中国製造業PMI、重い展開が続く

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

中国政府版の1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は小幅改善しましたが、内容的にも、また他の経済指標との整合性などから、最近の下落傾向の歯止めにはなりにくいと思います。非製造業PMIは改善していることから景気底割れは回避されると見込んでいますが、経済運営は綱渡りとなりそうです。

中国(政府版)製造業PMI:貿易摩擦の中で、1月はやや持ち直し

中国国家統計局が2019年1月31日に発表した1月の政府版製造業PMIは49.5と前月の49.4から上昇しました(図表1参照)。ただ、景気の拡大・縮小の節目となる50を引き続き下回っています。同指数を構成する項目別指数のうち、新規輸出受注は46.6から46.9に改善しました。

 

[図表1]中国(政府版)製造業PMIと主な構成指数の推移

月次、期間:2016年1月~2019年1月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、期間:2016年1月~2019年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

一方、同じ政府版で、サービス業や建設業を含む非製造業PMIは1月が54.7と前月の53.8を大きく上回りました。

 

なお、政府版PMIに比べ小規模な民間企業をカバーする割合が高いといわれる財新伝媒の製造業PMIは1月が48.3と、前月の49.7から大幅に低下しました。

どこに注目すべきか:中国製造業PMI、構成指数、輸出、財政政策

中国政府版の1月製造業PMIは小幅改善しましたが、内容的にも、また他の経済指標との整合性などから、最近の下落傾向の歯止めにはなりにくいと思います。非製造業PMIは改善していることから景気底割れは回避されると見込んでいますが、経済運営は綱渡りとなりそうです。

 

まず、中国政府版製造業PMIの内容を振り返ると、回復には時間がかかる印象です。例えば、構成指数のうち、下落が続く新規輸出指数は1月は改善しましたが水準は低いままとなっています。

 

 

また、今後の生産を示唆する新規受注指数は49.6と、12月の49.7から低下しています。足元の生産を示す生産指数は今回の製造業PMIを底上げしましたが、新規受注指数から今後の生産見通しに懸念も見られます。18年10-12月期の鉱工業生産や工業利益も力強さに欠ける数字であったことから、製造業PMIに持続的な回復は期待しにくい状況です。

 

雇用PMIの鈍化傾向も懸念材料です。中国経済は15年~16年に軟調な局面が見られましたが、雇用PMIは当時の水準に近づいています(図表1参照)。

 

それでも、景気てこ入れ策が想定される建設セクターやサービス業で構成される非製造業PMIは、サービス業の回復を支えに底堅い推移となっています。製造業の回復は鈍いものの、景気底割れまでは想定しにくいと見られます。

 

ただ、中国の景気鈍化は貿易を通じて他の地域へ影響が波及する点も懸念されます。例えば、開放経済が進んでいる欧州は中国への輸出(中国の輸入)が景気動向を左右する傾向が見られます。欧州の製造業PMIは18年年初がピークで、その後低下傾向です。貿易戦争が悪化した時期と整合的です。昨年欧州経済が低下傾向となったとき、自動車排ガス規制など一時的要因との見方が大半でしたが、貿易問題に起因する中国経済不振の影響を反映したと、ピクテでは解釈しています。

 

 

[図表2]中国輸入PMIとユーロ圏製造業PMIの推移

月次、期間、2017年1月~2019年1月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、期間、2017年1月~2019年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

このような環境下、中国当局は金融・財政政策を積極化させるものと見ています。金融政策にはある程度の余地はあると見られますが、財政政策は債務削減(デレバレッジ)の旗を降ろしていない点に注意も必要です。景気回復を優先させるとは思われますが、限界もあると見ています。

 

その意味で、注目は米中貿易交渉の行方です。まずは3月1日までの交渉の行方が最大の関心事と見ています。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国製造業PMI、重い展開が続く』を参照)。

 

 

(2019年2月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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