積立投資の投資信託で「複利効果」を最大限に活用するには?

「将来のお金が不安だ」「寿命は伸びているが、自分は何歳まで稼ぎ続けられるのか?」といった、老後の心配は尽きません。本連載では、書籍『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版)より一部を抜粋し、そんな老後の不安を解消するための手段としての「米国つみたて投資」について解説します。本記事では、積立投資の投資信託で「複利効果」を最大限に活用する方法について解説します。

長期運用、自動引き落とし、分配金はなし

◆「ドルコスト平均効果」によくある批判に対する私の回答

 

平均買付単価を下げる「ドルコスト平均効果」についても、積立投資を嫌がる人は、「基準価額が右肩上がりで上昇したら、逆に不利だ」と反論します。それはその通りです。しかし、マーケットが常に右肩上がりで上昇を続けることはありません。

 

トレンドは上昇でも、その間には幾度となく上昇と下落を繰り返しながら、水準を切り上げていきます。そして、その「上昇」と「下落」のタイミングは、プロでさえ読めません。その点、下がったところでより多めの口数を買い付けることができる定額の積立投資は、一定の効果が得られると考えられます。

 

ただ、この積立投資によるドルコスト平均効果を高めるためには、前提条件があります。それは、できるだけ長く続けることです。始めてから2、3年で止めてしまうと、ほとんど効果が得られません。それこそ10年、20年単位で続けるからこそ、ドルコスト平均効果を最大限に享受できるのです。したがって、長く積み立てられるような「仕組み」をつくることが肝心です。

 

 

まず、積立は取引口座からの自動引き落としが可能な商品にすること。もちろん、自分で毎月買付の注文を出していけば、それも積立投資になりますが、これだと「今月は買い忘れた」とか「ちょっと財布の中身が厳しいから、来月まとめた資金で買い付けよう」「価格が上がっているから明日にしよう」などしているうちに、いつの間にか積み立てなくなります。

 

自分で注文を出して毎月買い付ける方法は、よほど意思が強くなければ無理であると考えましょう。だからこそ、口座からの自動引き落としが良いのです。これなら半強制的に自分の口座から積立資金が引き落とされますから、ストレスなく積立を続けることができます。

 

積立投資においても投資対象の投資信託は運用途中で分配金(投資信託の収益から投資家に還元されるお金)を支払わない投資信託を選択すべきです。なぜなら、分配金を元本に組み入れることで、元本に加え分配金も継続的に再投資し、「複利効果」を最大限に活かすことができるからです。

 

複利効果というのは、「利息が利息を生む」ということで、具体的には次のように変わります。

 

(例)投資対象:かんきS&P500連動インデックス・ファンド(投資信託)

投資元本:100万円
年間リターン:+5%
分配金(年1回):5万円
投資期間:30年

(注)元本に対する年間リターン上昇部分を、すべて分配金の支払いに回したと仮定します。わかりやすくするため、分配金に対する税金は割愛して計算しています。

 

〈単利:分配金をもらうケース〉

元本:100万円
分配金:150万円(5万円×30)
30年後の元本:100万円
30年後の元本および分配金合計:250万円

 

〈複利:分配金が支払われないケース〉
元本:100万円
分配金:0万円
期中の年間リターン:5%
30年後の元本:432万1942円(100万円×{1.05の30乗})…
30年後の当初元本との差:332万1942円

 

[図表]複利と単利の累積リターンの差(年間リターン5%の場合)
[図表]複利と単利の累積リターンの差(年間リターン5%の場合)

 

この事例では、「分配金をもらうケース」では確かに150万円の分配金をもらえますが、依然として元本は100万円のまま変わりません。一方、「分配金が支払われないケース」では、分配金がもらえない代わりに、元本は432万円程度まで膨らみます。さらに30年以上、長期間運用することを考えれば、どんどん元本の差が大きくなって複利効果がさらに大きくなっていくことは、お分かりになると思います。

 

