項
定款に記載するかは、会社の任意とされている事項です。つまり「株式会社はこうしてください。でも定款でルールを決めれば、そのルールでもいいですよ」というもので、以下の8事項です。そのような事項がある場合、必ず記載しましょう。
①現物出資
②財産引受
③発起人の報酬
④設立費用
⑤株式の譲渡制限に関する規定
⑥株主総会の招集通知を出す期間の短縮
⑦役員の任期の伸長
⑧株券発行の定め
たとえば、取締役の任期を10年にしたいのであれば、その内容を記載する必要があります。
(3)任意的記載事項
上記2つ以外の事柄で、会社法に違反せず、定款で定めることは要求されないが定款で定めるものです。
たとえば、定時株主総会の時期を定めたいのであれば、その内容を記載すればいいのです。
定款は公証役場で認証を受ける必要あり
定款作りで失敗しないために、作成時のルールも把握しておきましょう。
(1)雛形
インターネットで検索すれば様々な雛形であふれていますが、自分で定款を作成する場合、法務省のホームページの「商業・法人登記の申請書様式」を参照にしましょう。
(2)定款の認証
株式会社の定款は必ず公証人の認証を受けなければならないので、「設立する株式会社の都道府県の公証役場」に問い合わせましょう。
(3)認証に必要な書類
認証を受けるときに、発起人の
●実印
●印鑑証明書
●身分証明書
を持って、公証役場に行くようにしてください。
(4)認証費用
公証人に支払う定款認証費用は以下になります。
●手数料5万円
●謄本作成手数料として1枚250円(つまり、長文の場合で何通もほしい場合は加算される)
●印紙税4万円
大体の株式会社であれば、「9万3000円」を用意すればいいでしょう。
電子定款とは?
ワード等で作成した定款をPDF等にし、定款作成者の電子署名したものを、オンライン申請で公証人に送信することもできます。電子定款には認証費用の印紙税4万円はかからないので、可能な場合、電子定款を選択しましょう。
定款は自分でも作れる?
法務省のホームページがとても充実しているので、シンプルな定款であれば自分で作成可能になりました。また「雛形に当てはめて作成した定款の認証を受けたい」と公証役場に問い合わせれば、公証人の先生や書記が教えてくれます。
しかし細かく項目を入れたい方や、資本を第三者から受けている方は、雛形ではなかなか対応できないケースも多いでしょう。その場合、専門家である司法書士に相談するといいでしょう。
まとめ
定款について、より詳しく説明を受けたい方やアレンジしたい方、本業が忙しい方などは、ぜひお近くの司法書士に気軽に相談してみてください。