「自分ファンド」とは条件を満たす銘柄のセットのこと
資金力があるという前提で、長期トレード向けの運用方法を説明します。この方法も、複数の銘柄を買って1〜3年以上保有し続けるというものです。
利益がある程度の金額になるまでには若干時間がかかりますが、買った後は問題のある株が出てきていないかなどのメンテナンスだけですから、頻繁にトレードする時間が取れないという人にも向いています。言わば、自分で自分のために作った小さな投資信託(ファンド)という感覚です。
例えば2013年2月、筆者の運営する投資顧問サービスでは、「株価が500円以下、配当が10円以上、PER(株価収益率)が30倍以下」という三つの条件を満たし、さらにその中からジャンルを分散させて、業績も好調という銘柄をピックアップしました。「自分ファンド」とは、このような銘柄のセットのことを言います。
では、実際に株価は上昇したのかというと、1年9カ月後には1銘柄を除いてすべて上昇しました。1株あたりの利益の総額は、2986円。この17銘柄はいずれも1000株単位ですから、1000株投資した場合の利益は298万6000円です。なお、投資金額は17銘柄の総額で、675万4000円かかりました。
13年2月はアベノミクス真っ最中で、その後13年の5月下旬までは一本調子で日経平均は上がり続けました。その後は世界情勢の影響を受けて大きく下落するなど波乱もありましたが、全体では1年9カ月で44%上昇したわけで、長期投資で大きく儲けたいと考えている人にとっては悪くない結果の証明といえるでしょう。
今後も、全体相場が上昇していく局面が続きますから、同じように「自分ファンド」を作って保有すれば、じっくり大きく資産を増やしていける可能性は極めて高いと考えます。
「自分ファンド」は多少の株価の変動では売らない
では、「自分ファンド」の銘柄選びの方法を、順を追って改めて説明します。まず、この条件をすべて満たす銘柄を絞り込みます。
●株価が500円以下(低位株のほうが上がりやすい)
●配当が10円以上(配当がある銘柄は安心度が高い)
●PERが30倍以下(株価が利益に対して極端に高過ぎない)
このときに、銘柄が多く挙がり過ぎるようであれば、「株価を300円以下」+「配当を5円以上」のように、株価を下げて配当の基準を引き上げても構いません。
スクリーニングした銘柄を、さらに次のようなポイントで絞り込んでいきます。
●来期以降の業績予想が好調
●流動性が低い(出来高が少ない)銘柄は除外
●業績、不祥事など問題のある企業は除外
あとは、ジャンルをある程度分散させることを意識しながら、10〜15本程度に絞り込めば「自分ファンド」の完成です。このとき、自分の好みで銘柄を選び過ぎないようにしてください。好みが反映されると、銘柄が偏ってしまうためです。
最後に、一銘柄ごとの買い方ですが、「基本はなるべく均等に買う」「配当利回りが高い銘柄はやや割合を多めにする」の2点がポイントです。
「自分ファンド」は多少の株価の変動では売らず、1年から数年程度持ち続けて大きく上昇するのを待ちます。ただし、例えば大きな不祥事などがあった場合は、当然ですがその銘柄は早めに損切りしてください。