したがって、分配金は長期運用にとって、運用資産の外部流出となって無駄なものでしかなく、むしろその分を再投資に回した方が得だということになります。分配金はそのキャッシュがよほど必要でない限り、不要なのです。

「定時定額購入」なら「買付単価の平均化」が可能に

 Q  それでも投資って「お金が減る」イメージがあるのですが。

 

 A  リスクがあるのは事実です。受け入れられなければ、預貯金や国債などの超低利回りで運用するしかありません。

 

本連載で推奨する「米国株式に投資する場合」という前提でお話をすると、確かにお金が減ることはあります。たとえば2008年に起こったリーマンショックの時には、持っている銘柄によっては、あっという間に半分、3分の1くらいになったケースもありました。

 

ニューヨーク・ダウも、2008年5月時点では1万2500ドル近辺で推移していましたが、リーマンブラザーズの破たん後、2009年3月時点では、6500ドル近辺まで下がりました。10カ月間で約半値になったということです。

 

これはもう仕方がありません。株式のような価格変動商品に投資する場合、自分の買値を下回るような下げがしばしば起こることは、織り込んでおく必要があります。もし、この手の価格変動リスクが受け入れられないという場合は、国内の円建て債券や預貯金で運用するしかなくなります。

 

もちろん、この手の元本確保型商品は、元本割れが生じるリスクは極めて低いのですが、反面、今の金利情勢下では、ほとんど収益が得られません。ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという言葉があるように、ある程度のリターンを得ようと思ったら、相応のリスクを取るしかないのです。

 

ただ、リスクをゼロにすることができないまでも、コントロールすることは可能です。それは、「長期積立投資」を実践することによって実現します。

 

 

長期積立投資とは、それこそ20年、30年という長い時間を掛けて資産を積み上げていくことを意味します。米国株式は長期間、保有することによって、収益がプラスになる可能性が高まります。それは、ニューヨーク・ダウが、算出を開始して100年以上が経過しているにもかかわらず、幾度となく調整局面を経て、いまだに過去最高値を更新し続けていることからも、お分かりいただけるでしょう。

 

今後も、米国経済は長期的に成長するという前提条件が崩れない限り、長期的なスタンスで米国株式市場に投資すれば、報われる可能性が高いと考えられます。

 

そしてもうひとつ、積立投資を実践することです。一度にまとまった資金で購入し、そのまま長期間保有するのではなく、20年、30年という長期間、毎月少額ずつ積立投資し続けるのです。

 

毎月一定金額で同じものを買い続ける「定時定額購入」を行えば、価格が下落した時は数量を多く、価格が上昇した時は数量を少なく買うことになるため、買付単価を平均化できます。これによって、価格変動リスクをある程度、コントロールできます。投資には、確かに元本を割ってしまうリスクがつきものですが、少しずつ、長期にわたってコツコツ積み立てていけば、案外、大けがをせずに済みます。

 

 

太田 創

株式会社GCIアセット・マネジメント

投資信託事業グループ

執行役員

チーフ・マーケティング・オフィサー

 

一般社団法人 日本つみたて投資協会 代表理事

関西学院大学卒。
1985年、三菱銀行(当時)入行。
1988年より約10年間、英国およびブラジルで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年から2019年までシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。

一般社団法人 日本つみたて投資協会ホームページ:https://www.tsumitate.or.jp/
YouTubeチャンネル:https://bit.ly/34oQ1d3
メールマガジン:https://www.mag2.com/m/0001688049.html

著者紹介

連載人生100年時代も心配いらず!3000万円の「プライベート年金」をつくる「米国つみたて投資」活用法

本連載は、2019年3月18日刊行の書籍『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版)から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる米国つみたて投資

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太田 創

かんき出版

株価に一喜一憂する必要なし! NISAやiDeCo(イデコ)にも対応! 「つみたて投資」の決定版! 安心して持ち続けられるから、頻繁に売買しなくてもいい! 経済や数字が苦手でも3000万円の「プライベート年金」がつくれる! …

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