不動産投資をする上では、出口戦略とイールドギャップを知っておきましょう。この2つは、物件選定の基準の1つであり、不動産投資が成功するかどうかの1つの考え方・指標にすぎません。ただ、出口戦略とイールドギャップを知らずに投資物件を選ぶ人は意外と多いので、概要やメリットなどをきちんと理解しておく必要があります。本記事では、この2点について詳しく解説していきます。

出口戦略で重視すべきは、物件の「居住性と管理状況」

【出口戦略とは何か?】

 

不動産投資における出口戦略とは、物件の売却も加味した上で、投資戦略を考えるということです。つまり、通常は「家賃収入」をメインにしている不動産投資に、「売却収入」を付け加えて考えるということになります。

 

・メインはインカムゲイン

 

不動産投資で得る、家賃収入のような「定期的に得る利益」をインカムゲインと呼び、売却益などの「一時的な利益」をキャピタルゲインと呼びます。出口戦略はキャピタルゲインも加味して戦略を練りますが、以下の理由で不動産投資はインカムゲインをメインに考えるべきです。

 

① 不動産は流動性が低い

② 売却時の価格が読みにくい

 

上記2点は、不動産投資における出口戦略の注意点ということもできます。

 

① 不動産売却は流動性が低い

 

まず、不動産を売却するときには、広告で購入検討者を集め、実際に物件を見学してもらい、売買契約を結び引き渡すという流れです。広告開始から引き渡しまで半年程度かかることも多いので、不動産の売買は流動性が低いといえます。

 

流動性が低いなかで売却益をメインに物件を選定してしまうと、現金化するのが遅くなり、スムーズに利益を生み出しにくくなります。

 

② 売却時の価格が読みにくい

 

不動産は市況や競合環境によって、売却金額が大きく変わってきます。また、上述したように不動産は流動性が低いので、売却が長引けばさらに売却金額は読みにくいです。

 

これら2つの理由により、不動産はキャピタルゲインを「いつ」「どのくらい」得られるかが読みにくくなります。そのため、基本はインカムゲインをメインに投資を考えるべきです。

 

出口戦略を加味した物件取得

 

一方で、不動産は何千万もの商品なので、上手く売却できれば100万円単位で利益を生み出すこともできます。そのため、出口戦略に成功すれば大きな利益を生み出す可能性もあるため、インカムゲインをメインにしつつ、出口戦略も加味した物件選びが理想です。出口戦略を加味した物件選びとは、具体的には以下の点に注意することです。

 

① 売却時の資産価値を考える

② 管理状況を良くチェックする

 

① 売却時の資産価値を考える

 

売却時の資産価値を考えるとは、具体的には「永住に適している環境かどうか」を考えることです。賃貸をする人は、その家に永住する視点で考えることは少ないです。そのため、「利便性」を重視して考えがちですが、マンションを購入する人は「居住性」をメインに考えます。

 

居住性をメインに考えるとは、「治安」や「騒音」「生活環境」など、永住者が気にするであろう視点も取り入れて物件を選ぶということになります。

 

② 管理状況をよくチェックする

 

また、物件を売却するとなると、室内だけでなくマンションの外観や共用施設のキレイさも重要です。

 

もちろん賃借人もこの点は気にしますが、永住志向の購入者の方が共用部は気にします。そのため、以下の点を加味した物件選びをしましょう。

 

●管理会社はノウハウのある会社か?

●長期修繕計画はしっかり策定されているか?

●共用部の掃除が行き届いていてルールは守られているか?

 

上記の点をチェックすれば管理のよし悪しがわかり、それは建物の外観や共用部の価値につながっていきます。

実質利回りと借入金利の差が「イールドギャップ」だが

【イールドギャップとは何か?】

 

イールドギャップとは、簡単にいうと実質利回りと借入金利の差を示した指標です。この指標は、不動産投資では利回りと一緒に使われる指標になるので覚えておきましょう。

 

・イールドギャップの計算式

 

イールドギャップの計算式とは「実質利回り(%)-借入金利(%)」になります。実質利回りとは、「(年間家賃収入-年間経費)÷物件取得価格」で表される指標で、その物件に投下した費用を何年で回収できるかを数値化したものです。

 

たとえば、投資物件の実質利回りが5.8%で、その物件を3%のローンを組んで取得した場合は、イールドギャップは2.8%(5.8%-3%)になります。

 

・判断基準の1つにする

 

イールドギャップは収益性を測るために使われます。たとえば、前項のように実質利回りが5.8%あっても、借入金利が3%かかっていれば、その利息分は支出になります。

 

仮に、ローンの審査がなかなか下りずに、金利が4.5%と少々高めにローンを組んだとします。その場合には、イールドギャップは1.3%(5.8%-4.5%)となります。この場合は実質利回りは5.8%と、前項と同じなものの、実際には金利が高いのでイールドギャップは下がります。

 

イールドギャップは2~3%前後がよいといわれていますが、そのパーセンテージを比較するだけでなく、きちんと借入金利も加味して物件を選ぶことが大切ということを表しています。

 

ただ、イールドギャップだけで判断するのではなく、実質利回りと一緒に判断する必要があるので、あくまで物件選定の判断基準の1つにしましょう。

 

【出口戦略とイールドギャップだけで考えない】

 

このように、投資物件を選ぶときには出口戦略という考え方、そしてイールドギャップという指標があります。ただ、繰り返しますが、不動産投資の基本はインカムゲインです。そのため、出口戦略は考え方の1つ、そしてイールドギャップは指標の1つと認識しておきましょう。

 

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本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/fudosanbaibai/14055)。

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