マンションをはじめ、住宅には「造り」があります。通常のマンションやアパートは「鉄筋コンクリート造(R造)」や「鉄骨造(S造)」、高層マンションでは「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」、または一戸建てでは「木造(W造)」などの造りが多いです。このような「建物の造り」は、専門的な知識のため、いまいち違いを知らない人も多いですが、耐震性やコストに関わってくる重要なポイントです。そこで本記事では、RC造のメリットについて解説します。

木造・鉄骨造と比べ、圧倒的に劣化しにくい

【RC造のメリットと耐用年数】

 

前回(関連記事『RC造の「ラーメン構造」…マンションは何階建てから?』参照)までで、RC造・W造・S造・SRC造の違いや特徴がわかったと思います。それらを踏まえた上で、RC造の建築物のメリットや耐用年数を解説していきます。

 

・RC造のメリット

 

RC造のメリットは以下の点です。

 

① 耐震性が高い

② 防音性が高い

③ 耐火性が優れている

④ 気密性・断熱性が高い

 

① 耐震性が高い

 

RC造は鉄筋コンクリートを採用しているので、横からの圧力にも縦からの圧力にも強いです。そのため、縦揺れ・横揺れ、両方の地震に強いからこそ、多くのマンションで採用されている造りなのです。

 

また、最近では低層マンションや大きな戸建ては、壁式構造の採用が増えてきました。壁式構造の場合、建物を「面」で支えるので耐震性はさらに上がるといわれています。

 

② 防音性が高い

 

また、RC造は防音性が高いです。たとえば木造アパートとRC造のマンションを想像してもらえると、隣家や上下階からの音はRC造のほうが聞こえにくいということが想像できると思います。これは、特にコンクリートの防音性が高いからです。

 

さらに、RC造のマンションは、隣家との戸境壁は150mm~180mmほど、外壁は150mmほど、そして上下階の床厚は200mm前後になり厚みがあります。そのため、素材の面以外でも、単純に厚みがあることで防音性が高くなっているということです。

 

③ 耐火性が優れている

 

さらに、コンクリートは不燃材料です。基本的にRC造の材質は燃えませんが、火災が発生すると1000度近くまで温度が上昇します。

 

そのため、バルコニー部分や窓枠、そして室内のフローリングが家具などに燃え移り延焼するケースがあるのです。ただ、鉄筋コンクリート自体は燃えないので、建物全体の耐火性は非常に高いといえるでしょう。

 

④ 気密性・断熱性が高い

 

上述したように、鉄筋は熱に弱いですが、コンクリートは熱に強いです。また、コンクリートは砂利や砂などを固めているので、気密性も高くなります。さらに、マンションの場合はコンクリートに断熱材を施すことが多いので、断熱性はさらに上がるというわけです。

 

・RC造の耐用年数

 

さて、先ほども少し触れましたが、RC造は耐用年数が高いです。S造は19~27年でW造は22年、RC造47年なので、W造とRC造を比較すると倍以上の耐用年数になります。もちろん、W造でも築22年以上の建物はたくさんありますが、RC造よりは劣化しやすいのは事実です。

 

そんなR造の耐用年数については、以下の点を理解しておきましょう。

 

●耐用年数よりも前に取り壊すこともある

●メンテナンスは必要

 

耐用年数はあくまで目安なので、47年に達する前に取り壊すこともあります。また、RC造とはいえ経年劣化していくので、修繕などのメンテナンスは必要になります。そのため、RC造のマンションでは「長期修繕計画」などのメンテナンス計画をきちんと確認しましょう。

「遮音性・防音性・耐震性」で有利なRC造が人気

・投資用マンションとしてのメリット

 

RC造の投資用マンションのメリットは、以下の点です。

 

●入居者の評価が高い

●借入しやすい

●資産価値が高い

 

たとえば、S造の3階建てマンションと、RC造の4階建てマンションがあったとします。この2つを見比べたときには、賃貸検討者には「遮音性」「防音性」「耐震性」が高いRC造のほうが選ばれやすいです。

 

また、金融機関からの担保評価も高いので、借入もしやすく、また借入期間などの優遇を受けることができます。仮に、借入期間を長くすることができれば月々返済額を抑えられるので、キャッシュフローがよくなるというメリットがあります。

 

そして、投資用マンションを将来的に売却するときは、耐用年数が高いRC造のほうが資産価値は落ちにくいので高く売れやすいです。このように、RC上は投資の面でもメリットがある造りといえます。

 

【RC造はバランスがいい】

 

RC造は耐震性や防音性などが高い上に、SRC造よりは安価になります。S造やW造よりはコストが高くなりますが、耐用年数などを考えるとメリットのほうが多いといえます。このように、RC造はコストパフォーマンスが高くバランスがよいので、多くのマンションで採用されているのです。

 

本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/fudosantoshi/16336)。

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