優先的にすすめられるのは、金融機関に有利な商品!?
A. 投資家が損しかねない商品をセールスされるなど、おすすめとはいいがたい!
★高い手数料、ノルマ達成のための「推奨商品」
政府は「貯蓄から投資へ」の旗を振り続けています。とはいっても、日本では長らく銀行預金が最善の預け先で、コツコツ貯めることこそが美徳とされてきた感があります。そのため、これまで投資をしたことがない人は、どうすればいいのかわからず、誰かに相談したくなるかもしれません。そんなとき、身近にある金融機関で話を聞いてくる・・・といったシチュエーションは、容易に考えられます。
しかし、結論からいうと、そうした相談には行ってはいけません。なぜなら、必ずしもよいとはいえない投資信託をすすめられるからです。この話の続きを想像してみましょう。
金融機関に足を運ぶと、営業マンが親身に話を聞いてくれます。もちろん無料です。
「お金って、預けているだけではなかなか増えていかないですよね」
「老後の生活費など、これから先のお金のことって、何かと不安ですよね」
「この際、もっと期待できる商品で運用することを考えてみてはいかがですか」
そんなことをいいながら、営業マンは投資信託のカタログを広げ、
「いま、皆さまにおすすめしているのは、こちらの投資信託です!」
そのカタログに記載されている投資信託は、いっけん私たちの悩みを解決するために用意された、バラ色の金融商品に見える、かもしれません。親切で誠実そうなプロが多くの客にすすめている投資信託なのだから信頼できそう、かもしれません。
しかし、残念ながら現実はそう甘くはありません。営業マンはその金融機関の社員です。つまり、手数料が高い投資信託や、ノルマを達成するための投資信託など、自分たちに利益が大きいものを優先的にすすめてくるのです。それを買ってしまえば、彼らの思うつぼだというわけです。
『投資信託 勝ちたいならこの7本!』の6章で紹介している「iDeCo」や「つみたてNISA」といった、顧客に有利な税制優遇制度が発表されたとき、金融機関からは「正直いって、利益が少ないから売りたくない」「積極的には販促活動をしない」という声も漏れ聞こえていました。
顧客の資産のことなど、何とも思っていない・・・は言いすぎかもしれませんが、結局のところ、自分たちの利益になるかどうかがいちばん大切なのです。
金融機関も営利企業ですから、そういう姿勢になってしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし、それならばこちらも、金融機関を過度に頼ることなく、ある程度の距離をおいて付き合うべきだと思います。
リスクへの耐性は人それぞれなのに、ランキングって…
A. じつは「人気ランキング」にあらず。「売りたい商品ランキング」なので儲かるとはいいがたい!
★ランキングは、金融機関が儲かる商品の一覧
金融機関の「おすすめ」は、あくまで「自分たちの利益を増やすため」という意味であることは、ご理解いただけたと思います。この〝おすすめ〟の意向は、金融機関などによくある「人気投資信託ランキング」にも反映されています。
ある銀行に行ったとき、壁に貼り出されている人気ランキングを見て、目を疑いました。そこには、おおよそ人にはすすめられない毎月分配型やテーマ型、ファンドラップといった商品が並んでいたからです。これらがどうしてよくないのかは後述しますが、いずれも手数料が高く、利益の出しにくいものばかりです。つまり、この人気ランキングは投資家の人気を反映したものではなく、金融機関側が売りたい商品の一覧になっていると思われるのです。
そもそも、リスクをどのくらいとれるのかは、人によって違うはずです。それなのに、人気ランキングというものが大きく貼り出されるのも不思議です。そこにはやはり、「人気があるなら大丈夫(買いたい)」という気にさせようとする意図を感じます。
もちろん、内容がよくて多数の投資家から支持される投資信託もあります。しかし、そうした投資信託は、まず金融機関の窓口にはないと心得ておくべきでしょう。