「東大に受かるのは難しくない」と親子で思うことが重要な理由

本記事は、東京大学薬学部卒業で、現在は作家、心理カウンセラー、イラストレーターとして活躍する杉山奈津子氏の著書、『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』の内容の中から一部を抜粋し、「東大に受かるのは難しくない」と親子で思うことが重要な理由を見ていきます。

無意識のうちに「行動も意志も感染する」という心理学

私が受験時代に他校の進学校に対して羨ましいと思った点は、生徒の多くが「東大に受かるのは難しくない」という考え方をもっていたことです。

 

かつて、『TIME』誌が発表する「世界で最も影響がある100人」に選ばれたこともあるハーバード大学のニコラス・クリスタキス教授は、社会のネットワークについて研究し、大量のデータをかき集めて調べた結果、「行動も意志も感染する」ことを発見しました。

 

人間は、自分では「自由な意志で行動している」と思っていても、実際は周囲の考えや、周囲の人が欲しいもの、やっていることに影響されています。周りにいる人間が怠惰な生活を送っていると自分も引きずられ、ボランティアなど良いことをしていると自分もしようと思う気持ちが強くなるのです。

 

事実、駐輪禁止の場所に大量の自転車が置いてあるのは、「こんなに置いてあるなら自分も放置して構わない」という気持ちが働くからでしょう。まさに「赤信号、みんなで渡れば恐くない」です。もし誰も自転車を置いていなければ、ひとりだけ放置することに罪悪感や躊躇いを覚え、控える人がほとんどでしょう。テレビで笑い声の効果音を入れるのも、笑いの感染を狙ってのことです。

 

行動だけではなく、毎日の生活習慣に関しても感染が生じます。

 

全員が太っている家族は、遺伝でそういう体型なのかと思いきや、単に朝昼晩に出てくる食事量がやたら多いせいだったりします。喫煙している人は、かなりの確率で親か仲良しの人が喫煙者なのだそうです。寝る時間も家族によって変化します。私は普段、12時までに寝るように心がけていますが、実家に帰ると家族の夜更かしが自分にも感染してしまい、どんどん睡眠リズムがずれていきます。

 

心理学者スタンレー・ミルグラムが行った実験では、特に面識のない3人が空を見上げると、そこにいる人の多くが同じように空を見上げました。あまりに簡単に、そして無意識のうちに行動は感染してしまうのです。

 

こうした感染のカは、目標達成のために活用することができます。

 

大学で、テスト前に何人かで集まって勉強することになったときの話です。私が「もう5時間も勉強した」と思い、疲れたからそろそろやめようとしていたら、時計を見た友人が「まだ5時間しかやってないのか」と言ったのです。

 

さらに、そこにいるみんなが友人の発言に同意し、当たり前のようにそのまま勉強会は続きました。

 

「5時間勉強し続けることは、そんなにすごいことでも大変なことでもない」という周囲の認識が自分にも感染すると、長時間の作業がラクになります。みんな普通にやっている簡単なことと思えるならば、5時間経っても意外と継続できるものです。

 

ですから、「東大に受かるのはそこまで難しくない」という意識が周囲にあれば、「自分だって合格できる」という気持ちを強くもちやすくなります。私の高校のように、「東大は絶対無理」「芸術コースから国立理系に受かった人は今までいない」という意識を周囲が伝えてくると、大丈夫だろうかと不安になり、気持ちが揺らぎやすくなります。

 

全国模試でも、みんなが70以上の高い偏差値をとっていたら、自分も簡単にとれそうに感じます。反対に、偏差値40程度が普通だったら、70以上とるのはとても難しそうに思えます。周囲が勉強せずに遊んでいれば、「自分もしなくていいか」と誘惑に負けやすくもなります。

 

「それは無理だと思う」とすぐに否定的な発言をする人と話していると、自分の中にあるモチベーションが確実にするすると下がっていくのを感じます。対して、目標を高くもち「自分はできる」という自信に溢れていて、実際に結果を出している人と話していると、気分が高揚します。

子どもが最も感染しやすいのは、「両親の言動」から

心理学では誰かの目標に対し、いつの間にか自分も同じ目標をもってしまうという「目標感染」という言葉があります。やる気も、やりたいことも感染するのです。もし達成したい目標があるならば、同じくそれを目指して努力している人、あるいはすでに達成できている人たちの仲間に入ることをお勧めします。

 

かつて手塚治虫が住んでいたトキワ荘には、多くの新人漫画家が集まりました。そこから赤塚不二夫や藤子不二雄、石ノ森章太郎など日本を代表する漫画家たちが誕生したのも、周りの作品のクオリティが高いのが「当たり前」だったので、お互い刺激し合い、切磋琢磨して、技術をどんどん上達させていったからに他なりません。

 

また、私の妹は高校受験のときに塾に通っていましたが、授業を聞くというよりも「みんな頑張っている」という刺激を受けて、モチベーションを上げる目的で行っていたのだそうです。

 

周囲に同じ目標をもつ人がいない場合は、そういう人たちが読む本を買って、みんながどのように努力したかを知るのも効果的です。ダイエットをしている人は、「OOをして0キロ痩せた」という記事が載っている雑誌を見ることで、自分も頑張ろうと思えるはずです。私も受験のとき、東大合格者の体験記を読み、模試でどれくらいの成績だったのか参考にしたり、その人たちが使っていた問題集を実際にやってみたりしました。

 

ただしこの「感染」にはルールがあって、親しい人、尊敬する人、大切に思っている人、「自分と同じ」と思っている人には移りますが、「この人は自分とは違う」と思っている人には感染しないことがわかっています。つまり、関係性が大きく影響するのです。

 

子どもにとって、最も「自分と同じ」と感じる相手は両親です。そのため、親は普段から可能性を否定しない発言、行動をとるように注意を払う必要があります。両親が「変動タイプ」のメンタルセットであることを話し、目標をもって努力している姿、挑戦している姿を見せることは、子どもへの良い感染になるはずです。

 

また、子どもと「同じ」目標をもった人(スポーツ選手や文化人など)をロールモデルとして提示してあげるのも有効な手段でしょう。意志の感染を利用すれば、つらいとき「この人ならどうするだろうか」と考えて、意志を強くすることができます。

 

 

杉山 奈津子

作家、イラストレーター

 

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静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家、イラストレーター。心理カウンセラー。大学卒業後は、執筆活動や講演活動を積極的に行っている。著書に『鬱姫 なっちゃんの闘鬱記』(講談社)、『「うつ」と上手につきあう本』(大和出版)、『偏差値29からの東大合格』(中央公論社)、『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』(KADOKAWA)などがある。

著者紹介

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高校3年生の秋に“偏差値29”だった著者は、一浪の末、見事に東大合格を果たす。なぜどん底の成績でも、「自分は受かる」と信じられたのか。なぜ途中で断念することなく、努力を続けられたのか。本書は、自身と周囲の東大生の…

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