前回は、中長期投資における「損切り」の重要性と、株価が上がる銘柄を見極める方法について説明しました。今回は、様々な要因で急落した銘柄の「買い方」について見ていきます。

急落銘柄の「買い」は今後の可能性を慎重に見極める

株価は、さまざまな要因で下がります。相場全体が下がって、特に個別の原因がなく下がることもありますが、その銘柄固有の要因で下がるケースも数多くあります。

 

例えば、業績の下方修正や悪材料が出た場合、粉飾決算や製品の不良、情報漏えい問題、経営陣や従業員の犯罪や不祥事など。ときには、事実無根の噂を流されて株価が下がってしまうことすらあります。

 

株価が下がるだけならまだマシです。下落の原因となった事柄が重大なものであれば、場合によっては会社が破綻してしまうこともあります。

 

過去には、粉飾決算や不祥事が引き金となって、上場廃止にまで至り、買った株が暴落どころかいわゆる「紙屑」になってしまうケースもありました。例えば、東日本大震災で原発事故を引き起こした東京電力は、上場廃止にこそなっていませんが、株価は2000円台から一時期は10分の1となる200円台まで下落しました。

 

しかし、大きく下落あるいは急落した株をあえて買って、儲けを狙うというトレード手法も存在しています。多くの場合、急落する銘柄は「売られ過ぎ」といわれる水準まで売られるので、そこから戻るときに儲けが期待できるためです。

 

ただし、急落したらどんな銘柄でも買っておいて戻りを狙うのがいいのかというと、そういうことはまったくありません。普通の株を買うとき以上に、慎重に今後の可能性を見極める必要があります。

 

業績悪化による株価急落の場合は、今後どのように業績を回復させていく予定なのかを確認しましょう。例えば、企業のIRサイトで公開されているアナリスト向けの決算説明会や中期経営計画の資料などを見て、納得できる説明があるのかないのか。いつ頃、どのような要因で業績回復をさせる見込みなのかなどが重要です。

企業破綻などのリスクがある場合は絶対に買わない

一方、大きな悪材料が出たり不祥事が発生したりという場合は、まず上場廃止の可能性と企業が破綻する可能性を検討します。上場廃止や企業破綻がありそうならば、リスクが高過ぎるので株価がどんなに安くなったとしても買うべきではありません。

 

上場廃止や企業破綻にはならない場合は、悪材料や不祥事が企業に与えるダメージがどの程度のものなのか、中でも今後の収益に与える影響を予想します。例えば、工場の火災で一時的に生産が落ち込み、さらに工場再稼働に向けた設備投資が必要になります。

 

また、情報漏れや特許侵害などの場合は、多額の賠償金が発生するケースもありますので、数年にわたって業績に影響する可能性もあります。正確な予想はもちろん不可能ですが、影響の規模を考えないと、その株を買えるか買えないかの判断ができません。考えるくせを付けましょう。

 

企業破綻はせず、上場も維持されるのであれば、悪材料が株価に織り込まれたとき、あるいは暴落して投げ売りが尽きたところが、「絶好の買い場」になる可能性があります。危機を乗り越えて復活できるような企業だと判断できれば、押し目を狙っていくとよいでしょう。

 

過去には、最悪の事態を通過して、復活を遂げて、株価が倍返しとなったような銘柄はいくらでもあります。ただし、復活に時間がかかると見られる場合は、株価が戻るまでかなりの時間を要する場合もあります。

 

危機を乗り越えて復活できる企業とはどんな企業なのか。もちろん、危機の内容や事の重大さによりますが、歴史があって社会貢献度の大きい企業や、売上規模が大きく社会に必要とされている企業、独自の技術や優れた製品を持っている企業であれば、今後の復活に期待が持てます。

 

また、不祥事や事故が起きた際の、経営者の姿勢や対応も見ておきましょう。誠実な対応で将来の見通しや方向性をはっきり出してくるようなら不祥事からの復活、企業の再建もスムーズに進み、株価の戻りを後押しするかもしれません。

 

最後に重要なのが、買い方です。急落から復活が見込まれる銘柄は、一発買い、つまり一度に大きく買うのではなく、大暴落して売りがピークを過ぎた頃から買い下がっていく方法が有効です。

 

例えば、1200円の株が300円まで急落してどうやら売りのピークは過ぎたと見たら、300円で少し買って、その後、もし270円や250円に下がっても買い増しするという気持ちで臨みます。ただし、売りがピークを過ぎるまでは、決して買い急がないこと。

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    本連載は、2015年3月17日刊行の書籍『知識ゼロ、資金ゼロから億万長者になれる株入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。投資はご自分の判断で行ってください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

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    鈴木 正剛

    幻冬舎メディアコンサルティング

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