住宅ローンは「入居用」、アパートローンは「投資用」
【審査の違い】
住宅ローンとアパートローンの違いの1つ目は、審査が違うという点です。そもそも、住宅ローンは「入居用」不動産を購入するときのローンで、アパートローンは「投資用」不動産を購入するときのローンになります。同じ不動産でも「用途」が異なる不動産ですので、審査基準が異なるのです。
・共通する審査基準
2つのローンに共通する審査基準は以下の通りです。
●借入者の収入や勤続年数
●勤務先に関して(規模、事業内容など)
●自己資金比率
●信用情報(延滞歴など)
要は、「借入者がきちんと返済できるか?」という点を審査するということです。そのため、本人の年収はもちろん、その年収に安定性や継続性があるかをチェックするために、勤務先や勤続年数も審査項目になります。
この「きちんと返済できるか?」という点は、住宅ローンを組む場合もアパートローンを組む場合も変わらないので、どちらも審査項目になるのです。
・物件の収益性
住宅ローンとアパートローンの審査で異なる点は、「物件の収益性」を見るかどうかです。当然ながら、投資用不動産に融資するアパートローンは、物件の収益性を見ます。物件の収益性とは、具体的には以下のような点です。
●物件の賃料
●物件の空室リスク
●物件の売却価値
物件の収益性を見るときには、その物件が「きちんと収益を上げられるか?」という点と、その物件を「売却して利益が得られるか?」という2つの点が審査されます。
前者の「きちんと収益を上げられるか?」という点は、収益が上げられればローン返済が滞りなくできるということを評価します。一方、後者の「売却して利益が得られるか?」という点は、万が一ローンを滞納しても、物件を売却して返済できるかという担保価値を審査します。
住宅ローンとアパートローンは「金利」が大きく異なる
【金利の違い】
住宅ローンとアパートローンの2つ目の違いは、金利の違いです。金利は支払い額に影響する項目ですので、借り入れるときには十分注意しましょう。
・住宅ローンの金利
結論からいうと、アパートローンの金利よりも住宅ローンの金利のほうが低いです。なぜなら、入居用住宅というのは生活上必須なものであるので、金利を低くしないとマンションが売れなくなってしまうからです。
金利は時期や金融機関によっても異なりますが、2017年7月現在では変動金利で0.5%を切っている金融機関もあります。 たとえば、以下の物件を住宅ローンを組んで購入したとします。
●借入金額:4,500万円
●金利:0.5%
●借入期間:35年
●変動金利、元利均等
上記の場合には、月々ローン返済116,813円、総返済額は49,061,428円になります。つまり、約406万円が利息分ということです。
・アパートローンの金利
一方、アパートローン金利は住宅ローン金利よりも高いです。アパートローンはあくまで「投資用不動産」という余剰資産に融資するので、生活上必須のモノではないからです。アパートローン金利は住宅ローン金利以上に金融機関で違いがありますが、大体3%以上で、4%以上の金融機関も多いです。
先ほどと同じように、以下の条件でアパートローンを組んだとします。
●借入金額:4,500万円
●金利:3%
●借入期間:35年
●変動金利、元利均等
アパートローンは20~25年程度で組むことが多いですが、比較しやすいように35年にしています。上記の場合には月々ローン返済173,182円で、総返済額が72,736,503円になります。つまり、約2,773万円が利息分ということです。
前項の住宅ローンと比較すると、2,367万円の違いがあることがわかると思います。このように、住宅ローンとアパートローンは金利が大きく異なるので、借入者の負担も大きく異なるということです。
【違いを理解して選択】
上述のように、住宅ローンとアパートローンには、「審査」と「金利」という大きな違いがあります。特に住宅ローンを組んだ経験がある方は、住宅ローンと同じに考えがちなので注意しましょう。上記2点を踏まえた上で、アパートローンを組む金融機関と金融商品を選ぶべきです。