短期と長期では株の「運用方針」が異なってくる
株を取引する際の投資期間は、大きく「短期」「中期」「長期」の三つに分けられます。短期、中期、長期の明確な決まりはありません。
例えば、「中期が1〜2年、2年以上が長期」というところもあれば、「長期は5年以上」としているところもあります。各証券会社や経済研究所、アナリストなどによって、言い方はばらばらというのが実情です。
筆者は、基本的には次のように投資期間を分けています。短期と中期については、さらに細かく分けてとらえています。
<短期トレード>
●デイトレード 1日限度
●スイングトレード 1日以上7日未満
●ポジショントレード 1週間以上〜数カ月程度
<中期トレード>
●中期トレード 3カ月〜6カ月
●中長期トレード 6カ月〜1年
<長期トレード>
●1年以上
誤解している人も少なくないようですが、投資期間の違いは、単に売却(信用取引の売建の場合は買い戻し)までの長さの違いではありません。短期で狙う株と長期で儲けようという場合では、運用方針がそもそも異なります。
短期の場合は、株価の動き(値動き)を利用して短い期間で利益を狙います。そして、売却したらすぐにまた次の銘柄を探すというやり方です。そのため、企業の業績がどうか、長い目で見た場合の株価の位置がどのあたりかといったことよりは、値動きのよさ、直近の株価の変化、話題性などを重視します。
一方、長期狙いの株であれば、業績や企業価値、株価の位置を見ながら、長期的な値上がり期待が持てる銘柄を慎重に選ぶ必要があります。実際の相場の動きによっては、当初考えていた投資期間を変更する、もしくは変更せざるを得ないこともあります。
例えば、長期トレードを考えていても数カ月で暴騰した場合には一度利益を確定したほうがよいこともあります。また、短期で売却するはずが失敗してしまい、株価が戻るのを待ってずるずると中期トレードに移行する、というケースを経験した個人投資家は数多くいるはずです。
しかし、再度強調しますが、短期トレードと長期トレードでは銘柄選択の考え方が根本的に違うため、原則としては短期で狙った株を長期に変更することはお勧めできません。
少額資金から大きく増やしたいなら短期トレードを選ぶ
適切な投資期間は、投資資金の額によっても変わってきます。
具体的には、短期トレードは資金が少ない人向きで、長期トレードは投資資金が潤沢にある人に向いています。また、時間的に短期トレードが難しい人は、中期か長期を選ぶしかありませんし、短期でまったく実績が出ない人も中期・長期のトレードを選ぶことになります。
資金が少なく、数年で何倍にも拡大させたいと考える人は、まず短期トレードを検討するべきです。その理由は、短期運用を繰り返して利益を積み重ねていけば、少資金からでも数年で資産を大きく拡大することが可能だからにほかなりません。
初心者向けの株式セミナーでは、「長期トレードで数年かけて株価の値上がりを狙う」のが投資の王道だと教えている場合もありますが、それは資金力のある人の運用方法です。株式投資では、投資資金が増えれば増えるほど、得られる利益も大きくなっていきます。
そこで、まず短期あるいは中期で大きく儲けて、その資金を長期で数年間保有する株に投入する。あるいは、ある程度資金を増やしたら、必要に応じて短期と長期を併用する。これが投資期間ごとの運用法の最良な組み合わせだと筆者は確信しています。
短期トレード・中期トレード・長期トレード、その違いをよく理解することで、効率的に儲かる運用をすることが可能になるのです。